あえて「ガラパゴス化」することで魅力が上がることもある

新型コロナウイルスの流行は、海外から輸入したり生産することのリスクを明らかにしてしまいました。そして、なかなか物が売れない中で、いかにして企業は業績を回復させていくかを考え直さないといけなくなっている気がします。

日本の一番の輸出品は自動車ですが、海外での売上を上げるためにはその国でのニーズを調べてその国に合った形で車を作ることが必要になるとは思いますが、最近のネットニュースで「軽トラ」がアメリカで人気というものがあり、ちょっと不思議な感じになりました。

アメリカの車というのは、とにかくデカイという感じで、それ故に細い道の多い日本では売れないという印象がありますが、逆に考えると車での移動距離が長く、道も広いアメリカでは軽トラを始めとする日本独自の軽自動車を好んで乗るような人はいないだろうと普通に考えると思います。

しかし、日本だけでなくアメリカでも日本の軽トラは農家の人に人気なのだそうで、使い方としてはゴルフ用のカートのように作業中の移動手段としてかなり使い勝手が良いのだそうです。さらに、燃費が良いこと。日本独自の車ということで、日本国内生産だという点や、あの小ささでかなりのものが載るということ、さらにあえて定員を2名にした潔さも受けているようです。

日本の軽自動車の規格というのはしばしば海外メーカーの参入を妨げる「ガラパゴス化」した規格であるという非難もあるものの、日本の古い街の中には普通自動車では通り抜けることが難しいところもありますし、そんな中で日本人の細かな自動車に対するニーズに合わせて変化していくことで、あらゆるニーズに対応できるくらいまで軽自動車は進化を遂げています。もともとは国内専用の車のはずが、日本から見るとしたたかな貿易相手国のアメリカのユーザーからも特に軽トラがそのニーズを認められることになったのだろうと思います。

産業のガラパゴス化というのは、まさに「ガラケー(ガラパゴス携帯)」という言葉に象徴されるように、日本独自の進化を遂げることによって世界の流れに乗り遅れ、業界のイニシアチブを取れなくなることの弊害が言われてきました。しかし、軽トラのように日本の農家や配送業、一般ユーザーの意見を聞きながらグレードアップを繰り返していくことによって、何の売り込みもしなくても向こうから求められるくらい、ニーズを認めてくれるということもあるわけです。

そういう意味からすると、ガラケーという形態だって各種メッセージアプリ(LINEやTwitter、InstagramやFacebookが)使え、普通にGoogle Playが利用なくてもバージョンアップで必要十分なコミュニケーションが取れるガラホが出てくればそれなりの国内需要はあるでしょうし、日本製ながらの細かな利用者に対する配慮が海外のユーザーにもアピールするものに仕上がっていく可能性もあるのではないかと思うのです。

スマホの場合便利ではあるものの、電池の持ちが悪かったりアプリの入れ過ぎで動作が不安定になったり、タッチパネルを使っての電話に出たり電話を切ったりするのに違和感を持つ人がいたりと、すべての機能を詰め込むことによってのデメリットはあると思います。そうした思いを持つ人のために、日本のメーカーが本腰を入れて新しいSIMフリーのガラケーやガラホ(つまり、SIMを入れ替えると海外でも使える)を出してくれてもいいのではないかと思います。

この辺は自動車業界と通信業界の違うところで、現在ガラケーを不満なく使っている人に対してまでスマホに買い替えさせて高額な基本料金に換えさせるというのは、自動車業界でいえば軽自動車の生産を止めてしまい、小型自動車の税率を換えずにディーラーが強引に小型自動車への乗り換えをすすめるようなものです。

そんなことが自動車業界で行われていたとしたら、最初に紹介したようなアメリカでの軽トラ人気が起きても一時の限定的なブームだけで終わってしまっていたでしょう。個人的には固定電話のような「親機のような子機」とセットで使えるガラケーの新製品が出たら、固定電話の代わりに使えるので自宅用にほしいですが、日本のメーカーはなんとか考えていただけないものでしょうか。


カテゴリー: 車中泊に適した車種 | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す