ここのところの通信サービスについての流れとはかなり変わってしまいますが、たまたまニュースで耳にした2つの上司によるものと思われるパワハラによって精神を病んでしまった就業者が自殺したことでの事例について考えていくと、行ったら自分の身も危うい職場と、何かあった場合には会社が個人を守ってくれそうな職場との差が見えてくるような気がするので、ここで紹介することにします。
たまたま一昨日のニュースで、静岡県浜松市に本社がある楽器製造の方のYAMAHAの30代の男性社員が2020年1月、上司から厳しい指導を受けて体調を崩し、自ら命を絶ったというショッキングな話が入ってきました。この件についてYAMAHAは、社内の通報窓口に昨年末、男性へのパワハラを示唆する情報が寄せられていたということもあり、改めて第三者の弁護士に依頼して調査したところ、上司によるパワハラ行為の影響があったと認定し、上司を3月末で退職扱いとしたのだそうです。
細かいことはこのニュースだけではわからず、ネットでは早速この上司の名前が誰なのかという「犯人探し」が行なわれていますが、その内容については不確かなところも多いのでそうした情報に踊らされることがないように個人的には考えています。一つ言えることは、実際に自殺により将来のある有能な社員の命が永遠に奪われてしまったということで悔やんでも悔やみきれませんが、それでも第三者の調査がきちんと機能し、今後二度と同じような悲劇を出さないとしているYAMAHAの姿勢は現状ではそれなりに評価できるような気がします。
遺族の方々の心情としては、少なくとも「何が原因で」自殺に至ったのかということについての説明がされることを望んでいただろうと思います。しかし、そうした希望が通らなかったのが、ここ連日報道されている財務省近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さんが妻に残した手記についての一件です。
赤木さんの手記が週刊文春に公開されることになった理由のひとつに、遺族が赤木さんの手記にあったようなパワハラが本当にあったのかということを知りたいということがあるでしょう。遺族を取材された方の記事を見ると、手記にあったような内容と、財務省の説明があまりにも違う中で、世論を動かして再調査に動いてもらおうと思ったような記載がありましたが、財務大臣はそうした報道を受けても、再調査せずという方針を出しました。今後は民事裁判の方に舞台は移るということになりそうですが、折角苦労して国家公務員となり、「親方日の丸」で将来は安泰というような目で見られている職場であるにも関わらず、まだ十分に働きざかりの人間の心を病むような仕事内容とはどんな事で、どんな風にして最終局面にまで追い込まれていったのか、はっきりしてくれないと、ノンキャリアで国家公務員になるのは危険だと思われても仕方ないでしょう。何より、今の政府が「働き方改革」をかかげ、仕事に抹殺されるような働き方を改革しようとしているのに、足元でこんな事が起こっているということ自体が問題です。
今の世の中はいくら精神的な事を言ってもきちんとした働き先があり、安定した収入がなければちょっと社会の流れがおかしくなっただけでもぐらつき、今までの生活が維持できなくなってしまうようでは困ります。しかしそれでも、自ら命を絶つような事になる仕事に就くということになるなら、その前にもう少し考えてほしいですし、単なる見栄で大企業や公務員という仕事を選ぶのではなく、生活の満足感を重視するような進路を、今の学生の方々には選んで欲しいと思います。会社の選ぶ判断の中に、その会社や団体で過去にどのような事件が起き、上司のパワハラにはどのように対処しているのかということも十分にネットで調べてからエントリーされるのがいいと思います。