車検項目大幅拡大でどんな影響が出るか

いつの世も、技術の進歩に制度が追いつかないという事はあるものですが、日本の車検制度についても同じ事が言えます。安全装置が何もない時代の後、エアバッグやABSという装置が車に導入されるに従って車検の中でもそうした機能についての点検項目が増えることになったのですが、最近では自動ブレーキや事故防止のための各種センサーなど、将来の自動運転車の実現に向けて多くの新しい技術が導入されているものの、車検時にはそれらの機能が正常に動くかの確認が取られない状況になっていました。

国土交通省はそうした状況に対応するために車検の際の点検項目を増やす方針を固めたというニュースが有りましたが、これは逆に自動ブレーキなど新しい車の機能がうまく動作しないケースがあることの裏返しでもあります。少なくとも車検のある期間中には不具合が出ないようにしっかり点検することは必要ですので、今後対象車両の車検費用は今までよりも余分にかかり、さらに先日対人センサーを正確に動かすためにタイヤのホイールについても純正のものが必要になるような事で、交換部品代も上がることが予想されますが、そういう事については仕方がありませんし、いつもより高い車検費用の請求があってもあわてない心構えが大切になってくるのではないでしょうか。

自動ブレーキについて車検で見られるということで言えば、車のフロントにカメラを搭載している場合、もし事前に飛び石などでフロントガラスの交換を余儀なくされた場合、あくまで純正のガラスでなければ車検が通らなくなるのか、それとも日本製以外の社外品でも車検は通るかで、今後の保険についての考え方にも変化が出てくるように思います。

車が古くなるに従って車両保険はいらないとするような考え方をする人が今でも多くいると思いますが、少なくともエコノミー車両保険を付けていれば飛び石の際にも保険でガラス代が出ますから(保険料を安くするために一定の自己負担を付けた場合はその分の負担分は用意しておきましょう)、自動ブレーキ搭載車については古くなっても車両保険を掛けておくのが当り前になるような可能性もあります。

また、各種センサーの正常と異常を車検が通るように事前に調整する役目を負う業界の中で、果たして大手以外の個人事業主は生き残って行けるのだろうかということも思います。ハイブリッド車の車検用の機材だけでもかなりの負担になると思うので、今後更に新しい車を車検が通るようにするためのテスターなどの機材を改めて購入するなどの負担が出てくるとしたら、いわゆる「町の修理屋さん」という存在が成り立たなくなり、メーカー直営のディーラーか、大手のガソリンスタンド、全国チェーンの車買い取り・中古車販売店など体力があるところしか生き残っていけないようにも思えます。まあこれも、時代の流れということになってしまうのかとも思えるのですが。

さらに、車を利用する私たちも、今後の車検費用がどのくらい上がってしまうのかというところであえて車を持って乗ることよりも、必要な時に借りるという選択肢が今よりも大きくなっていくことも考えられます。安く駐車場を借りることができたり敷地内なら無料で車を置ける場所のある地方ではそこまで行かないでしょうが、最近のカーシェアリングの状況を見ると、「車代」「車検費用」「税金」「保険料」「駐車場代」のトータルで考えると、必要な時に車が借りられる状況が整ってくれば首都圏を中心としてあえて車を所有しないという選択肢も現実のものになるかも知れません。

その場合、借りた車で車中泊を実行するには、ハイエースや軽1ボックスなどの決まった大きさの車の中に入れて就寝できる環境を作ることのできるセットだけを作り、車中泊の旅の時にはそのセットとともに完全に整備された車で出掛けた方が良いと考える人も出てくるかも知れません。このような事は新しい技術で便利になるのとは裏腹に、費用がかかることは仕方のないことですが、これから新しい車を買おうと思われている方は、ディーラーさんから今後の車検費用はどのくらいかかる見込みであるのかということもしっかり確認して、将来にわたって安定した車両運用ができるようにきちんと計画した上で車の購入計画を立てることをおすすめします。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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