大手キャリアの「ガラケー・ガラホ」乗り換えプランに違和感

先日、ドコモの新料金プランについて調べてみましたが、ソフトバンクも2019年6月12日から「さよならガラケー!」という何やらガラケーを持ち続けることが悪いようなキャッチフレーズと共に「スマホデビュープラン」という新しいプランを始めることがわかりましたが、これでまたガラケーを便利に使っていた人がスマホに巻き取られるかと思うと、ちょっとどうかなと思わざるを得なくなります。

というのも、私の周りにいる世代の上の人の多くはスマホを使って電話をしたり、電話を受けるやり方を何度教えても、かかってきた電話を逃してしまったり、掛けようとしてもすぐには掛けられずに諦めてしまうことが少なくないからです。

生まれた時に黒電話しかなくて、ダイヤル式の電話からボタン式の電話器に移行された時には、力を入れてダイヤルを回さなくても楽に掛けられるようになり、基本的には受話器を持って電話するという行為自体は変わらなかったので、そこまでの違和感はなかったように思いますし、携帯電話が出てきた時にも、電話を発信する場合のボタンと、電話を切る時に「受話機を置く」ことの代わりに「終話ボタンを押す」ということだけを覚えていれば、物理的にある数字のボタンを押して掛けることは説明不要でできるというのが普通です。

しかし、スマホでの電話というのは電話用のアプリを起動するところから始まり、まごまごしているとスマホの設定によってはバックライトが消えてしまってパニックになってしまうかも知れません。登録した電話帳を使って電話を掛けるにも、画面が小さいと電話帳を呼び出すことも大変です。また、電話がかかってきた時にどうやって電話を受けるかというところで、画面をタッチするだけでなくボタンをスライドさせるという概念が無いと受けることも難しく、それはショップでスマホに初めて触れた人が丁寧に説明されたとしても日常的に電話を使わないとすぐ忘れてスマホの電話の受け応えさえもできなくなる可能性をはらんでいるように思うのです。

さらに、通話時間についても「定額なし」「5分定額」「無制限の定額」という3つのパターンに分けられるのがスマホの通話パターンになってしまうことも不満がある方がいるでしょう。私が今持っているドコモのガラケープランの一つに、2年契約が前提ではあるものの通話のみに特化し月額934円で無料通話1,000円分が付き、繰り越しが3,000円分まで付く「タイプSS バリュー」がありますが、このプランのいい所は、無料通話の利用について、通話だけでなく相手の電話番号に直接メールを送信する「ショートメール(SMS)」の使用にも使えるということです。これをうまく使うと、通話定額を契約している先なら折返し電話をしてもらうような連絡も出来ますし、友人の範囲が限られていればショートメールで連絡をして直接会って話すという選択もでき、通話料をそもそも払う必要がなくなるということもあるでしょう。

今回のソフトバンクの「スマホデビュープラン」は「月額980円」という大きな文字でガラケーユーザーを誘っているような感じですが、詳しくプラン概要を見ると月額980円で利用できるのが、「またか」と思うほどこの業界では恒例の「契約翌月から12ヶ月間のみ」という期間限定の客寄せ料金です。そしてこの割引の提供条件は「2年契約」をすることと定められています。ソフトバンクの「通話基本プラン」は他のソフトバンクのスマホプラン共通です。具体的には以下の通りになります。

・2年契約なし(いつ解約しても手数料なし)月額3,900円
・2年契約(フリープラン)24ヶ月以降の解約手数料なし 月額1,500円
・2年契約(自動更新)更新月の解約のみ手数料なし 月額1,200円

12ヶ月の限定割引を利用するためには「フリープラン」を含む2年契約をする必要がありますし、さらにソフトバンクのモデルプランである「月額980円」を実現するためには月額1,200円の自動更新のある2年契約が必要になっていますので、その点をまずは理解して次に進みましょう。ソフトバンクのWebページに有る内訳を以下に紹介します。

・データ定額スマホデビュー:980円
・通話基本プラン:1200円
・ウェブ使用料(ISP代):300円

以上の合計が2,480円になりますが、ここで出ている「データ定額」とは1GBまでの高速クーポンの利用が可能で、1GBを超えた場合は128kbpsに制限されることになりますので、スマホを初めて使う人が制限にかかった場合、そのギャップに困ってしまうこともあるかも知れません。そして、ドコモでは表面上なくなった「ウェブ使用料」の項目もしっかりと残っています。ただ、これだけだと月額980円にはなりませんので、ここから様々な割引が出てきます。

・1年おとく割 -1,000円(12ヶ月限定)
・スマホデビュー専用割引 -1000円

「1年おとく割」を適用するためには2年契約を結ばないといけないことは先に説明しましたが、この部分で注目したいのがこのプラン特有の「スマホデビュー専用割引」です。この割引が適用になるには通話関係のオプションが必要になります。それが通話定額についての2つのオプションのどちらかを契約する必要があります。

・準定額オプション(5分までの通話が定額)月額500円
・定額オプション(通話時間の制限なし)月額1,500円

こうして基本料金である2,480円に準定額オプションを付けた2,980円から2つの割引を適用させた額が月額980円だということです(12ヶ月経過後は1,980円/月)。そして、通話オプションを定額オプションにした場合には12ヶ月までは月額1,980円で、期間経過後は2,980円のスマホ料金がかかるということになります。

さらに、今回のキャンペーンでは2019年9月30日までの期間限定で「スマホデビュープラン」加入者に電子マネーのPayPayを2019年10月から毎月1,000円ずつ6ヶ月間付与することで、実質6ヶ月の料金を無料にするということです。しかしこれも毎月の利用料を0円にするわけではなく、限られたお店で使える電子マネーを付与するだけなので、注意が必要でしょう。

もちろん、今までガラケーを使っていたもののどうしてもスマホに代えたいと思っている人にとってはこうした新プランやキャンペーンを活用するのはいいことで、その点について否定はしません。ただ、私が同じような状況でスマホを使ったインターネットを使いたいと思ったら、ガラケーは今のままで最初に紹介したような無料通話付きの月額千円前後の回線を持っているなら、データ通信専用のスマホかタブレットを増やす形で対応した方が安く便利に使えるようになります。MVNOなら月額千円前後でも高速クーポンは3GBくらいありますし、その半額の500円でも今回のソフトバンクのプランと同じ1GBの高速クーポンの使えるプランを出しているところがあります。

通話定額を使わずにLINEでの通話やコミュニケーションで十分なら、ラインモバイルの「LINEフリープラン」(データ専用)を使えば高速クーポン1GBとは関係なくLINEを使う場合には高速での通信によるテレビ電話を含む通話や、写真・動画の送受信ができて月額500円から620円(SMSオプション付)です。しかもデータ専用プランならいつでも解約した際の手数料はかかりません。

もちろん、MVNOと大手キャリアの回線状況は違うところはありますが、1万円前後で中古でも程度のいいスマホや通話のできるタブレットを用意することができれば、通話用のガラケーを維持したまま昨日から始まった東京オリンピックのチケット抽せんにも参加できるわけで、抽せんに外れたらすぐにスマホの契約を解約し、新たなチケット入手のプランが発表されたらまた加入するなんてこともできます。それだけ自由に利用者側から使える方が、私はいいと思うのですが、こんな考え方をしているのでつい大手キャリアのガラケー巻取りプランに違和感を感じてしまうのかも知れませんね(^^;)。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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