梅雨は終って本格的な夏が来ているのに、日本国内では主に東北や北陸地方において断続的に強い雨が降り続き、床上・床下浸水や川の上流からなぎ倒された木が流れてきて、家そのものが大きな被害を受けた方々がおられます。例年は梅雨明け前後にこうした長雨の被害は出るのですが、今年は少々そうした期間がずれていくことで、今まで被害を受けてこなかった地域で被害が出ています。罹災された方々にはお見舞いを申し上げるとともに、しばらく続くと思われる不自由な生活でストレスを抱え込まないように、自分たちだけで何とかすろことが難しいと感じた場合には、どうか躊躇せずに多くの方々の助けを受けていただきたいと思います。
今回の山形や新潟で起こった被害というのは、川の堤防が決壊した事例があったようですが、本格的に雨が降ってきて避難情報が出たのは日が沈んでから後で、最も降ったのが翌日の未明ということで、当時自分の回りがどんなことになっているかということがわからない中で大変不安であったことだろうと思います。
周辺がわからないということは、家から外に出ること自体、一歩家から出た時にそこがどうなっているかわからない中で行動するということになるので、川のそばに家があるとか、家のすぐ裏が崖になっていたり山が迫っているような家に留まることが危険な場合については、誰かに助けを請いながら家から逃げるしかありませんが、お隣などの様子がわかり、床上浸水の危険があっても二階以上に上がることができるお宅であれば、あえて外に出ずにネットやラジオから情報を入手しつつ、自宅に留まることも大事と言われています。
今回の雨でもそうですが、大きな水害があるとニュースで良く見る光景に、雨が上がった翌日の朝になって家から出て、まだ膝より上の水位があるのに外に出てくる人を見掛けてしまうことです。先日、水の事故を未然に防ぐためにはどうすればいいか? というテーマで地元の消防の方が話をしていたものをテレビで見たのですが、腰まで水に浸かる場合は流されてしまう危険性が高く、できれば膝下くらいまで水が引いたところでないと、お子さんなどは危険だという指摘がありました。
水位が上がっていない川と違い、家の近くまでかなりの水位の水が上がってきた場合、川の上流からいろんなものが流れてきますので、水位が低くてもそうしたものにぶつかったり、とどまっている大きな障害物につまずいて転ぶ可能性もあります。さらに、水は当然ながら濁っていて、長時間浸かっていることで何らかの感染症を引き起こす可能性もありますので、自宅が損壊の危険がある場合を除いては、そのまま家にとどまって助けが来るのを待ちながら、水が引くのを待つのが生命を守るためには大事な事ではないかと思います。
また、今回の大雨でも乗合バスの車内まで水が入ってきている映像や、冠水している道路を車が走っている映像が出てきていましたが、これも水位が低い安全なところで車を停め、歩いて安全なところに逃げるというのがセオリーです。というのも、水位が高くなると水圧の関係で車のドアが開かなくなることがあります。JAFのユーザーテストのデータを見たところ、セダン・ミニバンとも水深60cmでドアもスライドドアも開けずらくなるというような結果を見ると、冠水している道路が急に深くなる可能性もあるので、やはりやみくもに車に乗って進まない方が良いと思います。
ただ、車中泊や車旅で寝ている間に周りが冠水しているのに気付き、ドアが開けられないほどの水深になっていた場合、車の窓が開けられれば良いですが、通電していなくて全く窓も開かないような場合には、急激な水位上昇により命の危険が出てきてしまいます。私の車には運転席および助手席に車外脱出用の一点集中で弱い力でも車のガラスを割ることができるハンマーを常備しています。実際に命の危険を感じたら躊躇することなくガラスを割るという決断をすることもいざという時には大事ですね。
今後もまだ全国のいたるところで大雨になるという予報が出ていますので、まずは断水する前に自宅の水道から飲水の確保とともにスマホやモバイルバッテリーの充電、ラジオが聞けたり停電時に明かりが使えるように電池のチェックやランタンの準備など、一通りした上でいざという時の対処を考えて下さい。