前回の最後に紹介した電子辞書のセッティングが終わったので、改めて今から10年以上前に発売された高校生用の電子辞書「シャープBrain PW-G5200」について簡単にレビューさせていただければと思います。
なぜ最新仕様でなく古いもの(PW-G5200は2012年1月発売)を中古で買ったかと言いますと、実は一時期のシャープのBrainという電子辞書は、本来の電子辞書を使いつつ、Windows CEやLinuxを走らせることができる「改造」ができるハードであることがあります。
このように、通常では出てこない昔懐かしのWindeos CEのデスクトップ画面を出すこともできるのですが、果たして今の時代にこんなものを使うのかということを考えてしまうのですが、私が購入した金額は大きなキズなどはない説明書付きて2千円弱とえらく安く買えたので、おもちゃとしてだけでも悪くはないのかとも思えてしまいました。ただ、使ってみて本体の機能だけでもそれなりに使えますし、ブックリーダーとして使うのもありではないかと思えてきました。
そもそも、この機種はこれを書いている時点から15年も前の最新機種です。普通のスマホやパソコンだったら全く使いものにならないところなのですが、これは本体メモリに多くの辞書が入ったハードです。広辞苑だと第六版ですが、現在は第七版と改訂されているものの、基本的な言葉の意味を調べることについては、それほど使えなくなるということもありません。そもそも辞書の改訂とは何かということになってくるのですが、言葉というものは常に新しいものが生まれ、使われなくなった言葉は廃れていくわけで、古くて現在はあまり使われなくなった言葉も辞書から消えていくのですが、これがかえって不便になる可能性があります。
現在、古今東西の名作といわれる本が、誰でも無料で使える「青空文庫」という取り組みがあります。基本的に著作権の切れた作家の作品をボランティアの人たちでテキストデータ化して、パソコンやスマホ、ブックリーターを介して自由に読めるようにしているのですが、実はこの電子辞書でも青空文庫を無料でダウンロードして読むことができます。青空文庫の作品の多くは明治から大正~昭和までありますが、古い小説の場合、当時の風俗とからめてよく使っていた言葉が載っている場合も少なくないでしょう。
話は辞書の話に戻りますが、新しい辞書の場合、現在使われている「新語」を収録すればするほど、今までずっと掲載されてきた言葉の中から古いもの・今では使われなくなった言葉を消していく必要に迫られます。電子辞書の場合にはあまり関係はないかと思いますが、辞書は今でも紙の形で出ているので、改訂によってどんどん厚くなってしまうと使うのも大変になるだけでなく定価も上がりますし、そのために新しいものは増やし、その分古いものを減らす必要が出てくるのです。
シャープの古い電子辞書についてのサポートは今でもちゃんと行なわれていて、追加辞書とともに電子辞書で読める書籍が専用サイトで販売されています。電子辞書で使えるコンテンツデータをダウンロードできるアプリをダウンロードして会員登録し、会員情報と手持ちの電子辞書を連携させ(中古の場合前所有者の情報がある場合はいったんそれを上書きすることができます)ると、パソコンでダウンロードしたデータをケーブル経由で電子辞書本体に送ることができます。そのコンテンツの中に0円でデータを落とせる膨大な青空文庫データがあるのです。
電子辞書の画面が小さいので、文字も小さいままですが、縦書きにも表示可能ですし、ルビを表示するように設定すると見やすい感じで行間が空くので、老眼で小さな文字が見えにくいのでなければ、文庫本を読むように電子辞書で読書ができます。それだけだと他の電子書籍ビューアーと比較してあまり良い性能ではない気がしますが、逆にこの使い方でしか利用できない便利な使い方があるのです。
それが、ダウンロードした文庫を読みながら、昔の文章でよくわからない言葉や表現が出てきた時にその部分を選択すると、本体内に入っている辞書で調べてくれるのです。広辞苑だけではなく、その言葉が掲載されている辞書が複数候補として出てくるので、物語の理解により役立つというわけです。
昔の物語に出てくる語句というのは、当然古い言葉であることが多いので、その用途においては辞書の新しさというのは問題になりません。むしろ、新しくなった事で辞書から消えてしまった言葉がある場合は、むしろ古い辞書の方が良いわけで、その点では私の用途では少なくとも辞書の古さについては問題になりません。
シャープの電子辞書は、学習用として「中学生用」「高校生用」「ビジネス用」におおまかに分かれていて、搭載する辞書の種類に違いがあります。画像付きの図鑑を電子機器上で見たい場合は「中学生用」、学習用辞書のグレードを上げて専門辞書を使いたいという場合には「高校生用」を。ビジネス関連から日常生活に関する事を主に調べたい場合には「ビジネス用」をという感じになっています。私はネット上でニュースを見る場合に、学生時代に日本史を本格的にやってこなかったので、知識を補填したいと思って山川出版と旺文社の二つの歴史小辞典(日本史・世界史とも)がある高校生用のPW-G5200を選びました。受験対策用のコンテンツはクイズ感覚で楽しめればそれを目的に暇つぶしするのも良いでしょう。
個人的に迷ったのは「ビジネス用」のもののコンテンツの一つとして、テキストエディターが付いているものがあったのですが(付いてない機種の場合はコンテンツを購入することで利用は可能)、テキストデータとしてメモを取るなら、スマホの方が便利ですし、今後Windows CEやLinuxを入れて使う中で、テキストエディターが入るならお遊びで入れれば良いかなと思って、高校生用にしました。この辺は使う人によって色々な好みがあるので、私の選択が一番良いということはないと思います。もしハードオフなどで安く手に入るようなら、それを買うというのも一つの方法です。
今後は、ネットに繋がなくてもパソコンやスマホ以外で色々な事を調べる方法が増えることになるので、パソコンで作業しているところの側に置いて使ったり、青空文庫で読んでみたい本を旅の前にダウンロードして、旅先での読書及び旅先での非ネット検索用として便利に使わせていただこうかと思っています。