月別アーカイブ: 2018年4月

東京オリンピックとともに終了するPHSが残した教訓

前回紹介したように高速道路に限って自動運転を利用できる車や、携帯電話の通信方法としての次世代通信の5Gの実用化など、東京オリンピックが開催される2020年を目指して開発が行なわれているものは多いですが、それとは反対に、2020年の7月に料金プランの提供を終了することを発表したのが現在Y!mobileとウィルコム沖縄でサービスが続いているPHSです。

今となっては携帯電話サービスにエリアや加入人数で差を開けられて尻すぼみのような形で終わっていくようにも感じられるかと思いますが、今の大手3キャリアが全くもって横並びのサービスで推移していることを考えると、改めて大手以外の競争相手がいないと、今後の通信サービスはどうなってしまうのかと思ってしまいます。

もともと大手キャリアはスマートフォンの導入よりもいわゆる高性能のガラパゴス携帯を高額で売り(それもiPhoneの登場ともにガラケー時代は終焉を迎え、日本メーカーはスマホ分野で遅れを取ったのはご存知の通り)、iモードのような携帯電話専用のインターネット接続でお金を取り、さらに携帯サイト利用料などという今となっては考えられないような形でお金を毎月徴収することがビジネスモデルとして行なわれていました。通話についても無料通話の付いた料金プランが普通で、データ通信料についても使っただけ青天井に増えて社会問題となったりしているとことに登場したのがウィルコムの「Eメール使い放題」や「データ定額」であり「だれとでも定額」につながる音声通話の10分以内通話の定額制を始めたのもウィルコムが初めてでした。

データ定額は最大32kbpsと今から考えるとかなり遅いわけですが、この定額がすごかったのは端末本体での利用だけでなく今でいうテザリングとして端末をモデムのようにパソコンに繋げて使ったり、本体が単三4本の電源で動くモバイルルーターのような製品までありました。携帯電話会社では今でも本体以外の別の端末でインターネット利用をする場合のテザリング料金を設定しており、実際にその料金を徴収しているところもありますが、PHSの世界ではデータ通信カードとしても販売していたこともあり、テザリングに使えることが普通だったわけです。

それならなぜPHSに勢いがなくなってサービス終了にまで追い込まれたかということになりますが、それは独自のビジネスモデルで相当儲かっていた携帯電話各社が、ウィルコムに顧客を奪われることを恐れ、データの定額プランや、音声通話の5分定額・10分定額、24時間通話放題というような、ウィルコムのサービスを真似たプランを導入することで、そのサービス網と広いエリアを求めるユーザーをつなぎとめる方策を取ってきたからです。

あと、ウィルコム没落を決定づけたのが、日本通信を最初にしてウィルコムと同じくらいのテザリング自由のデータ定額プランを月千円を切る安い価格で行なったMVNOの台頭があったと言うことができます。日本通信は当初はウィルコムから回線を借りての商品も出していましたが、やはりエリアについてはどうしても対抗できなかったのが仇となりました。
私が今使っている携帯電話のプランは音声通話定額のものが中心ですが、特に24時間通話無制限のプランは、使い方によっては携帯電話会社の利益にならない可能性があると言われています。ただ、こんなプランが今も使えるのはウィルコムがそれほど高くない価格で通話無制限プランを出し、特にビジネスユーザーの流出を避けたかったからだと思われます。今後は音声通話でもデータ通信を使ったIP電話の利用が伸びてくることが考えられるので、今の状況も変わってくることが予想できますが、ウィルコムとしてはまさか通話定額まで真似されるとは思わなかったのではないでしょうか。

今後、新たに楽天が新しい通信事業者として加わる中で、今までのような護送船団に楽天が加わるのかどうかも注目ですが、逆に楽天としても自分達がウィルコムのようにならないためにどうしたらいいかということも十分考えながら事業について考えを巡らせていることは確かでしょう。しかしその結果、通信料金が高値のまま据え置かれ、端末購入のために3年から4年縛りが当り前になる状況を良しとするような事になってしまっては、将来も普通の家庭の中で通信費の捻出額が多くなるあまり、他の物が買われないという一部の状況が変わってくることはそれほど考えられません。

楽天の参入に関しては、ドコモや他社のように通信品質を常に人の目でカバーするための体制が取れるのか、基地局を設置する場所を電柱にした場合(楽天は電力会社に協力を仰ぎその設備を使った基地局を増やしていく方針)、大きな災害が起こった場合にはどうするのか、そもそも用意できないインフラについては大手から回線を借りるという方針で大丈夫かというようなネガティブな意見もあります。そのため、無難に立ち上げるためにはあまり他のキャリアを刺激するような挑発的なプランを出してこないかも知れませんが、ウィルコムが現在のモバイル通信で当り前に使われているものを出してきたから今があるということも確かです。楽天には大変な部分もありますが、何らかの爪痕を残しつつサービスを維持していく道を探りながらサービスを展開していって欲しいとPHS終了のニュースを聞きながら思いました。


自動運転が実用化されたら運転席で何ができるか

まだ一般ドライバーにまでは自動運転車が普及することはないとは思いますが、日本メーカーの目標では2020年くらいをメドに高速道路上で自動運転ができる「レベル3」くらいの車を市販するということがあるということで、あながちそんな未来の話でもないと言えるでしょう。

