Android用日本語入力アプリ「Google手書き入力」の斬新な点

 スマートフォンで日本語入力をする場合、私などはとてもブログを書こうという気は起きません。ちょっとしたメモ書きやツイッターの投稿くらいができれは十分だと思っているのですが、私にはどうもフリック入力がなじめなくて困っていました。スマートフォンによってはデフォルトの日本語入力で手書き入力ができるものもあるそうですが、私の使っているものでは手書入力の画面は出てこなくて仕方なくフリック入力に甘んじていました。そんな時に、googleが手書き認識でスマートフォン入力ができるアプリ「Google手書き入力」を出していることを知り、無料アプリとうこともあって(発表されている手書き認識アプリは有料なのでちょっと手が出ませんでした)メインのスマートフォンに導入してみることにしました。

 このアプリは多言語サポートのあるアプリで、日本語だけを手書き入力できるものではありません。そのせいか、私たち日本人からしたら考えられないような仕様になっています。というのも、文字認識エリアに入力した文字を全て認識してくれるのはいいのですが、ひらがなとカタカナ、漢字の区別なく認識するので誤変換の可能性が増えますし、日本のアプリなら当り前のひらがなを漢字に変換してくれる機能もありません。予測変換機能はありますが、普通の日本語による文章を書くためには、それなりの漢字に関するスキルが必要になるわけです。もっとも、これは紙に鉛筆で字を書くのと一緒なので、きちんと漢字に関する学習ができている方はかえってストレスなく入力することができる場合もあります。

 アプリのレビューを見ていると、やはり仮名漢字変換機能がないことが不満だと思っている方が多いようですが、そういう方はペンで字を書く時にどうするのかと思ってしまいます(^^)。むしろ、「Google手書き入力」本体に仮名漢字変換機能がないことによるメリットがあるように思うのです。

 パソコンもワープロもない時代に文章を書く場合には、わからない漢字があったら辞書を引いて書くのが一般的でした。印刷物を作る場合にもいわゆるガリ版刷りでボールペンで書いたそのままを印刷していたので、活字による読みやすいレポートをという場合は、プロにお金を出して頼むのが普通だったように思います。和文タイプライターというものもありましたが、機械の値段は高いし長い文章を入力するにもかなりのスキルが必要になるので、直接ガリ版用の原紙に字を書いた方が安くて早いというのが正直なところでしょう。それが、ワープロの登場により日本語入力に大きな革命が起こりました。画面上で出した日本語をプリンタで印刷すれば簡単に活字による文章を得られるようになりました。当初は和文タイプライターのように漢字をキーボードの打ち方に応じて漢字を当てはめる方法も検討されたそうですが、より多くの人が日本語をワープロで扱えるようにするため出てきた技術が仮名文字だけをキーボードで打てれば漢字も出すことができる「仮名漢字変換」だったのです。

 ワープロ以外でもこの仮名漢字変換は多くの端末に搭載され、手書き文字認識機能のある電子手帳に搭載されることになったのも当然の流れだったでしょう。当時の電子手帳では漢字を直接画面に入力させて認識できるのが売りではありましたが、ひらがなを出して変換する機能は最初から付いていたように思います。

 しかし、先日出たばかりの「Google手書き入力」にこの機能がないというのは、作った人が日本語独特の入力のわずらわしさを理解していないということはあるのですが、その分すぱっといろんなしがらみを断ち切ったようですがすがしくもあります。前置きが長くなりましたが(^^;)、あえて仮名漢字変換を搭載しないことによってアプリ自体は軽くなっているのは私にはメリットに映ります。わからない漢字があったら、別のアプリを開くなりインターネットの検索で漢字の読みがなを入れてWeb上の辞書から調べてもいいでしょう。検索した結果はコピーして貼り付ければ良いのです。もしこうしたことがわずらわしいと思うならとっとと元の入力方法に戻すか、忘れた漢字を覚える努力をするかということになるでしょう。

 私もしばらくこの「Google手書き入力」を使っている中で、かなり漢字や送りがなの使い方を忘れたまま日本語を扱っているなと思い知らされました。使っているうちに認識の具合もそれほど良くなく、候補として出てくる漢字の数も多くないので、この方法だけで全ての文字を入力することは難しいと思いますが、少なくとも漢字そのものを書いて入力できるということは、キーボードやパネルの扱いにわずらわされることなく日本語を扱えるということでもあります。まだ漢字の学習途中の小中学生や、そろそろ漢字を忘れそうで恐いと思う年配の方などは、試しにこのアプリを入れて日本語入力を試してみるのも面白いのではないかと私は思います。と同時に、スマートフォンではフリック入力にしろキーボードからの入力にしろ、ローマ字入力が基本だと考える人に一石を投じる事にもなるでしょう。できればこうしたアプローチはGoogleでなく日本の会社が先に出すべきものだったのではと思いもするのですが、それが日本企業の限界なのかも知れません。個人的にはそれなりにチューンナップされた手書き認識プログラムが入った新たな日本語入力アプリが登場し、多くのスマートフォンで使えるようになるのを待ちたいという気もしますが、とにかく今までの日本語入力に馴染めない方は一度この「Google手書き入力」を試してみるのもいいような気がします。


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