日本国内の遠征を地味に支える車中泊のノウハウ

この文章を書いている最中の2018年2月下旬というのは、冬季平昌オリンピックの話題が連日報道されています。昨日行なわれたスノボード男子ビッグエア予選に登場した大久保勇利選手は残念ながら決勝にわずかの差で進めませんでしたが、彼のオリンピックへの挑戦を紹介するフジテレビの作ったVTRの中で強調されていたのは家族の協力で、特に日本国内の遠征に同行し、遠征代を節約するために車中泊でしのいだということでした。

大久保選手は北海道出身で、当然国内の大きな大会は北海道以外でもあるので、その度にフェリーで本州に渡り、車で移動しながら大会を転戦するのに全ての大会前にホテルを取るだけの金銭的な余裕がないようであれば、最初から車中泊しやすい車を選び、単にシートを倒すだけの形で寝るのではなく、翌日に体に影響が出ないように全身を伸ばして寝られるような形にできる車中泊用の車をカスタマイズしたことが想像されます。

それでも、車のガソリン代や食費・お風呂・洗濯など車中泊生活にだってお金は掛かります。ただ、日本は海外とは違いスキーやスノーボード競技というのはマイナーな競技で、大久保選手の他にもソチオリンピックの銅メダリストで平昌のスノーボードではハーフパイプ男子に出場し、惜しくも決勝には進めなかった平岡卓選手も幼少の頃から自宅のある奈良県から大会に出場するため車中泊用の車を週末に走らせ、さらにお金のかかる高速道路はできるだけ使わずに遠征に付き添ったという話があります。

最近は先に紹介した大久保選手がクラウドファンディングで遠征費を募ったということがニュースになっていましたが、それも大会で好成績を挙げてから後のことなので、いくら才能があってもその才能が花開くまではできるだけお金を掛けずに遠征を続けるためには車中泊の環境を整えることが重要なポイントになってくるだろうということがわかります。

基本的にはフラットな就寝スペースを確保することができれば大丈夫でしょう。というのも、現在はアスリート用のお供としてあの浅田真央さんや高梨沙羅さんもオリンピックの時に現地に持ち込んで使っていたと言われる「エアウィーヴ」のポータブルタイプあたりを使えば、車内を生活空間として使えますし、この辺はあくまでも本人との相性が大切にはなりますが、宿舎の手配にお金を掛けることを思えば、他メーカーでもアスリート支援に多くの商品を販売しているので、それらの中で本人の体に合う最高のものを選んで購入しても多く使えば使うほど高価なものでも十分元は取れるようになると思います。

また、車内で寝るという事に関して隣の車のアイドリングや話し声がうるさいというようなディメリットも考えられるのですが、この就寝環境について常識はずれな「トレーニング」として一流のアスリートに対して行なったのが日本のレスリングを強くしたと言われる八田一朗さんの睡眠に対する考え方でした。

オリンピックは海外で、さらにいつもと違う環境で行なわれるため、時差ボケで力を発揮できなくならないように真夜中に選手を叩き起こしてすぐに練習させたり、そうは言っても大事な試合の前には睡眠を取ることが必要だと考えた八田氏は、いかなる状況であっても、さらにごく短時間であっても体を休めるために眠ることのできるような訓練が必要だと説いていたのだと言います。つまり、多くの人や車が行き交う駐車場内での車中泊でも十分に睡眠を取り、翌日の試合でベストパフォーマンスのできる選手なら、大きなプレッシャーの掛かるオリンピックでもプレッシャーを力に替えていい成績が期待できるのではということにもなります。

そんな、車中泊をしながら全国を転戦している多くのアスリートがまだ日本には多くいると思いますが、基本的には寝ていてエコノミークラス症候群に陥らないようにフラットな床を作り、その上には体を休めるのに適したマットや枕を採算度外視で探し、チャレンジする本人が体を痛めないで寝られる環境を作ってあげれば、お金に恵まれて常にホテル泊しかしていないライバルと比べて車中泊をすること自体が良い鍛錬になる分有利になることもあるでしょう。今後のオリンピック・パラリンピックの競技を見ながら、そんな車中泊に関するエピソードにも今後は注目していこうかなと思っています。


カテゴリー: 車中泊・車関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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