ちょっとした事がきっかけで「大嫌い」になる心理

家族や周りから大反対を受けてもそれを押し切って結婚した方々が、結婚生活を続けていくうちに愛情が冷めるどころか触るのも見るのも嫌という風に変化するということはそう珍しい事ではありません。嫌われた方は、なぜそんな事になったのか理解できず、コミュニケーションを取ろうとしますが、中にはそうして話すことすら嫌になってしまって……、なんて話は世の中にごまんとあります。

なぜ、そんな心況の変化がやってくるのかということですが、当然受け取る人の感性で違いはあると思いますが、今までの人物の評価で一定のものがあった場合に、そうした今までの常識から外れた想定外の事をされると、一気に評価が反転してしまうということはあるかも知れません。

のっけからこんな話をするのは、何も人の家庭に波風を起こそうとするのではなく、最近の企業の「建前と本音」の裏側が透けて見える用な「改悪」をあえて起こしてまで、今までその企業に向けられたイメージを覆すような事を度々目にするからです。

具体的に言うと、今まで「安く焼き鳥を食べて飲めるお店」として認知されていた「鳥貴族」が一律にメニューに有る商品を値上げしたことにより、競合他社へお客が流れてしまい売上が長期に渡って落ち込んでいるような状態がそうです。今までは「安さ」を売りにしてきたお店がいきなり値上げをすることで、多くの人が「鳥貴族」イコール「安い店」とは思わなくなり、興味が失せたということになります。全ての商品の価格を値上げするのではなく、看板メニューとして薄利多売による客寄せが見込める商品の価格については据え置くとか、一ヶ月のうちで期間限定で旧価格で提供するとか「安く飲める店」というイメージにこだわった価格の見直しをしていればここまでの落ち込みはなかったように思えるのです。

最近になって、定食を中心にした食事の提供で業績を伸ばしている「やよい軒」で、新たな動きがあることがわかりました。全国の中でも東京、千葉、栃木、茨城の4都県の12店舗(全国の店舗数の約3%)において、「定食のおかわり自由」を止め、おかわりを有料にするという実験を行なうことを発表したということです。

個人的にはやよい軒が他の外食チェーン店と比べての大きな特徴というのは「定食を頼むとおかわり自由」ということだと思っていたので、この発表には驚きました。会社側は

「以前より、おかわりをしている人もしていない人も同じ値段を頂戴しておりましたが、その不公平感にご意見をいただいておりました。今回のテストは、改めて定食の価格とおかわり自由の価格を設定し、お客様の評価を把握する一環でテストを行います」(プレナス広報のコメント)

という理由で行なうと言っているのですが、今の世の中は誰もがご飯をおかわりして何杯も食べるというよりも、糖質を気にして炭水化物を控えるような流れになっているということも忘れてはいけないでしょう。何杯もおかわりして食べる人に対して、おかわりをしない人は「不公平だ」と文句を言うというよりも、「そんなに食べて体は大丈夫なの?」と思う方が今は普通になっているところもあります。

ただしそんな時代の中でも、やよい軒の存在価値はとにかくおかわりをしてお腹を満たしたいという人のニーズに合ったところがあったのに、このまま実験が他の店舗でも行なわれ、おかわり自由の追加料金を設定して取るなんてことになれば、たとえそれがわずかな金額だとしても、まず今まで足繁く通っていた個人も家族も(家族の中に食べざかりの子供がいるような場合)「おかわり自由のお店」というイメージが消える分、今後も通ってくれるかどうかはわからないというのが正直なところではないでしょうか。

むしろ、定食のごはん「小」や「普通(おかわりなし)」の価格のみを下げるとか、定食のメニューに「糖質カットメニュー」のような「食べ過ぎないメリット」のあるメニューを多く提供するようにし、健康指向の人のニーズを充足する中でおかわりサービスを続けた方が、他店との差別化になって新たな客層も呼び込めるのではないかという気もします。

こうした報道は本当に危険で、今後テストを行なう店舗では、その旨を入口のわかるところにきちんと掲示しておかないと、お店で無料でおかわりができると思った人が店側とトラブルになった場合、まずそのお客さんは次回の来店はしなくなると思います。さらに言うと、こうした報道が出た時点で「やよい軒のおかわり自由サービスはもうやらないんだ」と早合点した人が現時点での来店を見合わせるような可能性すらあります。改めて多くの人に認知されていたお店の特徴を消すような方向転換を行なう場合は注意してやらないと、事業自体が危うくなってしまうように思います。

車で旅をする事が多くなる中、もちろん地方でしか食べられないお店に入って名物を食べたいという欲求はあるものの、状況によっては全国チェーンでそのお店の特徴を知っているお店に入ることで、一食の予算や食べ終わるまでの時間、そしてボリュームなどをあらかじめわかった上で入れるメリットというものも存在するように思います。「やよい軒」はリーズナブルにお腹を満たせるという意味では魅力を感じていたのですが、もし車で全国を走っていて今後「やよい軒」の看板を見付けた場合、私もそのお店がテスト実施中のお店かどうかをいちいち見るのはめんどくさいので、他のお店を探した方がいいかなと思ってしまうかも知れません。そしてそれはあくまで個人の判断になるので、仕方がないと言えるでしょう。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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