というのも、公道を走る車はそれほど多くなくても、いくらか走っているというのなら自分の車で走っているような時に遭遇する可能性はあるわけで、さらに言うと事故の相手になる可能性もあるわけです。その時にドライブレコーダーで相手車の様子を録画できたとして、もし相手のドライバーがスマホで何かを調べている瞬間を捉えてしまった場合、普通の車を運転しながらそんなことをしていたのでは相手の過失として一定の責任が生じると思われます。ただこの時、相手の車が事故をした状況で完全に自動運転により動いていたらどうなのかというのが、今回紹介したい話なのです。

警察庁の有識者が参加した調査検討委員会が4月17日に出した自動運転の段階的実用化に向けた法的課題について出した報告書があるのですが、そこで自動運転中に運転者は何をしてはいけないのか、また何をするのは大丈夫なのかの議論があったことが報告されているのです。

その報告書で出ている見解としては、「運転にすぐに戻れる姿勢であるべき」ということでした。そういう意味からすると、たとえ運転席に座っていたとしても席上で寝てしまったらアウトということになりそうです。

ただ、普通の運転では行政処分の対象になりかねない「テレビ視聴」「スマホやガラケーの通話およびメールの送受信やウェブ閲覧」「前を見ながらの食事」「雑誌や書籍、新聞(この場合は視界を妨げるように広げることはグレーになりそう)の閲覧」くらいまでは今の時点では自動運転中にやっても大丈夫だくらいの話になっているそうですが、ただこれはかなり自動運転車が普及してからの話ではないかと思うところもあります。

というのも、事故は起こさなくても車の運転者が「テレビをガン見している」「運転中に電話したりスマホいじり」「運転しながら食事」「運転しながら読書」なんていう行動をしているのを警察官が見とがめたら間違いなく停止させて違反切符を切られる流れになるでしょう。その場合、警察官は自動運転車かそうでない車であることをどこで見分け、疑わしい行動を取った(自動運転中)場合は停まらなければならないのでしょうか。それとも警察官の方で自動運転車を把握し、その車については停止させないような事ができるのでしょうか。

また、自動運転車の運転席に座る立場でも考えることはありそうです。というのも、自動運転のため単に運転席に座っているだけで前を見るだけということになると、やってはいけない居眠り状態になってしまうかも知れません。自分で運転している場合にはすぐに休憩を取るケースでも、居眠りをしながらかなり長い距離を走ってしまう可能性も出てきます。果たしてそういう場合は何かのペナルティが事故を起こしていなくても与えられるのでしょうか。こんなことも考えてしまうほど、自動運転で運転することへの労力が極端に少なくなったらなったで考えておかなければならない想定はかなりあるということがわかります。

個人的には高速道路での前車との距離を一定に保って走り続けることのできるオートクルーズは便利だと思いますが、少しの車間距離を見付けて割り込んでくる車があるたびに減速と加速を繰り返すようになります。自動運転でなければ普通の運転の延長線上にあって車を操作するだけですが、自動運転の場合は乗っている人がもしかしたらストレスに感じることもあるかも知れません。このように、単に自動運転車が開発されるということではあるわけですが、車が動くことに関する様々な事が起きる想定というのはここで考えているだけでなく、数限りなくあるわけですから、今後の法整備も大変だろうと思います。

今回の警察庁をはじめとして関係各所での地道な努力が今後の新たな自動車文化を作るということもあります。本当に議論をするのは大変だと思いますが、現場が極力混乱しないように、しっかりと議論を重ねていただき、スムーズに移行できるようであればいいと思います。


「超薄型有機太陽電池」開発のニュースで何が変わるか

一部新聞で発表がありましたが、以下のリンクで詳細を確認されるのがいいと思うのですが、理科学研究所が東レとの共同研究で服にプリントするようにして設置できる「超薄型有機太陽電池」について発表しています。

http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180417_1/

私たちが太陽電池と言えば、家の屋根に設置されているようなパネル型の太陽電池を想像されると思いますが、この有機太陽電池というのは基盤込みで3マイクロメートル(0.003 ミリメートル)という薄さで100℃の熱でも劣化しないという特徴があるので、衣服にアイロンプリントのような形で加熱接着することも可能なもののようです。当然本体が曲がったり伸ばしたりもできるとのことなので、「着る太陽電池」が今後実現する可能性があるということです。

エネルギーの変換録効率も約10%と、超薄型の有機太陽電池の中では最も高いということでこのままでも実用化できるレベルにあるということなのですが、まだもう一つ越えなければならない問題も持っているそうです。

というのも屋外に晒すような形になる時に、酸素や水の影響による劣化が早いということで、それだと悪く言えば使いすてのものになってしまう可能性があるので、ある程度長く使ったり雨に当たったり、洗濯をしたりしても大丈夫なコーティングなどの対策が必要になるようで、今後については2020年代の初め頃の実用化を目指すとのことです。

個人的にまず考えるのが災害用の防寒具兼自力発電のための衣服として備蓄するようなこともできるでしょう。普通の大人が着るくらいの大きさでどの程度の発電ができるのか、スマホやモバイルバッテリーの容量を増やすぐらいであったとしても、太陽電池そのものを荷物でなく衣類として常に着ていられるということは、日頃スマホを使いまくるような人にとってもありがたい服になる可能性はあります。また、既にある中からファンで空気を送る「空調服」においても、常にバッテリーに充電しながら空気を回すことが可能になるので、真夏の熱中症対策としても期待が持てます。

