宇高航路が109年で終了するにあたって

2019年12月15日で航行を終了した「宇高航路(うこうこうろ)」ですが、もはやその存在を知らない方も少なくないのではないかと思います。岡山県の「宇野港」と香川県の「高松港」を結ぶフェリー航路なので宇高航路と言うわけですが、日本国内を移動する中で本州から四国に渡りたい場合には、まだ連絡橋がなかった時代には、船がいくらいやだと言っても使わざるを得ない重要な航路でした。

過去にはこの航路は国鉄が運営していて、本州から北海道を結ぶ「青函航路」とともに鉄道と同じ運賃で乗れ、今も存在する「青春18きっぷ」を使って追加料金なしで乗ることができました。私自身、初めて学生の頃に四国行きの周遊券を使って四国を2週間ぐらい回った時には、当時の国鉄が運営する宇高フェリーに乗って高松に入りました。高松は今も昔もうどんが名物ですが、少しフライング気味に連絡船の中で販売されている「連絡船うどん」をいただくのが常でしたが、このお店は現在高松駅構内にお店を移して営業を続けているので、少々趣は違いますが、瀬戸大橋経由で高松駅に入っても当時の味を求めて利用することは可能になっています。

その後、車で旅行するようになると、お金のない頃は高速道路に乗るお金がないということでぶっ通しで国道などのお金の掛からない下道を走り続けるような旅もよくやりました。そんな中で数少ないつかの間のオアシスのような存在が宇高フェリーでした。

というのも、まだ瀬戸大橋も明石海峡大橋もない時代には車をフェリーに乗せて移動するしか四国に渡る手段がなかったわけで、せっかく四国に渡るのなら神戸から一気に渡るのも有りだとは思いますが(直接四国へ入るには明石からの「たこフェリー」と大鳴門橋を併用することもやっていましたが)、四国に渡るまでの行程も楽しみたいということになると、あえて岡山まで行ってそちらの観光もしてから渡るということもありました。

その頃はかなり色々な場所を回ることを目標にしつつ、とにかく効率的に滞在費も節約したいということがあったので、宇高フェリーの船内にある長距離ドライバーのためのお風呂を利用させていただき、ずっと運転して溜まった疲れをリフレッシュするのが楽しみでした。高速道路を使う時代になっても、特に運転手にとっては移動するためにはずっと自分で運転しなければならず、移動しながら休憩が取れ、しかもお風呂まで入ることのできるフェリー航路というのは車での旅ということになると無くなってしまうと困る人も出てくるでしょう。

しかし、宇高フェリーをはじめとして国鉄の運転した連絡船で大きな事故が起き、尊い人命が多く犠牲になったことも有り、船を止めて陸路と直結する連絡橋やトンネルに交通が移行していくということは仕方のないところであるでしょう。さらに、一時期の政府の政策で高速道路1,000円による利用ができるようになって、多くのフェリーを運営する業者の経営を圧迫したことも確かです。しかし、その直後に東日本大震災が起こったことで高速千円政策は尻すぼみのように終了し、後にはフェリーの撤退が起こったものの高速道路料金は高いままという、あまり利用者にとっては好ましくないような流れのまま進み、その流れの中で宇高航路など、多くの民間のフェリー業者が撤退し、貴重な近距離フェリーが終了になってしまったということもあるでしょう。悪く言えば行政の政策のブレによって利用者の選択肢が狭くなってしまったということでもあるわけで、今となっては大変残念なことです。

とは言っても、同じ金額で利用できるなら、フェリーの時間を待たずに移動できる連絡橋の方が便利ですし、台風の時には通行止になりますが、フェリーのように衝突事故で海に投げ出されることもなく、交通ルールを守って運転するなら安全です。連絡橋を走る線路のある瀬戸大橋を利用する場合、列車での移動ならめったな事でないと事故になることもないでしょうし、あえて宇高フェリーを使うという鉄道利用者も多くはないと思いますので、近郊移動でのフェリーは消えさる運命なのかも知れません。

ただ、全くフェリーの存在意義が無くなったかというと、そういうものでもありません。まだ自動運転の技術が道半ばの中、運転手が休みながら移動できる交通手段はフェリーしか有りません。そして、夜行便ということで言うと、必ず予約が必要な夜行バスの利用をためらう人がいても、年末年始やお盆を除けばまず乗れない事は起こらない深夜便のフェリーは、宿代を浮かしつつ船中で休めるという、私のような廉価旅を楽しむ側にしては有難い存在なのです。

ちなみに本州と四国の移動手段については、まだ神戸と高松を結ぶ「ジャンボフェリー」も残っていますし、JRの運転が終了した後の深夜便もありますので、車での利用だけでなく青春18きっぷとの併用で東京方面からうどんを食べに行くツアーを組むなら、むしろ宇高フェリーより便利に高松に入ることができるので、もう少し暖かくなった頃には18きっぷとのセットで利用してみようかと思ってしまうほどです。

今の日本の状況を見ていくと、かつての高速千円のような政策というのはまず出てこないと思いますので、利用料金で比べれば高速道路と並走するフェリーにも利用する意味が出てくるでしょう。私の住む静岡県静岡市の清水港から出ている「駿河湾フェリー」も2019年は台風が多く静岡県に接近してきた影響でかなりの赤字になったという報道がありましたが、抜本的な運賃の改定や航路の幅を増やすことで生き残りを模索していますので、来年はそうした変化をふまえて私のようなユーザーが移動に利用をすることでフェリーを地域の足として残す助けにならないかということも考えてみようと思っています。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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2 thoughts on “宇高航路が109年で終了するにあたって

  1. bbzk39

    鳥羽-伊良湖の伊勢湾フェリーは5年ほど前に廃止になりかけました(汗)。が、鳥羽-静岡間は、陸路に比べ距離は半分ですので、よく利用します。渥美鉄道も通しで豊橋まで乗れる連絡キップというのがあって、料金は少し安いです^^

  2. てら 投稿作成者

    bbzk39 さん コメントありがとうございます。

    伊勢湾フェリーは静岡から伊勢神宮に出掛けた時に利用しました。その時は車を置いて人だけ鳥羽に渡り、鳥羽から伊勢までバスや電車移動というパターンでした。行った時はバスのフリー乗車券を買って回り、帰りは車で一気に走ってきました。静岡県内は渋滞知らずでかなり便利でした。今後も事前にフェリーの有無も調べなから、日本の色んな場所を訪ねてみたいです。

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