先日高速道路のサービスエリアで昼食をいただきました。連休中に外に出ての食事というのはどこも混んでいて難儀するのですが、そういう時には一般道から利用が可能な高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの中にある食事処を利用する事があります。サービスエリアは長居をするお客さんも少なく、注文してもそれほど待たずに食べることができるので有難く使わせていただいています。
食堂側がさらに多くのお客さんを効率良くさばくために、最近写真のような機械を受け付け時に渡し、料理が出きたら音と振動で知らせてくれます。この機械は何か、わかる人はわかるでしょうが、使ったことがない人はまるでわからないのではないでしょうか。
この機械は携帯電話普及の前に流行ったポケットベル(ポケットベルは確かNTTdocomoの登録商標だったはずですが、ここではあえてこの名前で統一して説明させていただきます)といい、現在はほぼ一般向けの提供を終了しています。それこそ、大型ショッピングモールやサービスエリア内のフードコートや病院などで料理ができたり自分の順番が来た時に呼び出してくれる用途で利用されているのが目立つくらいです。
たまたまといいますか、私の住んでいる地域一帯に前日の夕方「避難準備情報」が緊急メールという形で配信されてきました。これはこれでスマホやガラケーを持つ人全てに案内が入り便利ではあるのですが、来たメールは避難準備情報が発表された事を伝えるばかりで、その後の展開をどうするのか、さらに台風の進路はどうなっているのかということまでは緊急メールでは教えてくれません。
普通の人はガラケーやスマホを操作して目的の情報にたどり着くことはできるでしょうし、今のテレビはデータ放送の中で災害に関する情報や台風の進路についても24時間見られるようになっています。しかし、そうした事が一切できない人というのも多く存在することは事実です。
すでに全国の市町村では緊急の避難情報や緊急地震速報が出た際に教えてくれる災害用の専用ラジオを販売していますが、必要な情報を常に自分が持っていて、過去の情報にも簡単にアクセスできるものとして、災害用のポケットベルを希望する人に貸与して欲しいと正直思います。月額の利用料を払えば日常のニュースから災害時の緊急速報だけでなく避難所の情報や交通情報まで次々に配信される情報を見ることができたり、子供さんや親戚などが送った電子メールを受信できる機能が付けば、いざという時はポケベルに出た画面を誰かに見せて、連絡を取ってもらうことも可能でしょう。
日々持ち歩くものとして考えた場合、時計がわりにしたり毎日のニュースや天気予報が見られることはもちろんですが、歩数計を付ければそちらの機能のために毎日持ち出す理由ができるので、いざという時にも役に立つでしょう。さらに、電源については一般的な単四電池を利用できるようにしていただければ、100円ショップで予備の電池も買えますし、もちろんエネループのような充電池も使えるため急に使えなくなってもすぐに使えるようになる分、災害には強いと言えるでしょう。
これまでの日本ではポケベルや見えるラジオなど、自分から操作しなくても自動的に情報を送ってくれるようなサービスはことごとく廃止されてきましたが、高齢者やお子さんなど、ちょっとの端末操作も難しい人にとってそうしたサービスがあるとないとでは、下手をしたら命にも関わる所も出てくるのではないでしょうか。
最後に、誤解していただきたくはないのですが、このエントリーはポケベルを昔通りに復活させろという趣旨のものでは決してありません。あくまで情報弱者がいざという時の情報を入手しやすくするため、地方が音頭を取って、ポケットベルという前時代的なハードを使って情報を多くの人が共有できるような手段が構築できるのではないかと思っているのです。
ポケットベルの弱点として、携帯電話のように自分から電波を発しないので、基地局からのエリア判定ができず、全国を飛び回りながら常に安定して情報を受け取るためにはポケットベルの設定を変更して基地局のエリアを変えて使わなければならなかったのですが、災害用のポケットベルなら自分の住んでいる近所か隣接するエリアで受信できれば問題ないので、そうした心配も不要です。徘徊をする高齢者対策としても、見付からないと思ったら取りあえずポケットベルを呼び出せば音と振動で近くにいればいる場所の見当が付きますし、遠くにいても回りの人に異常を知らせることができるようになるでしょう。
費用の問題等あるとは思いますが、常にネットを見ながら対応策を取れない人のために、ポケットベルの復活を真剣に考えていただけると嬉しいですね。