白ロム流通もコントロールされたドコモのiPhoneがもたらすものは?

 私を含め格安のSIMカードを使ってスマートフォンでの通信を楽しんでいる方にとっては、ドコモがiPhoneを出すというニュースはかなり期待を抱かせるものであったに違いありません。MVNO業者の中にもiPhoneに対応するnanoSIMを用意しているところもありましたので、例えば3枚セットで使える契約のうち1枚をnanoSIMで持っておけば、自分で契約したり中古ショップの白ロムで新しいiPhoneを入手すれば、かなり安い金額でiPhoneが使えるという展開を願っていた方は多かったはずです。

 ただ、ドコモがアップルと手を組んだ背景を考えてみると、中味(通信SIM)を捨てて外側だけ取るというような使い方を当面は許すはずはないという事は想像できました。案の定、ドコモはiPhone専用プランを用意し、データ通信はSPモードのみで可能になり、同じドコモでもデータ専用プランでは契約ができなくなっています。さらにSIMロックも解除しない方針でドコモとデータ通信契約をしたユーザー以外にはiPhoneを使わせないという強いメッセージが感じられます。ということは、今のところMVNOが提供する格安のSIMカードを入れてもデータ通信ができないので、MVNOでiPhoneを使いたいという場合は、今まで通り海外から取り寄せたSIMフリーのiPhoneを使うしか方法がないということにこれを書いている現在は残念ながらなってしまっているということです。

 この事自体については仕方がないかなと私は思いますが、ドコモが公式に提供するSIMカードしか使えないというかなり制限のあるiPhoneは、もし中古ショップに並んだ場合、いったいいくらの値が付くのかという事が気になります。もし何らかの方法によってSIMロックの解除ができたり、少なくともMVNOが提供するnanoSIMを使ってSPモード以外でのアクセスポイントからデータ通信が可能になれば従来のスマートフォンの新機種並みの値段になると思います。しかし単なる既存iPhoneユーザーの予備あるいは修理不能の場合の代替機としてしか使えない場合は、そう高くもならないでしょうし、かといってあまり安く売ることもできないと思いますので、お店の方も扱いに困るでしょう。2年間継続して使う場合は安く手に入るのですが、中途解約した場合は、その定価が9万円台に設定されているモデルが多いので、違約金と残債支払いの関係で果たしてすぐに市場に出てくるかという問題もありますが、もしかしたらそれがドコモの狙いかも知れず、できるだけメーカーとドコモの間でiPhoneを扱って、何の利益も両者にもたらさない、中古の白ロムを売買されるようなことを避けたいのかもと思えます。

 今までも、そしてこれからもずっとスマートフォンは携帯電話会社が提供するデータ通信プランでお世話になるという方についてはiPhoneへの機種変更は問題ないと思いますが、単体でのワンセグが使えず、おサイフケータイも使えない事は覚悟しなければなりません。できるだけ安いデータ通信料金でiPhoneを使いたいと思われる方は、とりあえず今は買い時ではありません。海外製のSIMフリー化されたスマートフォンやタブレット端末が以前から比べると増えてきているという現状を見ると時代に逆行するような方法ではあるものの、それでも購入する人はかなりの数になるでしょうから、その後の展開を待つのが得策だと思います。ドコモがMVNOでも使えるiPhoneを出してくるのが先か、MVNO業者の方でソフトバンクやauのiPhoneで使える格安SIMが出てくるのが早いか、これはこれで興味が出てきます。もし後者の方が早く実現されたとしたら、iPhoneについては他社の方が中古の数はとんでもなく多いので、あわててドコモが仕様変更をしても、その時にはごっそりMVNOのユーザーはドコモ網から他社へ移ってしまうという可能性も出てきます。個人的にもドコモの格安SIM3枚を使うより、ドコモ、au、ソフトバンクの3枚のデータ通信が揃うなら、使い分けでかなり使用できないエリアを減らせると思うので、今使っているSIMカードから乗り換える価値はあると思っています。そういう意味で、今回のドコモの戦略を受けた他社の反撃をまずは楽しみに待ちたいと思います。


スポンサーリンク

コメントを残す