また、テントやタープにこの有機太陽電池を仕込み、その面積がそれなりに広ければ登山を生業に日照がある程度確保できる時期の山登りを行なうパーティーについては、それなりの電力をバッテリーに蓄えて使うことができるのではないかと期待できます。山登りの荷物というのはいかに荷物を減らすかということで生死を分けることもあるそうなので、今まではパネル型の太陽電池を持って行ったところが、この技術が実用化されればテントやタープに含まれることになるわけで、個人の登山を趣味にされている方まで含んで実用化が待ち遠しいグッズであることは確かです。もしかしたらモンベルのようなメーカーが興味を示しているのかも知れません。

私が期待したい分野としては、ずばり「折り畳み傘への組み込み」です。できれば日傘と雨傘共用のもので、柄の部分にコードを仕込んでくれれば、コード自体が向き出しになることなく出力端子だけを持ち手のどこかにセットすることができるでしょう。雨の時に中に水が溜まってショートしないような構造にできれば、常に持ち歩くものとしては「雨傘」「日傘」「簡易発電器」として3つの用途で使えるわけで、こんな商品が出たらぜひ欲しいと思います。

また、本格的な災害対策用として、さらに日常的にも使えるものとして考えると、車全体を覆うカバーにこの有機太陽電池を仕込めばかなり広い面積の太陽電池を載せられます。カバーは単にバッテリーに繋いでもいいのですが、カバー自体にファンを付けて日中に車の温度を上げないようにできるような機能も付くとさらに面白いかも知れません。車中泊をする方ならあえてテントやタープは持ち運ばなくてもいいので、こうした自分の車に合ったカバー自体が太陽電池があれば、レジャー用としても使えそうですし、軽トラにこの太陽電池を付けた幌をつけてその幌を常時利用して発電するような車中泊車を作ることもできるかもと考えるだけで楽しいですね。


楽天モバイルのカスタマーセンターが「Viber」電話へ

先日新しい携帯事業者として認可された楽天ですが、現在の「楽天モバイル」でも様々な経費削減策が動き出しているようです。企業業者に対しての一般ユーザーの問い合わせというのは様々な方法があり、全てをフリーダイヤルで案内するところもあれば、0570から始まる携帯の通話定額対象外の番号を案内するところもあります。

そうでなく、普通の電話番号を案内することで、掛ける側が料金の心配をしながら掛けることで混雑している時に多くの人が集中することも避けられる事がある半面、じっくりと電話で話を聞きたくてもあえて携帯電話の通話定題にでも入っていなければ、存分に問い合わせをすることができないとお嘆きの方々もいるのではないでしょうか。

楽天モバイルが5月から新たにカスタマーセンター用の電話番号として提供するのはIP電話の一つ「Viber」の電話番号で、データ通信の仕組みを使った音声通話なので、専用のアプリを入れてそこから掛ければデータ通信容量は消費するものの通話に応じた料金が音声通話のようにかかることはありません。

自宅にネットが引いてあり、Wi-Fi経由でネットに接続できる環康があるなら、楽天のデータ通信の高速クーポンを減らすこともありません。ただし、固定電話や携帯の音声電話からカスタマーセンターに直接掛ける場合は時間ごとに一定の通話料がかかったり、5分定額の「楽天でんわ」を使った場合でも、5分を超過する場合は別料金になります。

恐らく今後、楽天モバイルや新たな楽天のキャリアに加入される方は加入時に「Viber」アプリがプリインストールされている端末を使うようになるか、入っていない端末がある場合でもお店の人がインストールするような指導が入るのではないかと思います。その場合取り残されてしまうのが既存の「楽天モバイル」の契約者です。もちろんこうしたニュースで知ったり楽天モバイルからのメールで知ることはできるでしょうが、できれば早めに「Viber」アプリを導入し、そこに楽天のカスタマーセンターの番号だけでも登録できるように準備しておきましょう。

さらに、今後他の事業者(MVNOを含む)でも、経費節限のためにフリーダイヤルの提供を止め、こうしたIP電話によるカスタマーセンターへの連絡が普通になることも考えられます。IP電話は高速クーポンを消費するので、電話をする前にある事をするように心掛けることも場合によっては大切になってくるのではないかと思います。それは何かと言うと、高速クーポンを無駄に消費しないため、業者の中には専用のアプリを用意したり、そうでなくても業者のホームベージにアクセスすることによって「高速」と「低速」を切り換えることができるサービスを行なっているところがあります。もし低速でも電話が十分にできるなら、低速に切り替えてから電話をするようにするのです。

サービスの都合で切り換えのできない業者もありますが、例えばLINEモバイルは高速と低速の切り替えはできないものの、一番安いプランであってもLINE電話を使う場合には高速クーポンを消費しない設定になっているので、それはそれで安心してLINE電話を使えます。

多くの方が気になるのは低速にしてIP電話がまともに話すことができるのかということだと思いますが、最大200kbpsに近いスピードが出ていれば、通話に影響をおよぼすことはほぼ考えなくていいでしょう。

