先日サービスが開始されたauのスマートフォンと通信衛星を直接つないで、もし回線が圏外でもSMSによる連絡や自分の位置情報を送ることのできる「au Starlink Direct」ですが、サービス全体がau契約者だけでなくUQモバイル及び他社のユーザーに向けて販売されることになりました。
気になる価格ですが、利用する回線によって変わってきます。まず、au回線の場合は利用料は当面無料ということでしたが、既存のプランの料金が2025年8月から値上げになるそうで、その金額は110~330円となっています。今回の値上げは恐らく安定してau Starlink Directを提供できるようにするためとも思えますが、そうなると対応端末を使っていない方には単なる値上げになってしまうというところはあります。
そして、今回のニュースではサブブランドのUQモバイルや、他社の利用が主である人にもauはStarlink Directを開放するということが発表されました。楽天モバイルを使っていて2026年度まで待てない方や、ドコモやソフトバンクを使っていて、衛星通信への道筋が見えないという方でも日本国内で圏外が無くなるというのはありがたい人がいるのではないでしょうか。
まず、「au Starlink Direct」は、専用SIMという形で提供されます。UQモバイルの場合にもSIM交換(eSIMへの変更)が必要になるようです。そう考えると、衛星通信用のSIMはeSIMにするという選択肢もありそうです。auと同じ回線を使っているUQモバイルについては、auよりは高いですが、一般利用よりは安い税込550円の負担で利用ができるようになるようです。ただ、今後UQモバイルは契約できるプランを一新するようなので、そのプランが自分に合うかどうかもUQモバイルで衛星通信を使うかどうかの分れ目になるのではないでしょうか。
衛星通信のみを使いたい場合、auと契約して「au Starlink Direct」専用のSIM発行が必要になりますが、そのSIMでは月1GBまでauの4Gエリアでモバイル通信を利用でき、その上で4Gが圏外の場合衛星通信が使えて月額は税込1,650円となります。この金額が安いか高いかというのは、実際に今までスマホが圏外になって大変な思いをしたかどうかで変わってくると思います。
登山や車中泊のための移動中、全てのモバイル回線が圏外になる場所に来てしまうことはそれほど珍しくありません。その場合でもあえて連絡する事がなければ良いのですが、登山中や車で移動中に事故を起こして助けを呼ぼうにもスマホは圏外だった場合、最後の命綱がこの「au Starlink Direct」になるということになります。
圏外と言えば、海の上でも安定してモバイル通信ができませんので、釣り船で漂流したような場合にも、役に立つ場面が出てくるかも知れません。大きな地震などでの避難生活で、基地局が使えなくなったような場合には、この仕組みはあくまでSMSで発信ができるだけなので、あまり有用性はないのではないかと思います。
ちなみに、昨年の能登半島地震でも活躍した本家Starlink(「au Starlink Direct」より高い位置にある衛星を使ってデータ通信が可能)の料金は、無制限なら月額9,900円、月50GBで6,500円になりますが、専用のアンテナなどが必要なので、スマホ本体だけで通信できる「au Starlink Direct」とはその手軽さが違います。
ただ、この仕組みは、私の考えではかなり用途が限られるサービスだと思うので、あえて月1,650円でお守り代わりの回線をすぐに持つかと言うとちょっと考えてしまいます。実際に使うためにわざわざモバイル通信の圏外の場所まで行かないと使えないということもありますので、その点も考えながら利用するかどうか考えた方が良さそうですね。