Amazon日本法人にみる法人税についての話

先日、楽天市場の一部送料無料の決定について少し書かせていただきましたが、それ以前から同じように批判を浴びていたのが世界的なネット通販の企業であるAmazonが日本で得た利益にかかる税金を米国のみに払っているということでした。

日本で大々的に企業活動を展開し、その利益が全く日本政府に落ちないというのは、普通に考えてもおかしく、その点では日本で税金を払っている楽天に肩入れする方も少なくなかったのではないかと思います。しかし、Amazonの日本法人が考え方を変え、法人税を収めたことがニュースになっています。報道によると2017年と2018年分で300億円弱の法人税を払ったということです。

このようにAmazonが考え方を変えた背景には、現在の形態ではさらにAmazonが日本で行なおうとしている事業を行なう事について制限がかかるということがあるようです。ということは裏を返すと、Amazonが電子マネーや流通に直接関与するような事も当たり前になってくる可能性が高いということです。今まで日本国内でちまちま攻防を繰り広げてきた電子マネーも、Amazonの参入をきっかけとしてまた状況が変わっていくことも十分に考えられます。いよいよ黒船が本格的に日本で動き出すかという感じのするニュースでありました。

翻って話を法人税についての話にしてみると、消費税が上がる中、法人税が下がることについての功罪についての議論は、昨日たまたま見たテレビのワイドショーでも取り上げられていました。年金や医療費の支出に備えて、今後消費税は15%まで上げた方がいいという事を言う学者の先生方がいる一方で、消費税を下げてその代わりに資産に税金を掛けたり物品税としていわゆる贅沢品に税金を掛けたり、さらに法人税を米国並みに上げた方が全体の税収は増えるのではないかと言う専門家もいます。

法人税を上げることに反対する意見の中で、過去にはもし日本政府が法人税を上げたら、今まで法人税を払ってきた日本の企業の中には、日本を飛び出して外国に逃げていってしまうという説を唱えられた方もいたかと思います。しかし、今回のAmazonの動向を見ていくと、日本での事業に見切りを付けない限りは、日本で法人税を払ってでも大きな利益の出る事業を展開していくという決意のようなものが見受けられるような気がします。

前回書きました白物家電についても、日本メーカーの力は確実に弱くなっていて、これ以上法人税が上がれば一部の企業はさらに海外の企業に身売りするのも仕方ないというようなケースもあるのかも知れません。他の方はわかりませんが、私の場合は昔のように「日本のメーカーがとにかくナンバーワンだ」というような考えに凝り固まることはありません。そもそも景気の後退で自分の中で使える所得が減っていってしまっているので、価格の高いものを購入する前にはしっかりと検討し、性能だけでなくアフターサービスも含めて購入候補を検討する中、ちゃんとしたアフターフォローがあるのなら、海外のメーカーの品であっても購入には躊躇しない感じになっています。

もちろん昔から良く知っている日本のメーカーの方が修理を受ける窓口も多いと思いますが、もし日本政府が方針を変えて法人税を上げたとたんに会社の本拠を海外に移転するような事をする企業があれば、少なくとも私は同じ性能を持った製品を比較する際の購入候補から外すことになるでしょう。

ですから、米国並みに法人税率を上げたとしても、そこまで日本の有名な企業が日本国内にいる顧客を差し置いてまで税金逃れに動くかということについては、懐疑的な見方をしています。逆にAmazonが今後日本市場でさらなるシェアを取ったのを見て、他の外国企業も大規模な日本進出を模索し、業績の伸びによっては日本国内で法人税を収めるような形になると、今のまま法人税を安くしているということは外国企業をさらに利することになるのではないかとも思えます。

まずは今回の報道を受けてのAmazonの今後の事業展開がどのようになっていくのかを見ながら、何とかトータルでの日本の税収が上がるような形で税制改革を進めていって欲しいと、一消費者の立場として願わずにはいられません。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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