ただし、低速回線に切り替えて使う場合(高速クーポンを使い切って低速に制限されている場合も含む)にお使いのMVNOによって注意しておく事があります。低速での通信なら制限なく使えることをうたっているMVNOならいいのですが、そうでなく最大200kbpsの低速で使う場合でも3日366MB以上使うと更に通信が制限されるIIJmioのようなところもあります。その場合、音声通話だけではなくradikoなどで低速回線を多く使っているとIP電話でも厳しいくらいの速度に規制される可能性があるので、毎日の使用データ量に注意しましょう。

といってもIP電話自体の使用データ量は1時間で15MBくらいなので、電話だけで規制されるまで使い切ることは難しいと思いますし、もし低速で規制された場合、まだ高速クーポンが残っていればアプリなどで速度を切り替えて使えば高速クーポンがなくなるまではIP電話も実用的に使えるようになりますので、基本は毎月少しずつは高速クーポンを残すように使うのもいざという時に備えるためには必要になるでしょう。

ちなみに、楽天モバイルの場合は「スーパーホーダイ」なら全く何も考えずにIP電話を使いまくっても大丈夫なレベルで、「ベーシックプラン」はそもそも低速専用で無制限なのでこちらも基本的にIP電話に使うのは問題ないでしょう。各高速クーポン付きプランは楽天モバイルの専用アプリを導入すれば、スマホ上でアプリから高速と低速の切り替えができるようになります。低速時については、こちらの探した情報によると3日間での制限はないようですので、「Viber」で問い合わせをする場合にはアプリで低速にしてから使うのがおすすめです。


5G時代は下を向いてアンテナを探すようになるか

現在の携帯電話のデータ通信は4G(LTE)ですが、東京オリンピックの時期を目指して次世代通信の5Gが整備されると今よりも更に高速の通信ができるようになると言われています。ただ、有線と比べると無線というのは基地局からの距離によって極端に使えなくなる可能性があるので、今よりもさらに基地局をこまめに整備しなければならないということもあるそうです。

そんな中、今後に向けて興味深いマンホール型の基地局をNTTdocomoが開発したというニュースが入ってきました。発想の転換という感じなのか、地上ではなく地面からだいたい70センチの穴の中に基地局を設置し、電波を通すように樹脂製のフタをして基地局から半径約90メートルをエリアとできる性能を持つものになるようです。

ニュースだと観光地など簡単に基地局を地上に設置できないような景観条例のある場所にエリアを確保できるように考えたということなのですが、観光地には多くの人が訪れるためやはり一定の基地局を用意しないと利用者集中でつながりにくくなることも考えられるため、このような技術も必要になってくるところはあるでしょう。

さらに、最近は電柱を撤去して地下に移設するような工事も多く行なわれているので、都市部できめ細やかなエリアを確保するためには何らかの工夫が必要になってくるでしょう。ドコモではこうした地下に基地局を設置するという方法を選んだわけですが、新たに参入する楽天がどうするかということを含めて、いかに多くの場所で高速でつながるような仕組みを作るのかが大事になってくるのではないかと思います。

個人的に思うところは、今後5Gが一般的に使われるようになっていくと、低速でも何とか動画なども我慢すれば使えるように整備されていくようになるかもしれず、そうなるとあえて無料Wi-Fiの使える場所を探さなくても確実に自分の使っているキャリアの基地局がどこにあるかわかれば、その基地局を確認しながらネットに接続するようにすれば安定した状態での通信ができるようになると思われます。

そういう意味では今回紹介したマンホール型の基地局というのはフタの表面に「NTTdocomo」のロゴが記者発表の席であるのをテレビのニュースで見ることができたので、将来この基地局が普通に全国で設置されるようになった場合、マンホールにドコモのロゴがある場所さえ探すことができれば、その近くで通信を行なえば少なくともエリアの問題で悩むことはなくなるだろうと思います。

そういう意味ではこのマンホール型基地局は目視で確実にドコモの基地局だと確認できるわけですから、ユーザー目線で基地局のリストを作り、そしてその基地局の回りの環境を調べて安定して5Gの電波で通信のできるおすすめの場所をリストアップすることも可能になるでしょう。もちろん今までの広範囲をカバーする大規模な基地局も大切ではありますが、今後もし私の住んでいるところの近くでこのマンホールを見付けた場合には、安定して無線通信ができる場所として大切にしていきたいと思います。

それと同時に楽天・au・ソフトバンクがこの動きに追随するのか、それともこちらがあっと驚くような基地局を新たに作るのか、続報が出てくることを楽しみにしたいです。


家庭用ルーターの脆弱性の問題

先月末(2018年3月)あたりから家庭用のルーターを狙ったサイバー攻撃の被害が出ていることがニュースになっているのですが、現状はどんな感じになっているのかはわからないままです。ルーター狙いのサイバー攻撃は具体的にどのようなものなのか、私が調べた範囲でまずは紹介します。

