高齢者が免許証を返納した後の環境は整っているか

相変わらずというか、自動車の運転免許について、本人が自主的に返納するまでそのままにしていていいのか数々の高齢者が運転して起こる事故のニュースとからめて議論になっています。将来的には誰でも起こりうる問題なので、いつまで自分で運転する車に乗ることができるのか、それとも自動運転が進化してほとんど機械による自動運転ができるような車なら後期高齢者でも運転できるようになるのか、そんなところも気になります。

ただ現実的な話をすると、今私たちが生活している公共交通機関がどのくらい整備されているか、バリアフリーに関する考え方はきちんと浸透しているのかによっても違ってきます。自宅まで帰る場合に最終の電車やバスは何時まであるのかということから、実際に乗車していてスムーズに乗り降りができて、時刻通りにやってくるのかどうか(特にバス路線で)など、今までほとんどの所へ自家用車で出掛けていた人たちが毎日利用するにあたってストレスの種にならないのかなど、継続して公共交通機関を使ってみないとはっきりとした結論は出てこないのではないかと思うわけです。

そんな中、たまたま先日平日の日中に私の住む市内を循環するバス路線を利用したのですが、そこでちょっと気になるケースに遭遇しました。私の住む地域で運行しているバスはバリアフリーをうたっていて、乗降口が地面と同じ高さまで下がるのでベビーカーや車椅子に乗った人の乗り降りについて車を押すだけでできるようになっています。

その日は、先にベビーカーに赤ちゃんを載せている人が乗っていて、降りる際にはスムーズに降りて行ったのですが、その後、一人で乗ってきた車椅子の男性がいました。その人は介助者は付かずに自分一人でバスに乗ろうとしたのですが、電動でない自分で車輪を回すタイプの車椅子だったため、自分一人の力ではバスに乗り込むことができず、バスの運転手さんが運転席を離れ、介助する形になりました。

今回乗り合わせたバスには車椅子専用のスペースはなく、乗降口正面にある優先席を手動で折りたたむことによりスペースを作っていました。ただその際には優先席に他の乗客が座っていたため、運転手さんがその場にいる乗客に移動をお願いしていました。しかし優先席に乗っている方も高齢の方が多いとなれば、混み合っている車内で同じような状況が起こった時には車椅子を入れるために優先席に座っていた人を立たせなければならなくなります。もちろん、そうなったら一般席に座っている人が改めて席を譲ればいいのでしょうが、全てがそううまく行くとは限りません。

そうして、やっと出発かと思ったらまだ出発することができず、車内から車椅子をスペースに固定するシートベルトを持ち出してきて、急停車急発進をしても車椅子が動かないように固定してはじめて出発となりました。この一連の作業というのは乗り合わせた乗客が手伝おうと思っても、特に車椅子をベルトで固定する点についてはなかなか手出しはできないような感じでした。

乗客の中にはこうして長く待たされることでストレスがたまってしまって車内が険悪な雰囲気になってしまうこともあるのではないかと、時間帯によっては考えられますし、逆に車椅子利用者の中にはこれだけ手間を掛けさせてしまうならバスを使いたくないと思ってしまう人も出てしまうのではとも思えました。何もこうしたことは私の住んでいるところだけでなく全国的に同じような事はあるのではないでしょうか。

また、鉄道でもバリアフリーを実現するための整備ができずに、入口からホームへの移動にエレベーターがないような場合には人海戦術で車椅子を下ろすか、階段にセットされた車椅子専用の機具を使って降ろすということになると傍目から見てかなり大掛かりに思えるため、外出を控えるような人もいたでしょうし、今後についても同様の推移をたどるのではないかとも思えます。

人は誰でも自由に動けなくなる可能性がありますし、そうした場合でも安心して移動できるようでないと、いつまで経っても自家用車を手離さずに使い続ける人が増えていく可能性もあります。排除の論理で一定の年齢に達した人から免許を取り上げるという話になる前に、いかに免許を返納した人に快適に利用してもらえるような公共交通機関の中のバリアフリーを整備していくのかというのが大事になるのではないでしょうか。東京近辺はオリンピックの開催とともに整備されるでしょうが、地方都市でも同じようにやっていけるのか、今のままでは現場の運転手さんの負担を増やすだけなのではないかと心配になります。


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