海外テレアポのアルバイトの行く末

先日、タイの警察が日本から詐欺のための電話を掛ける集団を拘束し、日本の警察に引き渡したということがニュースになりましたが、ニュース映像を見ると、全体的に悪いことをやったという感じでうなだれているのではなく、普通に話をしていて妙に明るいのは何だったのだろうという疑問がありました。

そんな時、たまたまテレビニュースの特集で、「甘い言葉の高額バイトにご注意」というような題のニュース特集を見る機会がありました。その特集で取材した電話による詐欺集団の電話を掛ける係の「掛け子」を募集するとは直接言わないものの「海外へ行ってマニュアルに沿って電話を掛けるだけで一日10万円の収入になる」と甘い言葉で誘っている人がいることを明らかにしました。この事実はテレビ局のディレクターが身分を隠して高額バイトの内容を聞くうちに(内容は録音・録画してニュースソースとして流していました)明らかになったものです。

その後、どんな手を使ったのかはわかりませんが、電話の先のバイト勧誘の人にテレビの記者が自分の素性を明かし、募集した仕事の実態について取材することに成功したのです。その内容というものは、私の想像の範囲を越える事実でした。というのも、バイトを申し出を受け入れ、手配された通りに海外に行くと、毎日10万円あると言われた報酬はなく、同じように集まってきた人とともに複数の部屋に押し込められて電話を掛け続けさせられるという事が本当のところらしいというのです。いわゆる「高額なテレアポスタッフ募集」に応募すると、全ての場合で今回のような事になってしまうことはないかも知れませんが、こうした事が平然と語られるのは実に恐ろしいことです。

高額のバイトに応募するような人というのは潤沢な貯金があるわけではないでしょうから、日本に帰るお金がなければその場所からも出られずに、いわゆる「営業成績」を上げられずにいるとその部屋からも追い出されてしまう恐怖から馬車馬のように働かされ、ずっと飼い殺しのように過ごさなければならないかも知れません。最初に紹介したタイで摘発された詐欺電話の掛け子集団というのが、もしそうして集められ、日本にいつ帰れるかどうかもわからない中でずっと働き続けていたとしたら、冒頭のように捕まったことで地獄から解放されたという想いがあっての態度だったのかも知れません。

結局のところ日本に残るのも、海外に行って戻って来られないのも地獄で、悪い人たちは人間の弱さに漬け込んでさらなる悪い状況に引きずりこもうとしている実態があることをたった10分くらいのニュース特集で知ることになってしまいました。

冒頭の詐欺で逮捕された人が、昨日一斉に日本に帰ってきたことがニュースになっていましたので、一連の事はすべてつながっているのかも知れませんが、海外で生活しながら高収入というのはいかにも怪しい謳い文句です。そこまで高額ではなくても、何の技術も資格もない応募者に地域の相場よりかなり高い給料を出すというのは、まずは周りの人に評判を聞くなり、キーワードを使ってネットで調べてみるなりすれば、その仕事がブラックなのか犯罪的な行為に近いものなのか、それとも犯罪そのものなのかということを冷静に判断することができると思うのですが。

とは言え、まだまだ自宅にいる時に特に休みの日などは「詐欺ではないか?」と思われる電話が自宅にも掛かってくるのが現実です。私の場合は実在の地方テレビ局の名前を出したアンケートということで掛かってきたのですが、これも海外から掛けたものだったのかとにかく回線状況が悪く「何言ってるかわからないんですが(^^;)」と何回も言ったら向こうから切られてしまい、被害を未然に防ぐことができました。こんな経験はニュースソースにもならないくらい多くのご家庭に電話が掛かってきているのが現実だと思うので、多額の報酬を提示されて冷静にならないうちにこの世界に飛び込んでしまう人も結構まだいるのではないかと思えます。

ネットの世界ではあらゆるものがオークションやフリマで売られ、買うことができるようになり、全てのものがお金で買えるというような感覚になる中、楽をしてお金を得る手段があれば私も教えて欲しいですが(^^;)、何の問題もなく高収入な案件というのはごく限られた人しかありつくことができないだろうと思いますので、くれぐれ冷静に自分で考えてから行動することを忘れないようにしてもらいたいですね。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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