プロスポーツにおける「地域密着」を言うのならクライマックスを誰でも見られるようにしなければ

私の地元・静岡県では昨年までサッカーのJリーグでトップのJ1で戦っていた清水エスパルスとジュビロ磐田がともにJ2に降格してしまいました。注目度から言えば当然落ちるわけで、今までは地元局でのテレビ放送の他に衛星放送で試合の中継があったのがそれもなくなり、毎試合見るにはテレビではなくネット配信のDAZNと契約して見るのが基本のパターンになっています。これはJ2のチームだけでなく、さらに下部リーグのJ3でも同じです。それが国内でのサッカープロリーグを見る手段だと言ってしまえばそれまでなのですが。

サッカーに興味がなかったり静岡のプロサッカーチームについて多少知識のある方でなければ、現在の地元の盛り上がりを紹介してもなかなかその雰囲気までを伝えることは困難なことは理解しています。それでも、よい機会なのであえて書かせていただきます。

J2の最終節(リーグ戦最終試合)は今週末に行なわれ、最終的な順位が確定します。毎年その後の事については同じように決まるのではない部分もあるのですが、今年はリーグ戦終了時に2位までに入っていれば、そのまま翌年はJ1に昇格することが決定します。ただ、今年はJ1昇格できるクラブは3チームあります。残りのチームをどう決めるかと言うと、リーグ戦終了時の順位、3・4・5・6位のチームがトーナメントによるプレーオフを行ない、そこで最後まで勝ち抜いたチームが3チーム目のJ1昇格クラブになります。ですから、最終節では順位について2つの大きなポイントがあります。

まず、自動昇格のできる2位にはどのチームが入るかということです。現状では清水エスパルス・ジュビロ磐田・東京ベルディの3チームに可能性があります。勝てば決まるのが清水エスパルスなのですが、いくら地力があると言っても必ず勝てるわけではありません。もし清水エスパルスが敗れた場合、他チームの結果待ちになります。他の2チームも揃って負ければ昇格できますが、どちらかのチームが勝てばそのチームが自動昇格になります。2チームがともに勝った場合、得失点差での争いになります。

同様にどのチームが6位までに入るかというのも最後までわからないような試合日程になっており、プレーオフ出場の可能性のあるチームの関係者やサポーターは気が気ではないと思います。甲府・山形・長崎についてはもしプレーオフ進出となれば、自動昇格を逃した先述の2チームと比べるとモチベーションは大いに上がると思いますので、まずはどのチームが自動昇格になり、どのチームがプレーオフ進出になるのかというのは、各チームのサポーターだけでなく地域のサッカーファンにとっても大いなる関心事だろうと思います。

そんな状況で、今のところではエスパルスやジュビロの最終戦をリアルタイムで見るためには、今からでもDAZNに加入して配信で見るか、スポーツバーなどでパブリックビューイングを行なっているところに行くかという選択肢しか無くなっています。ぎりぎりの判断で、試合終了後に特番が地域限定の特別番組として組まれるようですが、それでも、リアルタイムでの地上波放送は無しということで今のところは推移しています。

恐らくDAZNにはこういった注目試合を見るために加入してもらいたいというしたたかなビジネス戦略があるわけですが、その前にJリーグの理念として「地域密着」ということがあったはずで、最後の最後で昇格になるかプレーオフに回るか、その瞬間を生で見られない人が多く出るというのは、やはりまずいのではないかという気が私にはします。個人的にはどうしても見たい場合には、povo2.0のトッピングを購入して7日間だけDAZNを契約して見る方法についても考えているのですが、そうした知識を持たない人は単に我慢して結果で知るような事になってしまうでしょう。

JリーグとDAZNはかなりの大型契約をしており、リーグでも本音では次につながるような試合については、地域の地上波テレビ(非全国放送)で見せてあげたいと思っていても、それは無理だと答えるしかないでしょう。しかし、今年のJ2最終節は全ての試合が同時に行なわれ、その中で悲喜こもごものドラマが繰り広げられるかと思うと、生でその感動を味わうことが当該クラブの地元でも味わえないというのは本当に悲しいことです。

例としてはずれるかも知れませんが、もし2023年のプロ野球日本シリーズが関西地方での地上波放送がなく、全て有料のネット配信だったらどうなったかということを考えれば、下手をするとファンの行動にも変化が出てきてしまわないか心配です。

さすがに全ての試合を地上波で放送するのは無理でしょうが、最終節を中心に、昇格や降格(J2でも下位の場合はJ3への降格があります)に直接関わる大きな試合については、何とか地上波で見られるような調整をお願いしたいですね。この辺の事は、「お金を払ってネットを使える人だけが見られる」事で問題はないと思う方もいるかも知れませんが、競技への関心という点でいえば、全国の中でも屈指の静岡県ですらこうなのですから、これからサッカーを通じて町起こしをしたいと考える自治体があるのだとしたら、自らその道を閉ざすような事にもなってしまいます。

ここまでの書き方はある意味「情に訴える」ような書き方になってしまったかも知れませんが、今年はサッカーだけでなくバスケットやバレーも日本チームが活躍して盛り上がりました。単にファンが離れてしまうのではなく、他のジャンルのプロチームの方に流れてしまうとしたら、いくら盛り上がっているサッカーについても今後どうなるのかわからないように思えるのですが。

カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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