大量の水を階段の上に運ぶためには

千葉県を襲った2019年の台風15号のもたらした影響は、時間が経つにしたがって大きくなっているかのようです。屋根が壊れたお宅に訪問し、雑にブルーシートを養生テープで止めただけで十数万円の請求を行なった例があるというような情報がネットでは拡散されているようですが、ここまでひどくなくても、大きな災害の被害者を狙ってお金をだまし取ろうとするような悪い人が出現しているのは事実のようです。

そうした人に注意するのはもちろんですが、自分でできることは自分でやるという風に考える中で、様々な知恵が出てくることも確かです。ここでは、断水した中で給水車などからお水をいただいた後の運搬について考えてみます。

人間にとって水がないと生命の危険があると言われますが(飲量で一日2リットルとも)、水というのは大量に入る容器があったとしても、水を満載した容器をどうやって自宅まで運ぶのか? というのが災害時には問題になるでしょう。4人家族で数日間生命をつなぐための約20リットルの容器では満水にするとその重さは20キロということになるので、普通に手で持って移動するには毎日ウェイトトレーニングをしているような人でないとなかなか運べないというのが正直なところではないでしょうか。普通の一軒家の場合、車で運んだり、歩きでも台車やキャスター付きの容器に入れれば、転がしていくことができるので何とかなる場合もありますが、問題となるのが集合住宅の場合です。

高層住宅に住んでいて、停電になると水道が止まっていなくても水を上まで上げるポンプが動かず水道が出なくなるということもありますが、断水になったら当然その水も来ないわけで、給水車から分けてもらった水を自分の力で階上まで運ぶ必要があります。停電ではエレベーターは当然動かないので、人力で運ぶということになりますが、さすがに20キロのポリタンクを高層階まで上げるというのは大変なことになります。そこで、いかにして水を階段を登って運ぶか? ということを考えると、その方法は限られてくるでしょう。

まず水をもらいに行く場合、一緒に行く人数にもよりますが、ポリタンクだけを持って行くのではなく、しっかりとした作りのリュックサック(バックパック)を用意しましょう。山登り用のものはピッタリと体に密着し、重心を上の方にすることにより重いものでも入れて階段を登りやすくなるので、まずは自分に合ったバッグ選びをしっかりと行ないましょう。そして、そのリュックサックに入れるペットボトルを用意します。

ペットボトルは使用済のものを洗った中で乾かしての再利用でもいいですし、ナルゲンボトルのようなポリタンクで代用しても構いません。ただ、10リットルから20リットルの水をリュックには入れたいので、2リットルから500ミリリットルくらいで大きさの違うものをうまく入るように組み合わせる必要はあるかも知れません。空のボトルから給水するのは大きなポリタンクにして、運ぶ前にポリタンクから空のペットボトルに水を移します。蛇口の付いているポリタンクの場合、漏斗を使って蛇口からペットボトルに移してもいいですが、灯油用ではない水用の手動ポンプを利用するのが、給水した水を無駄にしない(こぼれてもポンプで押した分だけなので)分おすすめかなと思います。

ペットボトルに小分けすると、いっぺんに水を持って上がらなくても良くなります。集合住宅で地上に自分用の倉庫がある場合、そこにペットボトルをまとめておいて必要な分だけ持って上がるようにするというのも一つの方法です。

また、これは住宅内の自治会全体で小分けしたペットボトルに給水してきた水を入れて集め、各階ごとにまとめて置いたり、直接給水車のところまで行けない人のためにペットボトルに移した水を他の住民が持って行ってあげたりという相互扶助の行動にもなっていくと思います。300や500ミリリットルのペットボトル1つなら小学生以下の小さな子でも自分で持って上がることはできますし、高齢者でなかなか階段を往復できない人のために毎日何本かのペットボトルをその人の玄関先まで届けるということも可能でしょう。

山登りをされる方ならおわかりのことかと思いますが、ふもとに同じように用意された水の入ったペットボトルを頂上付近にある山荘のために持って上がるというシステムのように、近所の人々で助け合う象徴として小分けしてペットボトルに入れた水を利用するというのも一つの案ではないかと思います。

さらにペットボトルを利用して水を入れておくと、100円ショップではペットボトルの蓋を外して利用するような、一気に水を出さずにジョウロのように出す器具もあります。飲用でなく手洗いや歯磨きに利用する場合は、そうした器具を使うことによって節水することもできます。これらも事前にそういったものを用意しておくだけで使えるようになるので、植木の水やりにそうした器具を使いながらいざという時には流用するとか、様々なペットボトルの使い方というのを考えていけば、さらに素晴らしい断水時のアイデアが出てくるのではないかと思います。


カテゴリー: ボトルに関する話 | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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大量の水を階段の上に運ぶためには」への2件のフィードバック

  1. bbzk39

    マンションの10階に住む住人は困りますよね。でも津波の時は安心度が高いですが^^

  2. てら 投稿作成者

    bbzk39 さん コメントありがとうございます。

    災害にも色々なものがありますが、高層マンションは水道が止まっていなくても停電になると水を上げられないので、陸の孤島のようになってしまう危険性があります。庶民からしてみれば高層マンションの階上で暮らすというのは憧れですが、東日本大震災の関東地区にあるマンションでは揺れの周期の関係で低層階より高層階の方が揺れたということもあり、改めて自分が今住んでいる場所や構造によって何に備えなければならないかを考えないといけないかも知れません。

    周期が短い揺れでは逆に低層階の方が揺れるとか、おっしゃるような津波の直接的な被害とか、結局は起こってみなければわからないこともありますが、どちらにしても水の確保というのは基本的な問題なので、多くの方々に考えていただきたいです。

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