車載工具はもしもの時の役に立つ

 1月17日は阪神淡路大震災が起こった日です。その年は前の日まで旅行に行っていて、休み明けに寝ぼけつつテレビを付けたら、あまりの光景が画面に映しだされ、絶句しました。東日本大震災の時のような津波の被害は出なかったように記憶していますが、建物の倒壊や家具が倒れてきたことによりかなりの人的被害が出たという事があったように思います。

 実際に木造家屋や家具が倒れたり崩れたりしたことによって逃げ場を塞がれ、長時間動けなかった知り合いもいたのですが、外から中にいる人を助け出す場合、どうやって重たいものを持ち上げるかという事も考えて災害に対する準備をしていくことも必要でしょう。全てを人の力のみで行うというのは無理もいいところですから、いかに道具を使うかという点で言うと、大型のバールがあればテコの原理で重たいものも動かすことができるのですが、普段は使うあてのない道具を常備しておくのもなかなか難しいと思います。自ら道具類を用意していない人でも用意があるものと言えばまず思い付くのは「車の中」でしょう。車の中にはさまざまな工具が入っていますが、非常時に思いの他役に立ちそうなのが、タイヤ交換に使うジャッキではないでしょうか。

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 車の下にジャッキをセットしてハンドルを回せば、それほど力がなくても車のような重いものも持ち上げることができます。一つだけでは無理かも知れませんが、複数のジャッキでリフトアップし、中にいる人を引き出すような形なら腕力のない人でも家屋に閉じ込められた人を救出できるかも知れません。しかし、このブログでは何回も指摘している通り、車の中の工具からスペアタイヤとともにジャッキは驚くべき早さで姿を消しつつあるのです。

 これも何回も書きますが、車からスペアタイヤおよびジャッキが消えていくのには政府のエコカー減税や補助金の影響が考えられます。カタログ上の燃費の数値を伸ばすことで補助金や減税の恩恵を受けられるということがまずあります。さらに現状ではライバル社との燃費数値の競争のような形になっているため、燃費表示のカタログ値を伸ばすことが売り上げに繋がるような宣伝活動を行なっていることも要因でしょう。燃費をエンジンやアイドリングストップのような機能以外で、他社をわずかにでも上まわるように伸ばすためには、徹底的な車体の軽量化を図る中、スペアタイヤおよびジャッキの省略やガソリンタンク容量の見直しまで着手する場合もあるようです。今出ている車ではほとんどスペアタイヤを装着せず、簡易修理のできるパンク修理キットを載せているだけというものが多く、確かにスペアタイヤ類とジャッキを載せることに比べると車体を軽くすることができ、わずかではありますが燃費の向上に貢献するでしょう。しかし、そんな車だらけになってしまうと、いざという時に頼りになるジャッキを積んでない車だらけになってしまうということに将来はなってしまうのが確実だと思われます。

 こうしたことも、社会の効率化を言われる方にとっては当然のことと受けとめているのかも知れません。多くの車にジャッキが積まれている状況があれば、周辺の車から積んであるジャッキを集めて建物を持ち上げて人命を救助することも不可能ではないのですから、全ての車からスペアタイヤとジャッキを亡くしてしまうような方向に舵を切ることは、もし私たちの身近で地震が起き、災害時に置かれたことを考える上でも止めて欲しいというのが偽りなき心境です。


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