米原駅で駅弁を提供していた「井筒屋」さんの駅弁からの撤退は日本の駅弁文化を考える上で複雑な思いが

先日のブログでJR東日本で消えるフリーきっぷについて書きましたが、個人的にはちょうど今の時期に形を変えて販売されている「青春18きっぷ」の仕様変更により、週末のみ休みの自分などはとても使いにくくなったので前回も今回も購入していません。今後は、いわゆる各駅停車の旅よりも、ピンポイントで新幹線や特急を使って移動したり、移動だけではなく様々な装備がセットになった観光列車の運行を増やすことで利益を上げるビジネスモデルに変化していくような感じになると、駅に集まる人をあてこんだ商売の中には深刻な影響を受けるものも出てくるように思います。その一つが今回紹介する駅弁を駅で売る事業ではないかと思えます。

たまたまニュースを見ていたら、新幹線が停まる駅で、近畿地方の交通の要所である米原駅で駅弁を販売している「井筒屋」さんが、駅弁事業から2025年2月いっぱいで撤退することがニュースになっていました。米原の井筒屋さんと言えば、「湖北のおはなし」という地元の食材を使った名物弁当や、私自身かつて近江牛の美味しさに感動した「近江牛ステーキ弁当」、さらには安くてもおなかがいっぱいになる「やきそば」「たこ焼き」「缶コーラ」が一緒になった「たこ そば こーら」という駅弁があったのも懐かしく感じます。

駅弁の販売を終了することについて、当の井筒屋さんはマスコミの取材は受けない方針らしく、詳しいことはわかりませんが、発表したものを見ると、やはり手作りの味を小規模で今後売っていくことに限界を感じているということがわかりました。今や駅弁は列車内で食べることはなくなり、いわゆる「駅弁大会」で買ってくるというよつな時代にもはやなっています。

ただ、それで駅弁を製造している企業が生き残っていけるかと言うと、そんなことはありません。人気駅弁を売るわずかなところだけのようで、さらに先だって製造元の工場から駅弁大会を行なう場所まで運んでいる途中に弁当が傷んでしまい、大規模な食中毒のなった事件も記憶に新しいところです。つまり、多くの駅弁販売業者は正直なところ大規模に販路を広げるということも業績にはつながらないところもあるのかも知れません。

さらに、フリーきっぷや18きっぷを使って各駅停車をしながらのんびり旅をしていた一定の人たちがいなくなるということは、井筒屋さんに限らず、全国の駅弁の老舗も、これから同じように営業を止めてしまうような所が出てくると考えることは、そうあてが外れている考えでもなさそうに思います。もちろん、井筒屋さんにはずっと駅とともに営業をしてきた鉄道会社を恨むようなことは無いと思いますし、他の業者も同様でしょう。

つまりは、今後の駅弁屋さんは全国の駅弁大会を回ってその売り上げで何とかする方向に走るか、あるいは駅売から別の販路を作ってかつての有物駅弁を売る(おぎのやの峠の釜めしのようなパターン)ような形に業態を変える方向に行くぐらいしか、生き残っていく方法は無くなっていくのではないかと思えてきてしまいます。

全国津々浦々の名物を盛り込んだ有名なお弁当が消えてしまうのは淋しい事ですが、今後は今回紹介した米原駅の井筒屋さんのような事例は多かれ少なかれ出てくることでしょう。やはりゆったりとした鉄道旅行がなくなって行けば、駅弁も無くなる方向へ向くというのも仕方ないことなのですね。かといって、全国のコンビニの出す弁当が駅弁にとって変わるのか、全国チェーンのファーストフードを旅先でも食べるようになるのか、そうなるとますます車中泊でスーパーを回って土地の名物を仕入れて自炊した方が良いのかなとすら思えてきてしまいますね。

カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA