楽天の携帯電話事業が認可された後どうなるか

総務省の進めていた携帯電話用の電波の事業者への割当について、今までの大手キャリア以外で携帯電話事業への参入を公表していた楽天に1.7GHz帯の免許が付与されることが決定というニュースが入ってきました。

この決定を受けて楽天は2019年10月からの新携帯電話会社のサービス開始を目指すということです。東京電力をはじめとする電力会社との協力体制を取り、まずは都市部を中心として自社網を充実させる中でエリア外の対応についてはドコモ網を利用するという話なので、サービス開始直後でもエリアの点で引け目を感じることはないかと思いますが、多くの人が気になるのが料金とプランが気になるところです。

他の媒体より詳しい内容が出ていた産経新聞の記事によると、楽天では大手キャリアの月額料金の主なプランでは月額6~7,000円、MVNOの場合は通話付きでも2~3,000円くらいで契約している人が多いと分析することで、今のところ主要な料金プランで月額約4,000円くらいのプランを中心にして展開していく方針を打ち出しました。

現在の大手キャリアでも月額4,000円くらいのプランはありますが、それらのプランは高速クーポンが少ないほとんどデータ通信を使わない人向けのものなので、普通に通話もデータも使う人にとって使い勝手のいいプランがそのくらいの価格で提供されるのだとしたら、ほとんど自分で設定などをやらなくてはならないMVNOに抵抗を感じている人が流れてくる可能性はあります。

ただ逆に、大手キャリアが楽天に対抗して同じ料金の同じ内容のプランを出してきたら、かつてのイーモバイルやウィルコムのように大手3社にユーザーを取られてしまう心配もあります。会社自体が大手キャリアのサブブランド(ソフトバンクのY!mobileや、auのUQmobileのような形)になってしまう危険性もあります。ただ、今回は流通大手の楽天が行なうので、新たな楽天モバイルに加入したユーザーへのメリットが設定されるようなことでユーザーをつなぎとめることができれば、プランの内容にほとんど差がない場合は逆にユーザーをつかまえることもできるかも知れません。現在わかっているのは、支払いを楽天のクレジットカードを使っている人への料金割引のようなものですが、楽天ポイントの付与についても優遇があればその点もメリットになるでしょう。

現在、楽天モバイルでは「スーパーホーダイ」という高速通信を使い切っても最大1Mbps(一部例外あり)でデータ通信が可能なプランを主力にして攻勢をかけています。楽天モバイルが正式にサービスを開始し、自社網を整備する中で、大手キャリアの低速制限が128kbpsの現在、低速が最大1Mbpsの高速クーポン2GBの通話定額付プランが月4,000円くらいで出て、現在のような制限をできるだけ少なくして普通に安定して使えるということになればこれは魅力的なプランになるでしょう。

もし他の大手キャリアが同じようなプランを出すということになれば、高速までは使えなくても中速でいいという人にとってのスタンダードプランになっていく可能性があり、その分キャリアの利益は減るでしょうが、その分多くのユーザーにとってはモバイル環境でできることが増えるので、新たな「楽天モバイル」が現在の「スーパーホーダイ」のユーザーをどのように扱うのかということが個人的な注目点となってきそうです。

ただ、総務省の方では一つの懸念を出していることがあって、それがスマホの購入でユーザーが自由にキャリアを渡り歩けないようにする「縛り」の問題です。一部のキャリアでは最大で4年間のスマホ購入前提の縛りがあるということで、新規参入者にとってはネックになるとともに、現在の楽天モバイルでも同じような長期間の縛りのあるプランがあったりするのでちょっと心配になります。もし楽天も3年から4年縛りが安いプラン加入の条件となるなら、いつでも解約して他の魅力的なプランのある所に移ることができるMVNOでの利用を続けると思います。

個人的に最悪なシナリオは、現在の3つある大手キャリアがその傘下にあるサブキャリアを効果的に使ってMVNOユーザーを楽天を含むサブキャリアに乗り換えさせるような営業活動を行ない、今の格安でニッチなユーズに合うMVNOを根こそぎ潰しにかかるということです。そうなると、もしかしたら日本のデータ通信を使うには何らかの縛りが必要になり料金も徐々に高くなっていくのではないかという想像もできてしまいます。利用するシチュエーションだけで考えると、音声通話の代わりに知り合いとだけLINE通話だけで済む人なら、月額千円かからないプランが選べる今のMVNOの存続ができなくなるような状況を楽天には作って欲しくないです。

そんな最悪な展望を含め、楽天がこれからどのような経営方針をするのかはわかりませんが、単に料金だけで比べるのではなく、安いスマホを一括で購入して月々の負担や縛りを最少限に抑えるような、今までの大手キャリアよりもユーザーの気持ちに寄り添ったサービスが出てくると乗り換えてみようかなと思う人がさらに増えるのではないかと思います。今後のさらに細かい事業内容の発表にも期待したいですね。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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