日本国内で大きなスポーツイベントが行なわれる際、気になるのが「実際に見に行けるのか?」ということになるだろうと思います。今後の大きなイベントとしては2019年の秋に開催されるラグビーのワールドカップおよび、その翌年に迫った最注目のイベント東京オリンピックへとつながっていきます。
最近のニュースの中で、東京オリンピックのチケット争奪戦の悲喜こもごもの話がニュースとして取り上げられています。まず、チケットを購入するための専用IDの取得が750万とものすごい数になったため、単にホームページから抽選のためのエントリーをするだけでもずっと待たされるというような事が起こり、そこまでして大量のエントリーをしても一枚も当たらない人がかなり多くいた半面、当たったものの高額なカテゴリーのチケットを取得するためにはお金の決済が必要なので、泣く泣くその権利を放棄して結果一枚も買えない人もいるという話もあります。
そうしたチケット当選の権利を放棄した人は除き、一枚も当たらなかったID登録者に対してチケットの敗者復活戦を行なうという事も最近になって発表されましたが、これを書いている現在では果たしてどの競技のどんなカテゴリーの試合が対象になるのかはわからず、口の悪い人によっては、普通の大会では買う人もいないような良席でないチケットを売りつけるための手段ではないかと思っている人もいるでしょう。
オリンピックの場合、単なるスポーツイベントではなく国民的な行事という認識で言うと、スポーツを単純に楽しむために見たいと思って特定の競技に絞ってチケットを欲しがる人と、競技自体はどうでも良く、単にオリンピックの雰囲気を感じたいからとのべつ幕なしにチケットに申し込み、どれか当たれば嬉しいと思って欲しがる人との2通りに分かれる状況があるのだろうと思います。
個人的には日本でオリンピックを開催することによる当事国の雰囲気を感じたいだけだったら、日本全国で開催されるであろうパブリックビューイングに参加し、日本チームや注目選手の応援に行くような事でも十分なような気がします。1年前にチケットが売り出されてもオリンピックが始まってから調子を上げ、それまでは全く未知の競技・選手が活躍するような事もあり(過去に日本で行なわれたオリンピックでは冬季長野オリンピックの女子モーグル・里谷多英選手の金メダルは完全に予想外でした)、逆に大いに期待されていた競技や選手が大コケしてしまうことも考えられるので基本的にテレビで見つつ、注目の競技を多くの人と見たいという場合には地元で開催されるパブリックビューイングに行くことで、十分その雰囲気は感じられるように思います。そんなこともあって私自身はまだ東京オリンピックのチケット購入用IDは登録していません。
さらに言うと、こうした注目のイベントで必ず起こるのが、直前になってないはずのチケットが出てくるという不思議な現象です。これは、オリンピックだけでなく音楽などのイベントでも良くある話ですが、かつてはあのビートルズの日本公演でも直前になって全て売り切れているはずのチケットが出てきたという話があります。それは、今回の場合と同じように、世間が大いに盛り上がっているからと関係者を通じてチケットを入手したものの行けなくなった人が多く出てその分のチケットがだぶつくという場合です。こういう事をされると、本来は直接見たくてチケットを欲しいという人がいても競技場に空席ができてしまうという、全世界に運営のお粗末さを流してしまう失態にもつながります。
2002年のサッカーワールドカップでもチケットが全く入手できず、当初普通席は全て売れてしまい、買えるのは数十万円もする特別観覧席だけだという話があったので、もはや興味の外だったのですが、開催直前になっていきなり無いはずのチケットがFIFAのホームページから購入が可能になり、私は地元開催の予選リーグ「ドイツ対カメルーン」の試合を7000円で見ることができました。さらに準決勝の「ブラジル対トルコ」のチケットも入手して見に行きましたが、こちらの試合は当日スタジアムに行ったら当日券が入手できた? という話もありました。今となっては確認することはできませんが、完売となったはずの日本開催の多くの試合でも空席が出て問題になったので、まさか同じような問題が東京オリンピックでも起こるかどうかはわかりませんが、個人的には今一つチケットについては「先に買ったら負け」というような想いがあることも確かです。
まだ来年の話だというのにこの時点でチケット争いが加熱する東京オリンピックのチケットについては、少なくとも大量買いで多額のチケット代金を払った人が後から有利な条件で買えるような状況に愕然としたり、どうしても見たいと思いつつチケットの入手ができなかった人が、実際の競技が行なわれる様子を見て会場の空席を見て唖然とするような状況は少なくとも起こして欲しくないです。スポーツに興味のない「関係者」はチケットを手配するのではなく、大人しくテレビ観戦で十分だと思って本当に見たいと思っている人に極力チケットが行き渡るように尽力してほしいものであります。