先日、TBS系列の「マツコの知らない世界」で、防災用品について専門家が出演して紹介していました。ユーチューブなどでも情報を出している専門家の方が、メインMCのマツコさんにもわかりやすいというテイで、様々な情報を出していっていました。
テレビで防災用品が紹介されることで、世の中の方々から関心が集まるということは当然ながらあります。しかしながら、テレビというのは大切な事だけに絞って説明しようとしても、圧倒的に時間が足りなくなってしまうメディアでもあります。物品の紹介でない政治的な議論にあたっては、数十分の間で議論を探めていくことは無理ですし、単に時間を伸ばした「朝まで生テレビ」のような番組でも、話が脇道に逸れたり、意図的に討論をしないような論者が時間を取ってしまうと、結局長い時間でもあっという間に終わってしまうというのが普通にあります。さらに、物品の場合はスポンサーや提供企業の顔色を伺うということもありますし、出演者本人が本当にすすめたい物が実はすすめられないのではないか? と見ていて思うこともあります。
先日の放送では、進化した防災グッズとして「浄水器」「ポータブル電源」「防災リュック」についてそれぞれ一企業毎に出ている製品を出して解説していたのですが、少々一般的ではないのでは? というものを紹介していました。アイリスオーヤマが出している防災リュックは1万円くらいとそこまで高額ではなかったのですが、ミヤサカ工業の浄水器は化学物質まで除去する高額なものを紹介していて、これを町内会などで住民のために購入するというのなら、機器だけでなく交換が必要なフィルターを常に使えるようにできるので、悪くない気はしましたが、個人の家庭ではそこまでする必要はないのでは? と思ってしまいました。
お手軽な浄水器では農薬や化学物質が溶け込んだ水を安全に飲むことはできませんが、いざという時のために風呂の浴槽や複数のポリタンクに水道水を溜めておけば、たとえ長く水を交換しない場合に水が腐ってしまっても、お手軽浄水器を通せば何とか飲料水を確保できます。その点では浄水器単体ではなく化学物質の混入しない水の用意が必要にはなるものの、そこまでお金を掛けずに水道が復旧する間の水をストックしつつ浄水器との併用で何とかすることは可能でしょう。また、罹災後に降った雨を溜めて浄水する(放射能汚染がある場合はNG)事もできます。ただ、お手軽浄水器はそれほど高額ではないので、その点ではテレビ映えはしないかも知れません。
ポータブル電源はANKERの電子レンジが使えるも大容量で10万円超のものをソーラーパネルと一緒に紹介していましたが、セットだと20万円以上になってしまい、なかなか普通の家庭では手が出しずらい気もしました。個人的には何が何でも電子レンジを使うというより、カセットコンロなどで電気の使用を抑えることで、2万~3万円くらいで買えるポータブルバッテリーあたりから始めるくらいの方がもし全く使わない事があっても気楽なのにと思ったりしました。
ちなみに、番組で紹介していた情報として有りだと思ったのは、ポータブル電源をDCモーター使用の扇風機用に使い熱中症を防ぐという使い方です。比較的小容量のバッテリーでも長時間扇風機を動かせますので、これも個人的意見になりますが、10万円のポータブル電源をいきなり購入するよりも、まずは5万円くらいでリン酸鉄バッテリーを使用したポータブル電源と100Wクラスの折りたたみソーラーパネルを購入し、さらに心配だったらあと5万円出して最初に購入したポータブル電源より容量の大きなモデルを購入するのが良いのでは? と思います。それで少なくともスマホの充電は問題なくできますし、複数台のポータブル電源があれば、一台を使いながら他の一台を充電して使い続けられる可能性も出てきます。
最後にアイリスオーヤマの防災リュックの中に入っていた空気入れ付きエアーベッドについても、すぐには使わずにずっとリュックの中に入れっぱなしで大丈夫かと心配になります。いざ使おうと思ったら空気が抜けてしまっていたらと思うと、私はパンクの心配のない折りたたみマットか、底床のコットを用意してリュックに入れています。さらに外からの視線を遮られるようにキャンプで大きなテントの中にセットするためのインナーテントをコットと一緒にしています。避難所で寝るための装備を持つ人と持たない人との格差はどうしても出てしまうので、やはり多くの人がいる環境で他人とは違う就寝環境を持ち込む場合には、外からの視線を遮ることができるものも加える必要はあるのではないかと思います。
と、このように単にテレビで放送している内容にケチを付けているだけではないか? と思われるかも知れませんが、最初に書いた通り、今回番組に出演されていた方々はここまで私が書いた内容については十分おわかりの上で今回のようなプレゼンをされているのではないかと思います。残念ではありますが、それがテレビの限界であると思えます。
というわけで、私と同じ番組を見て防災グッズについて興味を持った方は、まず番組のホームページにアクセスして出演者の方のプロフィールをまずは確認してみて下さい。恐らく見るだけでわかりやすい、動画を作って複数アップされていると思いますので、テレビのように多方面に忖度しなくても良い動画上で勧めている物について購入を検討されるというのが個人的におすすめしたいところです。私自身はそこまで防災に関しての専門家ではないので、自分の環境に合ったケースしか紹介できませんし、まだまだ細かな点について落としているところも多いと思います。しかし今回出演された方はその点に絞って情報発信を行なっていますので、テレビでは言えない様々な事や、ニーズ別にもっと細かな防災用品についての情報を発信されていると思うので、自発的にネット上を調べてみる事が大切だと思います。