スポーツの判定にVTRを活用するだけでなく「ロボット審判」を導入する時代にスポーツ観戦は面白くなるか

私が外でのモバイル環境を整えている理由の一つが、例えばどうしても見たいイベントやスポーツが行なわれる時間に外にいるとか、車で走っているとか、たまたまその時に旅行の計画を実行していたような場合でも、自宅にいる時と同じようにイベントやスポーツを見ることができる環境を作りたいと考えてのことでした。

その昔、地上波テレビは山間部に入ってしまうと受信自体は難しかったものの、衛星放送(BS)ならテレビモニターにチューナー付きBSアンテナユニットを接続すると、走行中は無理でも停車すればどんな山の中にいても全国で見られるBSは全て見ることができたので、機材を揃えていました。ただ、走行中に常に南東の方向(放送衛星がある方向)を向くようなシステムはとんでもなくお金がかかり、観光バスではそういった機材が設置されているものもあり、私はたまたまアメリカ大リーグのニューヨーク・ヤンキースに松井秀樹選手がいて、彼がMVPを取った時のワールドシリーズの試合は高速道路を走るバスの中で他の乗客とともに興奮しながら見た記憶があります。

現在は、8インチくらすのタブレットの画面に映す動画を見るくらいなら、mineoの最大1.5Mbpsくらいの速度でも問題なく見られるので、ネット配信や自宅のテレビサーバーにアクセスしたりすることで、携帯電話の電波が来ている場所でさえあれば何とかどこでもリアルタイム視聴が実現できています。特にスポーツは作られたドラマではないので、自宅で帰って改めて録画で見るよりも、小さなスマホの画面であってもリアルタイムで見る事にこだわってきました。

ただ、時代とともに変わるのは通信環境だけではありません。スポーツ自体の内容も時代とともに変わっていきます。例えば、サッカーではワールドカップイングランド大会での「疑惑のゴール」や、メキシコ大会のディエゴ・マラドーナの「神の手」など、得点と認められた判定は正しかったのか? という論争が起き、一部の人にとっては喜びであっても、こうした判定を機にスポーツそのものへの興味がなくなってしまうような影響もあるのではないかと思います。サッカーではこうした問題に決着を付けるため「VAR(ビデオアシスタントレフリー)」を一部採用し、得点及び選手の退場に関わる大きな判定についてはビデオを審判が確認することで改めてジャッジをするということが行なわれるようになりました。

たまたま昨日中国深センで行なわれたAFC U20アジアカップで、試合開始早々日本チームは対戦相手のイランに得点を決められたのですが、VARで検証すればオフサイドでノーゴールだったのでは? という報道がされました。勝ったらU20のワールドカップに出場が決まる大事な試合なのにも関わらず、実はこの試合ではVARは採用されませんでした。このまま日本チームが負けてしまったら、単に残念では済まされない話になるだけに、現代のテクノロジーを駆使しての、両方のチームが納得する判定を行なうことが、試合を見る観客の興奮をそぐことはなく、かえって清々しく試合を見られるようになるのではないかと私は思います。

そんな中、MLB(アメリカ大リーグ)では、まだオープン戦に限っての話らしいですが「ロボット審判」を導入し、ストライク・ボールの判定で不満があった場合に一試合二回まで「チャレンジ」ができ、その時にはロボット審判の判定を仰ぐというものです。野球の試合の中ではこの一球がストライクかボールかによって大きく試合の流れが変わることがあります。最もありそうなのが、同点で迎えた9回裏(ないしは延長戦の裏の攻撃)満塁で3ボールから投げられたボールがきわどい場合、その球がボールであれば押し出しで得点になるのでそこで試合が終わります。また逆に、2ストライクの後にどう見てもストライクではないかと思われた球の判定がボールになり、その直後にバッターがヒット(ホームラン)を打つというようなケースもあります。実際にそうした「疑惑の投球」として今だに語られている試合もあり、もし「ロボット審判」が存在していて、きちんと異議申し立てが行なわれていればというケースは今までもあったように思います。

そんなわけで、MLBのロボット審判の進み方には大変興味を持っています。日本でもアメリカでも、世界選手権でもストライクゾーンは「審判のクセ」で決まるということが今まではあり、あの審判は多少の低めでもストライクとコールするというようなことは普通でした。しかし、ロボット審判が導入された場合、そうした低めをストライクにする審判に当たった場合、明らかに低い球をストライクと判定された場合にすぐさまチャレンジを行ない、ロボット審判の判定を仰ぎ判定が覆った場合、試合の審判が判定における判断をロボット審判に近づけることになるので、今までのように審判に応じたストライクゾーンの対策をわざわざ立てなくても、どのチームも同じようにストライクゾーンの中で勝負ができるわけです。

こういう話をすると人間の曖昧さが楽しいというような人もいますが、現在のVARでも審判の恣意性が完全に排除されたわけではありませんし、今回のロボット審判でも全てのボールを判定するわけではありません。大事なのは、大きな場面でお互いに力の限りを尽くしてプレーしている選手たちに大きなわだかまりが起こるような習慣を何とかしてもらうことで、見ている側もストレスが溜まりにくくなるのではないかと思います。
まだ日本ではロボット審判の登場は後になるとは思いますが、日本の野球界もアメリカに先にやられる前に、しっかりと判定するための仕組みを先んじて採用するくらいの事をやった方が人々は注目して日本の野球も盛り上がるのでは? と思うのですが。

カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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