民間企業の経営方針にとやかく言う気はないものの

2020年2月から3月の状況が、後日どのように捉えられるかはわからないものの、政府発表やマスコミ報道、それにともなう社会の動き方を見る中では戦争ではないもののいわゆる国難に近いような状況になりつつあります。

まずは小中高の学校が1ヶ月の長期休みという方向で動く中、多くの人が自宅療養や自宅待機になる可能性があり、現在の個人的な関心は大企業で働く人はまだしも、派遣社員やアルバイトの方々の生活費はどうなってしまうのかということや、従業員に給料を出すのも大変な中小企業や個人事業主が事業を続けられずに破産してしまうことが起こるのではないかということです。

この文章を書いている2020年2月29日現在、国からの生活保証の話はまだ出ていませんが、地方公共団体の中では山梨県が一日4,000円という金額ですが、生活のために仕事が新型コロナウイルスの影響でできなくなった人のために支給することを発表しています。そのくらい、今後の日本の購買力は落ち、体力の弱い企業は存続し得なくなるのではないかという心配があるということが今回の話の前提にあることをまずはご理解ください。

今回の主題は、3月18日といよいよ目前に迫った楽天市場の3,980円以上の注文をした際に送料を無料にする方針についての動きについてです。

2020年2月28日に公正取引委員会が、送料無料化施策について緊急停止命令を東京地方裁判所に申し立てたことがニュースになっていたのですが、この急な動きは公正取引委員会が、楽天市場に出店している中小の事業者の負担にこの送料無料がなるだけでなく、新型コロナウイルスの影響で営業自体ができなくなるなどして売上が落ち、中小の業者の倒産が増えるのではないかという見通しを持って申し立てたものであろうことは私にもわかります。これを受けて、さすがに楽天側も自分のモールに出店してくれている中小業者の立場に立って一時的にしろ送料無料開始のタイミングを遅らせるのではないかと思っていたのですが、こうした緊急停止命令にも「法令違反でないから」と送料無料を強行しようとする動きが楽天にあることを知り、すんなりと公正取引委員会の命令に従わない可能性もまだあるのかとちょっとびっくりしているところです。

表題通り民間企業は企業トップの論理で動いており、部下や世間が「黒」だと思っているような事でも、トップが「白」だと言えば「白」なのだということはわかります。しかしそうしたやり方が今まで楽天市場を利用していたユーザーの反発を招きかねないリスクも併せ持っていることも確かなのです。

人間の記憶とは不思議なもので、本当に困っている時に他人に足蹴にされるような事をされると、その後復活した際にいくらいい事を言われてもその人の事が許せなくなる事があります。例えば今回と同じようなことかはわかりませんが、災害時に手に入りにくくなったものを法外な値段を付けたり、普通では使わないものとの抱き合わせ販売をして儲けようと姑息な商売をしているお店からは災害後からであっても物を買おうとは思わなくなるでしょう。今回の楽天の方針はそこまでひどくはなく、消費者という立場からすると送料が無料になるのだから有難いという面もあるのですが、それでももしそのお店でしか買えないような品を出店しているお店が、送料無料を無理して実現しようとして倒産してしまうような事が起こった場合にはその原因を作ったと思われる楽天を利用する場合に考えることは出てくるでしょう。

さらに、楽天は楽天市場だけでなく銀行や保険、プロ野球のチームからサッカーJリーグまで多くの事業にその名前を冠してからんでいるので、楽天のブランドイメージがこの騒動によって悪くなってしまうことがもしあれば、その経済的損失は計り知れません。「それでも自分は正しい」ということで楽天市場の送料無料が実施されるなら、それはそれでこのまま楽天市場の勢いが伸びていくのかどうか、その経営手腕を見てみたいという気持ちはありますが、業者の倒産が出てきてしまうと日本全体の社会が心配にもなりますし、あまり周辺の人に迷惑を掛けないでやって欲しいというのが正直な今の気持ちです。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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