サイバー攻撃をされたルーター経由でネットにアクセスしようとすると、パソコンやAndroidスマホの画面に以下のようなメッセージが表示されるとのことです。

「Facebook拡張ツールバッグを取付て安全性及び使用流暢性を向上します」

このようなポップアップメッセージが出てきた場合、「OK」を押してしまうとウィルスがダウンロードされた後に自動インストールされてしまって感染するそうなのですが、どうやらハッキングされたルーターから強制的にウィルスの発行元のサイトに誘導され、人によっては自動的にスマホ用の危ないアプリがインストールされてしまうこともあるかも知れないので注意です。基本的にはAndroidスマホを狙ったアプリなので、iOSやパソコンではダウンロードしても実行できないので安心は安心ですが、もしパソコンなどでダウンロードしてしまったら速攻で削除しておいた方がいいです。

Androidスマホを感染させないための対策としては、当り前ですがGooglePlay以外のサイトや直接ファイルからアプリを自動的にインストール出来ないようにAndroidスマホの設定の中から「セキュリティ」→「提供元不明のアプリ」のインストールを許可しないようにこのチェックを切っておく事がまずは大事です。私もアマゾンのアプリをアップデートしたり外部から直接アプリをインストールする場合に一時的にこのチェックを切ってからインストールすることはありますが、その作業が終わったらすぐに設定画面から戻しておきましょう。

今のところ、こうしたハッキングの報告が出てきたのはNTT東日本およびNTT西日本の製品および、バッファロー、ロジテックのルーターで被害の報告が出てきています。特にNTTの製品では報告が多いそうですが、個人の家庭で使っているルーターはバッファローやロジテックが多いと思うので、たとえホームページなどで製品名が挙がっていないルーターだったとしても、以下のような対策はやっておくべきだと思います。

その1 デフォルトのパスワードは使用しない
その2 ルーターのファームウェアを最新のものにアップデートする
その3 ルーターの設定でUPnP機能を無効に

自分でできるものできないものもあるかも知れませんが、安定してインターネットを使い続けるためにはルーターの設定が今どうなっているのか調べるところからでも始めた方がいいでしょう。今回紹介したことでの問題が起こらなくても、古いファームウェアをそのまま使っているだけでもルーターの脆弱性を狙われる可能性は常に残ります。

そしてもう一つ気を付けたいのは、旅行中にホテルのインターネットを利用する場合に有線LANの設備しかない場合に備えて持ち運んでいる人がいるかも知れないハンディタイプの無線ルータでも対策をしておくということです。ゴールデンウィークを控えて用意をしている人もいるかも知れませんが、出掛ける前にはファームウェアのチェックをしてから持って行きましょう。


ネット時代の異文化交流法

私がこのブログを始めるはるか前に開いていたホームページがあるのですが、そのページはこのブログのように全て日本語によるページで、日本語が使えない人に対しては全く不親切なページです。

すでにその内容も古くなっているので、ページごと止めてしまおうかとも思ったのですが、全て無料でホームページを置いておけるサービスがあるうちはとサイトの内容を全てコピーしたミラーサイトとともにまだインターネットの何処かに存在はしています。

先日、メインサイトではなくミラーサイトの方を見たと思われる人からメールが届きました。しかも内容は英語でして、これはスパムメールの類かと思ったところ、恐らく翻訳サイトを通して英文メールの内容を日本語にしたと思われるたどたどしい日本語が添えられていました。その内容によると、私が過去に購入して紹介したグッズについて興味があるらしく、「まだ持っているか」「持っていたら譲って欲しい」というような事が書いてあったのです。

過去のブログでも少し触れたことがありますが、現在自分の持ち物をどうしても必要だと思うもの以外については捨てるなり売るなりしているのですが、今回海外から申し出があったそのグッズについてはかろうじてまだ手元にありました。というのも、まだ使える場合はいくらくらいで売れるかなと思っていたものだったのですが、意外とオークションでは値が付かないものだとわかり、そのままオークションに出そうかリサイクルショップで処分しようかとまよっている最中の品だったのです。

改めてその家電の動作確認を行ない、何とか動いてくれたので「もし欲しいならお譲りする」というようなメールを書こうと思ったのですが、私には全く英作文の素養はありません。そういうのが得意な友人がいればいいのですが、なかなかそんな人もいないので、一昔前ならメールを無視して終了という感じになると思うのですが、今回は先に相手が日本語を機械翻訳してまでこちらとコンタクトを取ろうとしているということもあり、こちらの方もできるだけ簡潔な日本語の作文を作り、その文をネットの翻訳にかけて、出てきた英文と元の日本語文を添えて返信したところ、その意が相手に伝わったらしく、品物は航空便で送ってくれとか支払いはPayPalで行なえますか? とか、かなり盛り上がっている様子がうかがえました(^^;)。

実のところ、海外に家電製品を送る方法に何があるのかとか、そもそもPayPalって何の事だというくらい海外への発送や送金について疎かったのですが、メールで問い合わせがあったということからいろいろ調べ、早く確実に海外に物を送るには郵便局のEMSがいいだろうとか、海外からの送金を受け取るためにはPayPalのビジネスアカウントを取得した方がいいということがおぼろげながらわかってきたのでした。

今回指定があった品物は日本ではほとんど価値のないものであったので、送料とPayPalの手数料をまず示し、送った品物にクレームがあった場合でも経費としてこれだけは払ってくれという金額をまずは指定し、もし無事に動いて品物に満足できたらあなたの考える品物の価値を追加して送ってくれとメールに書いて、昨日発送を完了しました。

