東京の地下鉄の駅で起きた、個人が個人を狙ったと思われる硫酸による傷害事件について、その実行犯は私の住む地域の人間だったということで、かなり周辺の関心が出ています。ここでは、その容疑者についての詮索ということではなく、あまりに早くに本人が特定されて全国に指名手配され、それからすぐに捕まった理由について考えていこうと思います。
私自身の情報のソースはマスコミのニユースから得ているのですが、それでも容疑者を追い詰めるためか、かなりのきわどい情報が警察から出ていたので、その辺から紹介していこうと思います。
事件が発生したことで、警察は現場で犯行を実行したと思われる人物を特定し、その写真のみを公開しました。と同時に、今回の犯行は被害者を少し前から容疑者と思われる男が尾行していることが駅構内の防犯カメラを遡ることでわかったようなので、その男の行動を周辺の防犯カメラを継続して追っていくことで、その男が犯行現場へ出発する自宅からの様子までを把握していたのでした。
さらに、犯行後の男の行動を追っていく中で、硫酸を掛ける時に付けていた手袋を捨てる所もカメラに写っていたため、その画像を解析し男が捨てたと思われる手袋を証拠品として回収することに成功したようです。さらに、防犯カメラの解析で把握した容疑者の自宅を家宅捜索し、そこにある指紋と証拠品の手袋に付いた指紋が一致したことにより、名前とマスクを付けない写真とともに全国指名手配ができたということのようです。
ちなみにその自宅の場所というのが静岡駅から近くの住宅街なのですが、同じように考えると私が自宅から出て東京へ行く過程は色々あると思うのですが、電車で行けば確実に今回逮捕された男のようにどこで何をしていたかというのは完全に記録されてしまうだろうということと、電車でなく車で移動したとしても車のナンバーを照合されればどの道を通ってどこで休憩してどこへいつ向かったのかということも当然第三者に把握されてしまうということなのですね。
先日終了したオリンピックではテロ対策のために顔だけでなく歩き方などの行動を認識して個人を特定することで、もし私が何か重大な犯罪を行なった場合すぐに特定され逮捕されてしまう可能性が高く、それが犯罪抑止効果になっていると思うのですが。
こうしたシステムは、逆に普通に犯罪を起こすつもりがない人にとっても気に掛けなければならないのではとふと思ってしまいました。最近は監視カメラとは別に多くの車にもドライブレコーダーが付いており、テレビのワイドショーでは運転時や駐車時のマナー喚起のためなのか、かなりきわどいトラブルの場面がテレビから流れてきます。
こうしたビデオを見て、多くの人は憤りを感じるかも知れませんが、中には自分が本当に悪いとは思ってないような人もいます。これは何もそうした人を非難するということではなく、自分が当事者となった事を考えた時、もし自分が誰も見ていないような所で車をぶつけたりしてしまったとして、今までは誰も見ていない(それ以上追求されない)と思って何の対応もしないで逃げるという行為が後になって問題にされるような事もこれからは十分に起こり得るだろうという気がしています。
もし今後、私が車で出掛けた先で何らかのトラブルがあったものの、相手の車が見付からないような場合、人間の心理として「このまま逃げてもわからないのではないか?」という悪魔の囁きが頭の中に響いてくることもあるかも知れません。しかし、もし万が一被害を受けた方が何とかして犯人を見付けようとして、ドライブレコーダーや防犯カメラの解析からその事故の全貌がわかってしまったら、普通に生活している環境がその場で崩れ、最悪の場合、ネットやテレビでその動画が拡散される可能性もあるかも知れません。
普通の事故の場合でも当て逃げ・ひき逃げが大きな非難を浴びることになりますので、車のドアを開けて隣の無人の車にぶつけてしまったような事故であっても、その場で保険会社に電話して適切な指示をあおぐべきだと思います。そうした初動対応が行なわれていれば、あくまでその場の粗相ということで相手にも理解してもらえますが、今の世の中では「無かったことにする」ことは難しく、簡単に時を戻して自分の行動が問題視される可能性も出てきます。
もちろん、旅先では事故やトラブルに気を付けて運転することにこしたことはありませんが、どんなに気を付けても偶発的に起こってしまうことはあります。その時になって慌てないように、今の社会は逃げ得を許さない仕組みがあるということも考えた上での責任ある行動をするようにしたいものです。