全国各地で「名物」が徐々に減っていく? 静岡駅で販売が続けられていた谷岡商店の甘栗は2021年3月半ばで廃業

オリンピックに関連した人事をテレビ・新聞が多く報じていますが、その2021年に延期されて開催が予定される東京オリンピックは東日本大震災の「復興五輪」という位置付けだったのが、先週に起きた福島地方中心に起きた最大震度6強の「余震」に、少なくともこのまま東京オリンピックが開催されたとしても、現地の方々はこれで東北地方が復興したとは必ずしも言えないのではないか? と思わざるを得ないような状況に現在あるのではないかと考えたりします。

加えて、延期の直接の原因となった新型コロナウィルスに関する状況はまだ完全に無くなったわけではないので、今後どういう風に社会が変わってしまうかを考えると、オリンピックを開催して景気付けすることが果たして正しい選択であるのかということも、色々と考えたくなります。

以前に、私の住む町の最寄り駅である静岡駅近くで営業していて、地元民からだけでなく他の地方から静岡駅を通過する際に立ち寄られるおでん屋さんが廃業したことを紹介しましたが、今回は静岡駅構内で売店を持ち、市民としては売っているのが当り前だとすら思っていた「甘栗」のお店である谷岡商店さんが、2021年3月半ばで廃業することがニュースになりました。

このお店は、静岡駅近くの高架下に工場を持ち、作りたての甘栗を駅構内で売ることから多くの人が利用していたのですが、昨年からの新型コロナウィルスの広がりによる外出自粛により客足が遠のき、毎年正月の書き入れ時に全く駅に人が来なかったことで業績が上がらず、いつ人出が戻るかわからない中で閉店を決めたということです。

事業は高架下の工場とセットなので、工場を閉鎖するということになるとそもそも作ることができなり、さらに甘栗という商品自体が珍しいものではないため、お店の味を惜しんで事業継承しようにもなかなか難しいという事でした。長く営業を続けているとは言え、例外的に事業を援助するようなこともやりにくいでしょう。よほどその味に惚れ込んで、経営の全てを面倒見るというようなスポンサーがいない限り、全国で長く営業してその土地の名物になっているものが消えてしまい、新型コロナウィルスが収まっても復活できないような状況はこれからも出てくるのではないでしょうか。

逆に言うと、普段から当り前にあって、急に無くなることなど考えたことのない物やサービスが全国でどんどん消えていくほど、今の新型コロナウィルスの脅威はシャレにならないものであるとも言えるでしょう。こうした冷酷な現実が迫ってくる中でも私達は生きていかなければなりませんし、無くなったら無くなったなりに自分の中で折り合いを付けるしかないのですが、もし何らかの方法でこうした細々と全国で続いている事業を救う事ができるのだとしたら、私自身はオリンピックを開催するよりも大切な事ではないかと思ったりします。

もちろん、オリンピックを目指して必死に努力してきたアスリートの方々や、どこへも行くことができずにストレスを溜め込んだ中で、テレビ観戦でもオリンピックを楽しみたいと思う方々も多く、私の考え方が正解なのかどうかというのはわかりません。ただ、このままの状況が続くと、地方都市で細々と営業を続けていて、その都市の名物と呼ばれているものが軒並み消えていき、残るのは全国チェーンのみというような事になると、都市としての魅力も少なくなり、全国へ旅をする楽しみの一部も無くなってしまうかも知れません。それは単なる地方経済の縮小ということだけでなく、地方の文化的なものの消失ということにもつながってくるような気がするので、改めて多くの人に多くの個人商店が店を閉めなければならない状況についても軽く考えることなしに、その打開策を探ってもらいたいと切に思います。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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