民放の地上波テレビ同時配信はまず日本テレビから

前日の内容と関連しますが、ここまで主に民放(NHKもかろうじて参加)の放送された番組を後日見逃し配信していたサイト「TVer」において、2020年10月から一部の番組について地上波と同時配信が試験的に行なわれるだろうということがわかりました。

すでにNHKでは専用アプリの「NHK+」でネット配信による同時放送が行なわれていますが、まだ民放では同時配信が行なわれていませんでした。最初は日本テレビが行ないますが、放送開始からずっとというわけではなく、時間帯は午後7~11時の「プライムタイム」を中心に行なうということで、どのくらい利用されるかによって今後の展開が変わってきそうです。

そもそも、インターネットによる同時配信というのは多くのアクセスに耐えられるだけの回線の整備が必要ではあるのですが、果たしてどのくらいアクセスがされるのかは、社会的な状況とも関連するところがあるので、今後の状況をしばらくは見ていくことになりそうです。

さらに、この種の同時配信を危惧する動きの中には、日本全国にある「地方局」の苦悩があります。今回の日本テレビにおいても、全国ネットの番組がほとんどではあるものの、中には関東や一部の地域としかネットしていない独自番組が存在するわけですが(夕方のニュースや深夜番組など)、今回の発表はそうした独自番組が配信されないような時間帯を同時配信する時間帯としたわけで、日本テレビは系列局に最大限に配慮していることがうかがえます。

ただ、多くの人がスマホやパソコン、はたまた大画面のテレビで直接「TVer」アプリを起動してネットからの同時配信を楽しむようになってくると、そうしたテレビ局同士の配慮を超えた部分で事態は動いてきます。一番の大きな変化になると見られるのは、民放各局が横並びでプライムタイムの同時配信を行なう中での「テレビ東京」の動きでしょう。

ちなみに、一部の地域が関東や愛知県の地上波エリアに入っている静岡県では、県庁所在地である静岡市を中心とした静岡県中部地域ではテレビ東京系列が同時ネットされておらず、テレビ東京の番組は地方局に売られ、休日の午後などにテレビ東京の人気番組が県内の民放各局で放送されるような状況になっています。

もしテレビ東京が他の東京キー局と横並びでプライムタイムの地上波同時配信を開始した場合、週遅れや月遅れでしかテレビ東京の看板番組を見ることができなかった地方の視聴者がリアルタイムで番組を見ることで、地元局が番組を購入して放送しても、一回見たものだからと視聴されなくなる可能性は高まってきます。ただ、テレビ東京においても先行した日本テレビに対抗し、テレビを見なくなったと言われる人たちを自分達の作ったコンテンツに引き止めるためには、同時配信の検討をせざるを得ないでしょう。そうなると、地方のテレビ局の制作に対する姿勢は変わってこざるを得ないでしょう。

車中泊とテレビというのは、インターネットが普及する前から見たい人は膨大なコストを掛けて車内にテレビを設置し、地上波の視聴が難しい場所においても、衛星放送のアンテナまで設置している人もいましたが、今後はスマホ一台で地上波ならリアルタイムでどこでも見られてしまう状況になり、渋滞が続く車の中で見たり、人がほとんどいないような場所で車中泊をしてもスマホでネットが利用可能ならテレビからの情報を入手できるなど地上波同時配信のメリットは大きいです。ただ、ローカルニュースや天気予報は関東中心になってしまいますので、現地の情報についてはGPSを使用するなどしてネットからの情報集収で補うことも必要になります。


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