マラソン・グランド・チャンピオンシップを見て思ったこと

昨日は朝からマラソンのMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)を注目して見ていました。私は自分では走りませんが(^^;)、マラソンの試合をテレビで見るのを大変楽しみにしているのです。

今回の大会は、男女とも一位と二位が無条件で来年開かれる東京オリンピックの日本代表に決定し、三位に入った選手については、選考の対象にはなりますが決定ではありません。今後行なわれるさらなる選考レースで日本陸連が選定した標準記録を破った選手の中で一番良いタイムを出した人を日本代表とし、もしそのタイムを破る選手が一人も出なかった場合には、今回のレースの三位の選手が改めて日本代表に決まるのです。

今回は特に男子の試合を見て思ったことを書きたいと思います。現在の男子マラソンの日本記録は大迫傑選手の持っている2時間05分50秒(2018年10月7日・シカゴマラソン)世界記録はケニアのエリウド・キプチョゲ選手が、大迫選手より早い昨年の9月16日にベルリンマラソンで出した2時間01分39秒と、およそ4分の開きがあります。さらに、世界10傑に入るにも少なくとも2時間3分台を出さなければならず、日本と世界との差はまだまだあるというのが正直なところです。

そんな中で、東京オリンピックで日本の選手がメダルを取るためにどうすればいいかということを考えると、今回のように選手同士で駆け引きをしている間に誰かが飛び出してレースが高速化し、ゴール前の急坂でサバイバルレースになりその中からメダリストが決まるような展開になっていくことが十分考えられます。となると、やはり今回飛び出したものの失速して圏外に消えた設楽悠太選手くらいのペースで走らないと、それこそ神風でも吹かない限り飛び出した全選手が失速して棚ぼた式にメダルが日本人選手のところに飛び込んでくることは考えられないので、今回の設楽悠太選手のチャレンジを大いに評価します。

今回一位と二位の中村匠吾選手・服部勇馬選手の強さというのは見ていて十分にわかったものの、このままでは入賞狙いという形でのレースになってしまう可能性があります。こんな事を書いてもし東京オリンピックのマラソンで日本人選手がメダルを獲得したら謝るしかないですが、今回はまだ一発選考としては初めてのレースだったので勝負に徹する方が結果としてオリンピック内定になってしまったものの、強かった日本マラソンを再び見るためには、一年前からオリンピック出場だけでなくメダル獲得を目指したレースを行なう選手が増えてくることが一つの条件になるのではないかと思ってしまいました。

今回の結果を受けて、大迫傑選手は自分の出した日本記録2時間05分50秒を切る選手が複数の選考レースで出なければ代表決定となるので現状では一番有利な位置にいることは確かです。ただ選考レースは酷暑でない時期に行なわれるので、もしたまたまその選考レースの中で安定した天候で風もないような状況が起こったら、有力選手が日本記録を狙ったハイペースで飛び出し、自転車レースのように順番にトップを交代しながらハイスピードを維持しつつ、その日最も調子のいい選手に日本記録更新を狙わせるようなレース展開も起こるかも知れません。とはいってもなかなか今の日本記録を破るということは難しいと思いますが、逆にそうして日本記録が出てしまったとしたら、今回選出された選手よりもメダルに近くなる可能性も出てくるので面白いですね。

そういう意味で、今回失速した設楽悠太選手は、今回のギャンブルが失敗した場合のプランBを「日本記録更新」ということに切り替えているでしょう。すでに興味としては、次はどの大会に出るかということですが、やはり記録を狙える力があるなら、2020年3月開催の「びわこ毎日マラソン」が最後の選考レースになるので、そこで今の日本記録か、前2大会で新たに日本記録が更新された場合にそのタイムを目標としてレースするのではないかという気がします。

果たして3つのレースの中で今回と同じ「大迫」対「設楽」の対決が実現するのかどうかという興味がありますが、大迫選手が今回のレースで決まりとふんでこれから来年のオリンピック本番まで調整に徹するパターンも考えられます。改めて本気でマラソンレースを本番までにもう一レースすることで自分の体が悲鳴を上げてしまうことも考えられるので、普通に考えると待つのがセオリーだと思うのですが、それでオリンピック出場ができたとしても、オリンピックのメダルにつながるかどうかというのは今の時点ではまさに神のみぞ知るということでしょう。

様々な選手の思惑が詰まった中での今回のレースは実に密度が濃かったですし、本当に本番のオリンピック並に興奮してレースを見ることができた分、今回の日本陸連の新たな選考システムには感謝しています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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