運転中の視野を広げることの大切さ

昨日のテレビのトップニュースは事故のニュースで、滋賀県大津市の琵琶湖に面した丁字路で、2台の車がからむ事故が起き、そのうち一台の車が保育園の子どもと保育士が信号待ちをしていた歩道の列に突っ込んで大きな被害が出たという事故について報じられていました。

事故の一報が入った段階では、また高齢な運転者がブレーキとアクセルを踏み間違えたのかと思ったのですが、実際に事故現場からの中継を見たり、事故直後の写真を見るなどしてわかったのが、この事故が信号機のある丁字路で起き、その内容は実際にはどこでも起こり得る「直進車と右折車との出会い頭での衝突事故」であったということがわかってきました。

今回直接歩行者の列に突っ込んだのは直進してきた軽乗用車ですが、あくまで2台の車同士の事故として考えた場合、一般的な過失割合というのは右折車の方に多くあり、割合は8割と右折車の方が悪いという風な解釈となります。2台の運転手はどちらも逮捕されたそうですが、もし信号待ちの人がいなかった場合には右折車の運転手に多くの賠償義務が出てくるわけです。詳しいことはわかりませんが、今回の事故の原因を作ったのは主に右折車が無理に直進車が迫っている中で右折を開始したか、直進する車のじゃまになるような場所で止まっていた可能性を考えなければならないでしょう。

しかし、今回の事故がここまで大きく報道された理由というのは車同士の事故ということでは収まらず、今回の事故については何の過失も責任もない、単に信号を渡って琵琶湖方面に遊びに行こうとした保育士と園児が犠牲になってしまったことにあります。

ここで考えたいことは、車同士の事故では過失割合を基にしてその損害をお金に代えて補償するしかないのですが、事故は起こしても今回のような悲劇を起こさないようにドライバーの観点から何かできないかということになるでしょう。右折車の責任については過失割合が多い分、当然追求されると思いますが、ここからは直進車について、それ以外の被害が出ないようにできなかったかという風に考えてみたいと思います。

まず、直進車は果たして道路の制限速度を守っていたのかどうか、さらに交差点に入る前に右折しようとする相手車を見付けた後、衝突する以前にハンドルを切って相手車を避けようとしたのかしなかったのか。この辺が鍵になってくるように思えます。報道ではそれほど相方の車のスピードは出ていなかったという見解が報道されていましたが、自分が直進車を運転していると仮定すると、前方に交差点に進入して右折しようとしている車があり、自分が通り過ぎるまで待ってくれるのか先に曲がろうとするのかの判断をしなければなりませんが、それと同時に確認したいのが相手車だけに視線を集中しないで交差点周辺まで視野を広げることが大切だと思います。

よく、何も視野を妨げるものがない田んぼの中の信号のない交差点で、多くの事故が起きる魔の交差点があるという話がありますが、これは走りながら前方の一点を注視するだけでは、同じようなスピードで交差点に入ってくる車の確認が遅れ、交差点の直前で急に車が出てくるように見えてぶつかってしまう可能性が増えることも事故の一因だと言われています。

車によっては車の前方にあるピラー(柱)が死角となり、運転しながら左右にわたっての視野を広げていないと、死角に入る前の左右から交差点に向かって進んでくる車の発見が遅れることもあるようです。信号も何もない交差点に向かってくる車はどちらもスピードを上げていたりしますので、かなり遠くにいると思っていても自分が交差点に入る時にはすぐ近くまで来ている可能性があり、事故の危険性が増すと言われています。

今回の事故は田んぼの交差点での事故とは違いますが、直進車の運転手がもし視野を広く取って、右折車をハンドルで避けるのではなく減速や停止の方向で運転操作をしていたら、また早めに信号待ちをしている保育園児たちに気付き、反対方向にハンドルを切っていたら(まだ今回の事故がハンドル操作が原因と特定されているわけではないため直接の原因と言うところまでは言えませんが)、少なくとも信号待ちの人の列に車が突っ込むようなことはなかったかも知れません。

最近の高齢者が運転する事故については、加齢による判断力欠如や誤操作が問題になりますが、そこまで高齢ではなくても年令により周辺の様子を注意しながら走行できる視野が狭くなるところでも深刻な事故を起こす可能性は上がるということはあります。また、加齢が原因でなくても、人によっては一点注視で周辺を見ないというようなことは、若いドライバーでもついやってしまいそうな事でもあります。

こうして考えると改めて車に乗るということは、運転を誤って人の列に突っ込んでしまった場合には凶器にもなり得るため、大きな責任が付いて回るということを理解し、いわゆる「予測運転」「広範囲の目視による周辺を確認しながらの運転」を意識することで、自らが加害者になるような事故はある程度は防げるのではないかと思うところがあります。交通事故での悲劇を減らすためにも、多くのドライバーには実際の事故報道を深刻に受け取めつつその事故から何らかの教訓を引き出して注意することが増々今後は大事になってくるのではないでしょうか。私達が再び悲惨な事故のニュースを聞かないで済むために、ドライバー一人一人が深刻にこの問題について考える姿勢を持っていきたいものですね。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す