相手がだれだかわからないので、受け取ったとたんにバックレられて送っただけ損になる可能性もあるわけですが、状況によっては捨てるにもお金がかかる家電製品なので、今回は海外取引の勉強のつもりで先に送りました。しかし、改めて思ったのは、ほとんど英語が使えなくても、それなりにやり取りすることがインターネットの世界では可能になるということでした。

というのも、できるだけこちらの意志を相手に理解してもらえるような割とストレートな要求を含んだ日本語の作文能力があれば、英語だけでなく他の言語でもインターネットによる翻訳はできますので、メールのやり取りくらいだったら何とか話をつけることができます。私の場合、作文は無理でもさすがに学校で英語は習ったので、翻訳により出来上がった英文について、明らかな間違いに気付いて修正を加えることもそれなりにできます。

ただ、そのスキルは特別大きいわけではなく、中学生レベルの英語で落題点を取っていなければ、ほとんどの人は外国人とのコミュニケーションが可能になると思います。

ただ、そんな中にも大切なのが、できるだけ簡単な言い回して伝えたいことを漏らさず、ストレートに伝えられる日本語能力だと思います。今は小学生でも英語の学習を行なうようななっているそうですが、それこそネット翻訳の仕組みを使って全く日本語のわからない人に向けてメールを出し、自分の伝えたい事が全て伝わったかというような授業を繰り返すことによって、いざ道を歩いていて英語しかしゃべれない人と遭遇したような場合でも、スマホの翻訳アプリを使って急場しのぎくらいは十分にできるでしょう。

そういう意味で、今回は全く0からのスタートで、自分の持ち物を海外に発送するところまでできてしまったことにびっくりするとともに、メールをいただいた私の持ち物に興味を持ってくれた人に感謝しなければいけませんね。日本語のみ英語なしのページでも海外から意外とずうずうしい申し出が来ることもあると、他のホームページやブログ開設者も考えておいた方がいいなと思ったここ一連の出来事でした。


小さな事件から組織の腐敗がわかることもあるのか

この文章を書いている2018年4月は、新聞報道がきっかけとなって財務省や国土交通省、文部科学省や防衛省など、いわゆる役人と呼ばれる人たちの間で公文書を隠したり書き換えたりしているという疑惑が湧き出して連日テレビでも報道されています。

こうした報道が続くとげんなりする人もいたり、さらにマスコミの方に問題があるのではないかと思う人がいたりして、ネットで言論をしている人が集まるところでは大変な盛り上がりというか一部では炎上もしたりして大変なことになっているのですが、今回はそんな大きなニュースではなく、新聞の三面記事に載るような小さな事件の記事からまずは紹介します。

4月11日に警視庁捜査二課が逮捕した男の事がニュースになっていたのですが、テレビドラマの花形捜査一課と違いまして、捜査二課が扱う今回の事件の内容はいわゆる詐欺の捜査でして、このブログでも紹介している携帯電話に関係する詐欺の事件なのです。

実際のニュースでは実名が容疑者とともに出ているのですが、この文章を書いている段階ではいわゆる「容疑者」なので名前を仮に「Aさん」とします。詐欺が行なわれたのは平成28年9月下旬から12月中旬にかけての容疑で、まだ大手キャリアでは特定のスマホを中心に大幅なキャッシュバックを行なっていた店もあったようです。

この少し後に総務省の指導によりキャッシュバックをだしに格安で新品のスマホを買えるようにすることができなくなりました。さらに、総務省の方では現在は「実質0円」という新規契約者優遇の販売手法にもダメ出しをして、規制が強化されているようです。なぜそこまで総務省がやるかというと、2年ないし3年ごとに携帯端末を事業者ごと乗り換えることでかなり高額の利益を新規契約者に出すのは、同じ会社にずっと加入し続けて機種変更もしないキャリアにとって優良な顧客をないがしろにする行為だという指摘から、こうしたMNPによるキャッシュバックや機種変更による新品のスマホを転売して儲けている人を一掃しようとして行政指導が入るのでしょう。

ただそれなら今までキャリアが代理店に対してキャッシュバックのために用立てていた販売奨励金がなくなった分を通信料に転嫁してもよさそうなものですが、今のところ3社の料金は見事なまでに横並びになっています。

さて、Aさんの話に戻りますが容疑になっている約3ヶ月間で携帯電話6台を契約してキャッシュバック代を約23万円得たのだそうです。ただこれでは逮捕はされないのですが、Aさんが失敗したのは本人確認書類の保険証を偽造して提示することで契約をしたということなのだそうです。恐らく自分だけでは回線数制限でこれ以上の契約はできないと言われたので、半ば強引に契約約するために犯罪行為を犯したということですね。確かにまめに契約を繰り返すこと6回で23万円ですから一回につき約4万円ということですからかなり効率のいい金儲けではあるのですね。

さらに機種変更した新しいスマホはヤフオクやメルカリに出したり、中古スマホ販売店に持って行くだけでもすぐにお金になりますから、iPhoneでそれをやった場合はキャッシュバックで得たお金くらいは十分稼いだのではないでしょうか。警察ではもしかしたら余罪もあるのではということで今後も調べるようです。

