無人運転車でも乗務員を置く必要性はあるか?

「逆走」というのは自動車だけの話だと思っていたら、何と案内軌条式による新交通システム (AGT) である「横浜シーサイドライン」という自動運転の公共交通機関の端にある「新杉田駅」で逆走事故が起こってしまいました。

この路線は全路線において運転手が乗車しない「自動運転」の車両でした。道路上を走る自動車でなく、軌道上を走る車両なら、普通に考えると事故など起こるはずもなく、事故がないということが日本が世界に誇る事として今まで声高に語られてきたことです。しかし、不幸にも事故は起こってしまったのです。

事故の顛末は、新杉田駅から金沢八景駅方面に発車しようとした車両が、進行方向とは逆である車止めのある方に急に動き出し、その際のスピードは時速20km/hを超えていたという話が出てきています。このスピードはそれほど出ていないと思われるかも知れませんが、報道では事故時乗っていた乗客50人以上はいたということですが、その中の14人がけがをし、そのうち6人が骨折などの重傷という、命にかかわる乗客はなかったもののかなりのダメージを受けた人がいることがわかります。

同じ速度でぶつかったとしても自動車が普通に走っている中で衝突するような場合は、乗っている人は車外の状況がわかればぶつかる前に身がまえるだけの時間の余裕があればそこまで大きな怪我にはならないと思います。ただ今回の場合は、いきなり逆方向に車両が動き出し、何が何だかわからないうちにあっという間に衝突ということですから身がまえる時間がなく、大きな力がかかったためにこんな事故になったということも言えるでしょう。今回は自動車ではなく新交通システムということで違いはありますが、まさか自動制御された運転が間違うとは乗客は思っていなかったはずで、こうした事は自動車の自動運転車で起こった場合も、自分で運転していれば大きな怪我にはならなかったケースでも、自動運転だからと安心しきったために大きな怪我をする可能性があるということを考えざるを得なくなりました。ですから、今後完全な自動運転のシステムが乗った車が市販された場合、ぶつかった時の衝撃を和らげる仕組みが今以上に必要になるような気がします。

ただ、今後の事を考えると心配なのは、今回の事故の原因がこの文章を書いている事故から2日後も良くわかっておらず、しばらくは代行バスによる輸送を続けたもののバスに乗れない人が続出したことで、まさかの有人運転による再開を決めたのだそうで、この辺も時代に逆行しているのか、日本の社会自体に不安要素が出てきたのかが気になります。こうしたニュースとは関係なく、他の公共交通機関や自動車の自動運転の研究は進んでいて、事故のために研究が中止されることもないとは思いますが、まずは今回の事故原因の究明を行なっていただき、同じように暴走する恐れがないかきちんと検証していただきたいものです。

その原因について語られる中で、ちょっと気になったのは一部の報道の中で、担当者の言葉として「電車を止める方法はあるが、逆走するという概念がそもそもなく、この事象は初めてなので止めるのは難しかった」と話していたということです。人間ならありえない逆走でも緊急ブレーキを踏んで車止めにぶつかる寸前に止めることもできたのかも知れませんが、そもそも逆走という概念がシーサイドラインの自動運転のシステムでは考えられていなかったということなら、運転手は無理でも誰か乗務員を置いて非常時の対応を考えることも必要だったのではないかとも考えられます。さらに、乗務員が乗っていない車内で関東大震災級の大きな地震が起こった場合、緊急停止した後で誰がドアを開けて避難誘導は誰がするのかという根本的なところも気になります。

緊急時には列車の運行を監視している別のところから遠隔操作およびスピーカーからの指示を出し、駅に待機している職員が駆けつけるようなことが決まっていたとしても、肝心の電気が切れてしまっていたらそれまでです。新交通システムを含めた鉄道に乗る時、船や飛行機のようにあらかじめ非常口の確認やもしもの時についてのレクチャーはないまま乗客は車内に乗り込むわけですから、公共交通機関であくまで無人運転をする場合、他の乗務員を置くか置かないかということもきちんと検証していただきたいと思います。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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