尾畠春夫さんに学ぶお金を掛けない車中泊旅のスタイル

2018年9月23日にTBS系で放送された「情熱大陸」で、過去このブログで書かせていただいたことのあるボランティア活動家の尾畠春夫氏に密着取材した様子が放送されました。ご覧になった方も多いかと思いますが、このブログでは主に尾畠さんの車中泊生活はどうなっていたのかという点について、番組を見てわかったことを書いてみようと思います。

まず、取材当時にボランティア活動をしていた広島県呉市天応地区には軽のワンボックス車を使って入り、特別扱いではなく毎日ボランティアの活動票のような紙に記入して主に民家の中に入った土を取り除く活動をやっていました。そうした正式な手続きに乗っ取って活動をしているところから、避難所となっている天応地区の小学校の校庭に車を駐車することを許されているようでした。

また、学校の水道を使って一日働きづめで汗だくになった衣類の選択を折りたたみバケツを使ってやり、洗濯物は車が停めてある横にあるアスレチック系の遊具のロープの網のところに掛けて乾かしていました。その様子だけ見ると、過去に何度もネットで叩かれた道の駅に住んでいる長期滞在者の様子と変わらない行動であるのですが、一つ大きく違うのは、地元の人のために活動をしにきてくれ、さらに正式な手続きに沿って活動をしているということから、校庭での車中泊生活を地元の人が認めてくれているということです。

いくら尾畠さんと言えども、最初は地域の人からするとよそ者なわけですから、それなりに地元の人からすると警戒感を持って見ていることはあったと思います。しかし現地での働きぶりや、山口県周防大島での行方不明のお子さんをすぐに見つけた能力の高さを知るにつけ、一目置くような形で接するようになったであろうことが番組を見ている中でも出てきていました。現地ではできるだけ地元の人と会話をするように心掛け、有名な赤のつなぎにも背中に自分の名前を書くことで、誰だかわからなくて地元の人が不安になるような事は極力避けているようです。そうした尾畠さんの人柄が逆に人を引き付けることもあるようです。

お昼休みの休憩中に尾畠さんを訪ねてきた男性がいて、その方のお母さんが尾畠さんに食べてもらいたいとお好み焼きを渡したら、尾畠さんは相当恐縮しているようで何度も何度も頭を下げ、感極まったような表情をしていたのですが、自分から困っている人のところに行って活動するのには慣れていても、他人から施しや好意を受けたりすることには慣れていないという印象でした。単にテレビを見ていただけの私でも尾畠さんの事が好きになってしまったので、地元でその人となりに触れている地域の方々はなおさらでしょう。改めて私達が旅行であっても地元でない土地を訪れる時には基本その地域のローカルルールには従い、単に地元の方の好意に甘えるだけでなく、何か現地でお返しができるような事はないかという風に考えることが、一般の方から見られる車中泊の旅行に悪いイメージを持っている人の考えを変えるきっかけになるのではないかと思ったりまします。

番組では車の中までは取材していなかったので、個人的には見たかった車中泊のための工夫など車内の様子は見ることはできませんでした。しかし、その後大分県の自宅の中で取材を受けているのを見たところ、けっこう男の一人世帯で部屋は散らかっていて、何となく車の中もそんな感じでした。車内は日常的に使うものが無造作に散らかっている風だったので、全く同じとはいかないまでも、日々の自宅で暮らしている環境と同じような状態で車中泊をしているということが考えられます。ただ気になるのは後部はフラットなスペースだとは言っても、ゴザを敷いたくらいの感じだったので、今後エコノミークラス症候群に決してならないとは言えません。せめてキャンプ用のマットを敷いた上に寝るようにして欲しいものですが。

食事はボランティア先ではおにぎり2個だけとか、家に帰ったらパックごはんとインスタントラーメンを鍋で煮て、そこに味付けに焼肉のたれを掛けるといういかにも男の味気ない料理(^^;)でお腹を満たしているのを見ましたが、あれなら車中泊でもコンロがあれば簡単に作れるので、お金も掛からないだろうと思いました。

また、活動先でお風呂は呼ばれないものの温泉はお好きなようで、何せ地元が温泉の宝庫である大分県で、原付バイクで少し走ったところに無料で入ることのできる露天風呂の温泉があるので、そこの熱い湯に浸かり、体が熱くなったら外に出て休むということを繰り返して3時間くらいは温泉を楽しむそうです。いつもお風呂に入りに来る人とのコミュニケーションが豊富なので、その場に帰って入る温泉が尾畠さんにとってのお風呂なのだという気もします。

このように、粗食で携帯電話も持たず(情熱大陸のスタッフも連絡が取れないので活動先に出向いて直接コンタクトを取ったそう)、かかるのは移動のためのガソリン代くらいということで、決して費用を掛けなくても車中泊中心なら割と長期間の旅でも行けるのではないかと思うわけです。

個人的に今回の尾畠さんの活動を見るにつけ、さらにコストを掛けずに車中泊する方法について考えてみました。パックごはんは手軽ですが、さらにお金を節約するなら、お米をそのまま持って行き、灯油や車用のガソリンでも使えるバーナーを持って行ったり、拾った流木や小枝の使えるネイチャーストーブを使って火事の心配のない河原のような場所を使って調理するようにすれば、後は車を停める場所さえ確保できればそれほど毎日お金を使うこともありません。

それにしても、年金の受給が始まる65才から今のような車を使ってのボランティア活動をし出したというのは、実に興味深いところです。現在お仕事をしていてなかなか長い休みが取れないという方にとっては同じくらいの年齢になったら、車中泊をしながら日本一周の旅をしたいと思っている方もいると思いますが、尾畠さんの行動に学ぶところは少なくないのではないかと思います。粗食でも不満に思わず車中泊の長丁場にも耐えられる健康な肉体をキープすることが大切であるとしみじみ思いました。


カテゴリー: 車中泊・車関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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