ただ、これくらいの詐欺の話は全国どこでもあるでしょうし、なぜこのニュースが出たかというと、今回逮捕された40代の男性は、何と経済産業省の係長という肩書があったからです。経産省と総務省と管轄は違いますが、かたやキャッシュバックや実質0円でのスマホ販売を規制する側である政府の人間が、事もあろうに法を犯してまで「キャッシュバック」および「端末転売」を率先して行なっていたということに、官僚として日々大変な思いをして働いている人の中でも相当のモラルの欠如が見受けられ、組織としての危うさというものをこうした小さなニュースからも感じてしまったのでした。

それと同時に考えるのは、こんな事でもしないとやっていられないというような職場でのストレスがなかったのかということです。今後の捜査によって、今回逮捕された男性が本当に有罪になるかということもありますが、有罪になったとした場合、単なる借金を苦にした犯罪なのか、経済的には全く問題ないのに心のストレスから起こしてしまったのかを明らかにすることによって、組織の問題もまた明らかになってくる可能性もあります。もし、多くの人が考えて明らかに正しくないことを通すための仕事を今回逮捕された容疑者が強要されていたとしたら、その事自体で刑罰に影響は出ないでしょうが、人間らしい仕事をまっとうにこなすことができるような職場環境にすることを考えていかないと、また同じような事件が起こり格好の新聞種になってしまうのではないかという気もします。


「+メッセージ」は使えるサービスになるか?

楽天が新規参入する事と関係があるのかどうかわかりませんが、2018年5月9日から大手キャリアをまたいで利用できるメッセージサービス「+メッセージ」について様々な媒体の発表しているところからどんなものかということと、このサービスは使えるのかということについて考えていこうと思っています。

まず、このサービスは「LINE」にユーザーが移行している状況を何とかしようとして出してきたサービスだと言えるでしょう。海外でも使われているメッセージを送るための仕組みであるRCSを使って、電話番号に直接送ることで本人認証を省略し、ラインのようにスタンプを付けた吹き出し式のメッセージのやり取りができます(海外では今のところ使えないそうです)。なお、通信にかかる費用はSMSのように一通いくらではなくデータ通信の料金の中に含まれます。

・文字は2730字まで送信可
・写真、動画、スタンプ、グループメッセージ、音声メッセージは100MBまで
・100までのグループを作ることができる
・既読表示も付けられる
・現在地を送信可能

というように、ほとんどLINEのように使うことができますが、すでにLINEを使ってのメッセージを利用している人が多い中、あえてこのサービスを使うというのは、電話番号を通してのつながりがある人とのやり取りが主になるかも知れません。仕事上で付き合いがある人だとか、家族の間でもLINEの認証など細かいやり方がわからない祖父母や伯父伯母とのやり取りに使うことが考えられます。

具体的にはAndroidでもiOSでも(iOSの場合はアプリがサイト登録されるまでにAndroidより時間がかかるのでスタートのタイミングはずれる可能性あり)アプリを入れれば「+メッセージ」でのやり取りはできるのですが、メッセージのやり取りをしたい場合には送りたい相手のスマホにもアプリが入っていないと使えません。

ただ3つのキャリアのうちauの「SMS(cメール)アプリ」、ソフトバンクの「softbankメールアプリ」を最新のものにバージョンアップすれば「+メッセージ」の機能が使えるようになるそうです。自動でアプリのアップデートを行なっている人であれば、Androidのスマホ持ちでauかソフトバンクの契約をしている方であれば、知らないうちにメッセージを受け取れる状況が整っている可能性があります。今のところiPhone iPadやドコモでAndroidのスマホを使っている人の場合は、自分で専用アプリをダウンロードしなければこのサービスを使用することができないわけなので、すでに電話番号を知っている人であっても、メッセージが送れない場合があります。

この、メッセージが送れる人と送れない人については専用アプリを起動して「連絡先」一覧を出すと、相手の端末にアプリがあってメッセージ送信可能な人のところにはアイコンが出るのだそうです。ですから、「電話番号を知っていて+メッセージが使える人」を増やしていくことがこのサービスが普及するカギになるということでしょう。

私なりに使用状況を考えてみると、ビジネス上の付き合いはあるもののLINEのIDを知らせてもらうほとではない人との連絡手段に使うとか、ビジネス上で顧客の問い合わせやアフターサービスに使ってもらうとか、飲食店やホテルの問い合わせや予約に使うとか、それなりに考えれば電話番号は教えてあるがそれ以上のプライベートまでには入ってきて欲しくない(^^;)人にはこちらで連絡を取るようにするとかが考えられます。また、電話をする前にこのスタンプ機能を使って「これから電話していいですか?」「大丈夫です」といったやり取りを経てから実際に電話をするような使い方もありかも知れません。

個人的に気になることはさらに色々あるのですが、このサービスでメッセージを送ってもiPhoneの「メッセージ」とダブって送られることはないそうです。また複数端末を使っての利用は不可ですが、SIMなしやWi-Fiでも利用は可能とのことです(これらの話のソースはitmediaのニュースによります)。私の持っているAndroid搭載のガラホではプリインストールされているアプリが限られているので、キャリアの方でアプリをダウンロードできるようにしてもらわなければこのサービスは使えないことになり、今後のキャリアの対応が待たれます。MVNO利用のSIMフリースマホについても同じで、一般に向かってアプリが開放されるかというのも検討中という情報だけで、現状では今後どうなるかはわかりません。

