コンビニの深夜・早朝営業の今後

車中泊での旅において、深夜走れるところまで走ろうとしたり、深夜まで仮眠を取ってから車の台数の少ない早朝の時間に走ろうとした際にこの上なく役に立つのがコンビニエンスストアであることは今さら言うまでもないことでしょう。普段の日なら全く利用することはないものの、出掛けて周辺に何もない時にコンビニを見付けた時には食事や飲み物、旅に出発した後で何か忘れ物に気付いた時の物品の購入、荷物の発送や受け取りなど、日本国内で同一のサービスを基本24時間行なってくれている、消費者にとっては大変ありがたいサービスをしてくれるお店です。

しかし、そこで働く人の目線になって考えると、誰もが好んで深夜から早朝に仕事をしているわけではなく、10代から20代にとってはその時間は友人と遊んだりすることが多くなかなかバイトのシフトが埋まらないということが普通なのだろうと思います。

そんな状況でどうしても深夜のアルバイトが集まらないということになると、営業ができないというところに至るのが普通です。しかしそんな事になっても営業を休止するという発想にならないのが今のコンビニのシステムです。多くのコンビニは直営でなく、大手のフランチャイズとしてオーナーが契約していますので、現在でも一部のコンビニチェーンを除いて24時間営業の決まりを破るということになると契約違反と見なされてペナルティも覚悟しなければなりません。

そこで現状での問題としてかなり以前から言われていたことが、オーナーおよびオーナーの家族が交代でバイトのいない深夜から早朝にかけての時間に、24時間営業を続けるために店舗に詰めるようになり、労働条件としてはかなり過酷になるとともに、生命の危険さえ出てくるかも知れない状態になっています。普通の会社でこんな労働を強要したら大変ですが、オーナーはコンビニ親会社と雇用契約をしているわけではないので、本社が一定のロイヤリティーを徴収した上で、店が24時間営業を続けることを守らないと最悪の場合契約を切られるだけでなく、違約金まで請求する事例が発生しています。現状ではどんなにオーナーが大変な思いをしても、救済されないというのはいくら雇用契約がないとは言え、何とかしないと今あるコンビニがバタバタ潰れていくという未来も予想できるだけに、利用者の立場としても何とかしてこの問題を解決して欲しいと思います。

そうした状況を受けて、コンビニ最大手のセブン-イレブンのオーナー達が24時間営業の是非について本社との団体交渉の申し入れを行なったことがニュースになっています。それは、マスコミのアルバイトに関する報道と少し関係があるかも知れませんが、回転ずしチェーンのスシローが全国の店舗を一斉休業することで従業員の負担を軽減しようとしたり、全国の大きな郵便局でそれまで24時間開いていた夜間の「ゆうゆう窓口」を深夜から閉じることを実行して社員の深夜労働を無くしたりと、それまでは当り前だった営業を続けることを一部の企業が見直し、労働環境を改善するところが出ている中で、なぜ日本でも有数の規模を持つ小売チェーンが動かないのか疑問に思う方もいるでしょう。

この話を考える時に大事な点は、今のところ実害は本社側には出ず、ただフランチャイズのオーナーに出ているだけなので、本社がどれくらい現場からの叫びを理解しているかということになります。セブン-イレブンについては今後のオーナー達と本社との話し合いの中で、今回のような報道が一般の人にも広がったということで、オーナー団体との話し合いにはきっちりと向き合って欲しいですし、その結果一部の店舗が深夜から早朝にかけて人手不足とオーナーの健康に配慮する形で営業時間を短縮する可能性があることを考えた上で今後は利用する心構えが必要になってくるでしょう。

こうした前提の元でコンビニ本社があえて24時間営業にこだわるならば、本社から人員を充てるような形にするか、本格的な無人営業の形態についても検討すべきでしょう。現状でもお店の一部のみを入れるようにして無人化し、情報端末の操作やコーヒーマシンを使ったお湯の提供(お店で購入したカップ麺用)、電子レンジを使った冷凍食品の自動販売など、深夜から早朝に掛けて何がどのくらい売れているかという分析は当然していると思うので、その中の売上げが見込めそうな商品に限って無人販売を行なうというのも一つの方法でしょう。

当然その中では荷物の受け取りのように、できなくなるサービスもあるわけですが、そうした問題についても宅配便各社では「無人受取ロッカー」を順次設置しています。今では駅にもそうした施設がありますが、コンビニにもロッカーが設置されれば、それで十分だと感じる人も少なくないでしょう。そんなお店が増えれば、かえって深夜から早朝にかけてコンビニを利用する側としても気兼ねなくお店を利用できそうです。

最近、スーパーで従来の店員にお金を払うレジの他に「セルフレジ」という自分でお金を払うレジというものが出てきました。この方式だと、小さいものを一個だけ購入したり、お金を現金ではなく自分で電子マネーにするかお店のポイントで払うのかを選べるので、混み合うレジではなかなか申告しずらいポイント払いを気軽にできたりして、利用者としてのメリットも感じています。もしコンビニでもそうした仕組みが整うのだったら、あえてお店を一部閉めて無人になった店舗を利用するという人も少なくないのではないでしょうか。

ただ、現場からいかに画期的な意見が出たとしても、本社の方でそうした意見を採用しないとなると話は深刻になります。現在の日本は急速に電子マネーやクレジットカード決済に舵を切りつつあるのですから、むしろ今の人手不足の状態をチャンスと捉えてオーナーとの協同路線を組み、本社もオーナーも共存共栄できる営業形態について考えるのが今の社会情勢に合った経営のやり方ではないかと思うのですが。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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