夏休みに入り学生を中心に観光地へのお出掛けを計画している方も多くいるのではないかと思います。このブログでは車中泊のための道具を紹介した項目もありますが、どこでもそうした道具を使っていいわけではなく、あくまで現地での指定や現地の方の指示に従ってトラブルを避けることを奨励しています。
日本でも来年にやってくる東京オリンピックだけでなく、ラグビーのワールドカップが今年に開催されることも有り、海外からの観光客が日本の有名な観光地にどっとやってくる可能性がありますが、特に京都では一昔前から比べると海外からの観光客は相当増えている印象があり、中途半端な市バスの停留所では有名な観光地まで行く観光客でバスがいっぱいになっていて、いつまで待っていてもバスに乗れないような事も起こっており、特に市バスを日常の足として使っている住民の方にしわ寄せが来ているようなところがあります。
こうした傾向は日本だけのものではなく、世界の有名な観光地でも同じで、先日のニュースでお目にした方もいるかも知れませんが、新しい条例で海外旅行客が高額の罰金を支払った上で退去を宣告されたということが配信されました。
その場所とはイタリアの水の都「ベネチア」で、人口5万5千人のところに年間3,000万人の観光客がやってきて、一部の観光客のマナーの悪さに困っていたということで、新たに条例を作ったということです。その内容というのは、特定の場所における戸外での飲食、噴水での水浴び、公共の場で上半身裸になることなどを禁じ、違反者には多くの場合、厳しい罰金が科せられるものになっているのですが、今回はその条例が適用されて罰金を科すことになったのです。
摘発されたのはドイツからやって来たバックパッカーで、恐らく彼らはどこへ行ってもそのロケーションの中でキャンプ用のコンロを使ってお湯を沸かし、コーヒーを淹れて飲むのが当り前だったのだろうと思います。しかし、観光名所「リアルト橋」の石段で同じようにコーヒを飲んでいたのがベネチアの条例における「戸外での飲食」という項目に引っかかり、通行人によって警察に通報されたのだそうです。逆に言うとそこまで観光客のマナー違反の行動に困っているということなのでしょうが、このように全世界にこのニュースが配信されたことで、ベネチアを観光する場合に気を付けなければならないと思う人が増えるはずで、その点はベネチア側の想定通りのニュースとして配信されたと言えます。
しかし可哀想なのが、その対象としてピックアップされてしまったバックパッカーたちです。今回の行動における罰金というのは950ユーロで、日本円で約11万5000円ということで、お金をできるだけ使わないで世界中を旅している人にとってはかなり高いと思われる金額です。こうした事はこれから日本を含む世界中の都市でこのような条例が作られる可能性というものも考えておかなければならないと思います。
日本のどこかでもしベネチアと同じような条例ができたとして、きちんと取締をするのかという懸念もありますが、観光名所で煮炊きとまでは行かなくとも、コーヒーを淹れるくらいの事をしただけでも罰金になる状況というものができたとしたら、かなりセンセーショナルな事になるのではないでしょうか。現代の日本ではタピオカミルクティーを飲みながら観光地を歩き、まだ中味が残った容器をその辺に捨てていく観光客がいることが問題になっていますので、このくらい観光地での飲食に甘い日本でベネチア並みの条例ができるのかどうかはあやしいと思っていますが。
道の駅の駐車場で煮炊きを含むキャンプ行為をすることの是非というのは、基本的には火事の危険があるので使わない事が暗黙のルールになりつつありますが、やはり世界のどこへ行っても地元の人がいる中で火器を使ってお湯を沸かしコーヒーを淹れるということはマナー違反だと言われると同時に、みっともないと思われてしまいかねない行為であることも考えなければならないと今回の報道によって感じました。
もし旅先でコーヒーを淹れたい場合には、まずは事前にその場所で禁止されていないかということを調べた上、さらに、同じ川べりでも人がやって来ず火事が起きる心配もない場所で使うべきでしょう。私の場合はそうして沸かした熱湯を屈指の保温能力を誇る日本製のステンレス水筒に入れ替え、コーヒーが飲みたければ水筒から直接お湯を出してコーヒーやお茶、さらにカップ麺などもいただける環境を作っていきます。
そして、野外で飲食をする場合にはゴミの問題もあります。飲食そのものは日本では禁止にならなくても、ゴミをポイ捨てすることについての罰則ができてくる可能性はあります。特に車で移動するのなら、車の中にゴミ箱を用意して現地で捨てずに持ち帰り、自宅まで持っていけないという事ならガソリンスタンドで給油の際にごみ処理をしてくれるかどうか尋ねてみるのも一つのやり方です。オートキャンプ場を使えばいいという考え方もありますが、予約が取れない中で出掛けてしまった場合もあるでしょうし、そんな時でも地元の人たちに迷惑を掛けないで楽しむためには、自分達の行動が外からどう見られているかということも考えてみることが必要になるのではないでしょうか。