もしSMSが使えるデータ専用SIMでも使えるのだとしたら、このサービスを使うためにはauの格安SIMを用意している業者と契約した方がSMSオプションがかからないのでお得に使えます。実際にMVNOで使えるようになったら、SMSオプションのないデータ専用SIMで使えるかどうかを念のため試しつつ、今持っている月額480円(税別)でSMSが付いているイオンモバイルのau回線のデータ専用SIMでも可能なら登録してみようかなと思っています。こうした音声通話のできないデータ専用回線で「+メッセージ」を使う場合、LINEのように「音声IP電話」「ビデオ電話」は使えないので、純粋に文字や写真などでやり取りをし、電話がかかってきて欲しくない知り合い用に(^^;)連絡方法の一つとしてデータ通信用SIMで「+メッセージ」を使えるようにしておくのもありかも知れません。

ただ、どちらにしてもLINEとSMSの中間としての役割として利用しようと思うくらいで、今後LINEにとって代わる存在になるかどうかというのは、まずは大手キャリアだけでなくMVNOでも使えるようにし、LINEのような付加価値を入れるだけでなくLINEにない新しく楽しい機能を付けるなどする必要があるでしょう。それとも電話番号さえわかれば直接メッセージが送れるということを生かし、ビジネスシーンでの利用に限られるようになるかも知れませんが。個人的には自分のガラホで「+メッセージ」が使えるようになったら、主に連絡手段が携帯電話しかない人用に使ってみようかと思っています。


本当にUQmobileやY!mobileと他のMVNOとの回線品質に差がないのか?

楽天の携帯電話事業参入のニュースによってあまり報じられていませんが、政府が主導する携帯電話市場に関する有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第五回会合の内容について個人的にちょっと気になる記事が4月9日の日経朝刊に出ていたので、まずはその内容について紹介します。

記事ではmineoを運営するケイ・オプティコムが主に指摘したという風に書いてありますが、複数のMVNOが「UQmobileやY!mobileのような大手のサブブランドの事業者は通信速度を優遇されているのではないか」という話を持ち出したそうです。

私自身はUQmobileやY!mobileを使ったことがないのではっきりしたことは言えませんが、回線を大手キャリアに借りて営業しているMVNOでは回線の帯域を借りているだけなので、同じ金額で同じ帯域を借りているなら、どのくらいのユーザーが契約しているかにもよりますが、現在までの動向をふまえて考えると特定のMVNOにおいて「安い割に安定している」というような噂が立ち、実際に高速で通信できるということが広まってしまったらユーザーが押し掛けることで当初の速度や安定感はそこまで無くなってしまうのが常です。

以前はLINEmobileは早いと言われていましたが、これもユーザーが増えるに従って今ではそこまで早いとは言い切れませんし、ブログなどでそうした事が書かれているのを発見したとしても、まだユーザーが押し掛けてスピードが下がる前だったというような事は多くあります。

そんな中、現在ではテレビを付ければそのコマーシャルを見ない日はないUQmobileやY!mobileという大手のサブブランドのキャリアについて、確かにネットでは憶測に基づいた記述だろうとは思うのですが、サブブランドのキャリアは安定して速いという記述が継続して目につくことがあります。

これらの指摘について、親会社であるKDDIとソフトバンクおよび、そのサブブランドと言われるUQmobileやY!mobileの側では、MVNOからの指適は否定するに決まっていますが、今回の五回会合については、どちらの会社の意見とも違うところからケイ・オプティコムらの指摘は当たらないとした方の発言を紹介しています。

その発言とは「大手が通信速度の面で優遇している疑惑はなかった」としてケイ・オプティコムらMVNOの指摘を一蹴した、野村綜合研究所のコンサルティング事業本部パートナー北俊一氏の意見だったということです。新聞では「疑惑なし」とした根拠やデータは示されていませんでしたが、長く会議に関わる北氏の発言は重いと言わざるを得ません。

もちろん、疑惑がないことを証明するということそれ自体はほぼ不可能なわけで、こうした意見を基にして政府の今後の方針について決定がされることも十分に考えられます。その結果、サブブランドでないMVNOの中には廃業したり吸収されるところも出てくるでしょう。そうして残った業者の間で、公正な競争ができるのかのかどうか。今回の事が格安SIMを仕掛けるサブブランド以外の業者のやる気を削ぐような結果にならないかという心配もあります。

それでなくても政府の出してくる書類に改ざんがあったとか業者との癒着があったとかいうことで政治に関するニュースは連日報道されていますし、確かめようのない事実であることは間違いないものの、本当に総務省の役人の方々が公正な大手キャリアとMVNOとの競争を先導してくれるかという公の機関に対しての信頼度が問われます。

今回の問題は小さな問題かも知れませんが、長いこと専門家を入れての会議を行なっている中でもなかなか大手キャリアの寡占的な流れが止まらないということもあります。携帯電話・スマホにかけるお金が高くなれば高くなるほど、人々が他の生活費やレジャーにお金を使うことができなくなる状況は変わらないので、もう少し一般ユーザーにもわかるような資料を出していただき、少なくとも新規参入者がまともに市場で競争しようと思えるような答申をお願いしたいところです。