一昨日のニュースで、米による再度の月探査のための「アルテミス計画」が実行されるということを知りました。国内企業も月を探索する車や月に置く基地の開発をしている話が報道されていましたが、宇宙に出るための計画というのは私たちの日常生活と比べて夢はあるものの、いまいちピンと来ないという方もおられるのでしょうか。
しかしながら、宇宙開発によってすでに変わりつつある常識もあります。アメリカでは民間の通信衛星(スペースX)を利用してアメリカ全土(地上基地局が作れない場所を含む)でショートメッセージの利用を可能にするサービスを2023年に始めることをTモバイルが発表しています。ショートメッセージから音声通話、インターネットへと利用範囲を広げていく予定だそうですが、どんな山奥からでもSOSを発信することができることで、生活の利便性はかなり上がるだろうと思います。まだアメリカ全土での料金は発表されていませんが、その金額が注目されるだけでなく、日本で同じサービスが行なわれるのか? というところまで夢が広がってきます。
このように、地球上だけでない場所を開発することで、今までその出口について考えが及ばなかった多くの問題が解決できる可能性を秘めていることは確かです。環境的に無駄が多いことが指摘されている太陽光パネルによる発電についても、もし宇宙の上に大規模な太陽光発電所を建設することができ、そこから送電ロスなく全国各地に直接電気を届けられるようなことになれば、宇宙発電所は常に大陽のある方にパネルを向けることで24時間発電が可能になり、太陽が輝いているうちはずっと発電を続けることができるかも知れません。電気を送るという点や、機器のメンテナンスについては、これもまだ本当にできるかどうかわかりませんが、地上と衛星をつなぐ「宇宙エレベーター」という構想があります。もしこれが実現できれば、機器のメンテナンス及び交換も宇宙エレベーターに乗って行けばできてしまうので、社会のインフラとして使うことも可能ではないかとすら思います。
このように、宇宙を目指すというのはかなり夢物語というような段階から変わってきているような気がして、最初の「アルテミス計画」も本気で月への長期滞在をして月の中に眠っている資源を活用しようという考えが透けて見えます。
そうした輝かしい未来に必要なのは、どう考えてもこれから宇宙の魅力を感じて真剣に勉強したいと思っている学生や生徒を応援することでしょう。ここのところ、政府の教育に関する予算というのは減少の一方で、このままでは本気で勉強したいと思う優秀な人材が海外に流れてしまう可能性が言われています。そうなると、日本が自前でインフラを用意することができずに、夢の未来は他国で先に実現されるものの国内ではなかなか実現できないというような事にもなるかも知れません。
ここのところの政府の発表では、海外からの留学生を増やし、(必要な事であるとは承知していますが)国内より先にアフリカ諸国に多額の寄付をするというような流れに、もう少し国内の暮らしや未来についての夢に投資するような事ができないかなと思います。少なくとも新しい技術の恩恵を生活の中で受けられるような国を目指して欲しいものですが。