ファーウェイはなぜ新しく「NM Card」なる規格を作ったのか

前週からアメリカのトランプ大統領が国賓として日本を訪問することになり、かなりの警備が行なわれたようですね。私は大統領来日前の木曜日に東京周辺に出掛けていたのですが、広場には警察官が立ち、駅のコインロッカーも利用できなくなっているところはあったものの駅のゴミ箱は使えたので、飲み終わったペットボトルの処理に困ることはありませんでしたが、東京に旅行した方や東京を生活の基盤にされている方は今週末から週明けにかけて、不便になったところもあったのではないかと思います。

今回の日本国政府のおもてなしの姿を見るにつけ、トランプ大統領を本気で怒らせたら、いかに国を代表する企業といえども、一気に潰されてしまうのではないかという恐怖を感じたのは私だけではないでしょう。それほど大統領が来日前に発表された中国のHuawei社への規制強化はものすごいプレッシャーであり、今後Huaweiがそのまま潰されてしまうのか、それともアメリカに対抗する何らかの策を持っているのか、今後の状況から全く目が離せなくなってきました。

実のところ、先日のブログでHuaweiのスマホが今まで利用していた基本ソフトのAndroid OSの提供を米グーグル社が停止するということがニュースになったことを書きましたが、その後、基本ソフトだけでなくiPhoneをのぞく他のスマホの標準になっているSDカードなどの規格を策定する規格団体のSDアソシエーションがHuaweiをメンバー企業から除籍するということが発表され、さらにスマホの通信には必須とも言えるWi-Fi規格を策定する規格団体のWi-Fi Allianceが、アメリカの大統領令を受けて「一時的に制限した」ことを表明したということがニュースになりました。

団体から離脱したからと言って両方のサービスが自社スマホで使えなくなるというわけではないのですが、自社製品のサポート面が一部できなくなり、さらに自社に有利なような規格に誘導するということは不可能になるため、Huaweiの他社と比較しての競争力は、このままでは落ちていくことは目に見えています。ここまでHuaweiを狙い撃ちにするというのは、現在テレビ東京系で流されているドラマ「スパイラル」で描かれる狙われた企業のような感じもするのですが(もちろん、企業の規模はとんでもなく違いますが(^^;))、それだけ米国は中国の動きを警戒し、絶対通信機器・ネットでの覇権を渡すまいとしてなりふり構わない行動をしてきているなと感じます。

ただ、こうしたニュースを読んで腑に落ちたのが、新しいHuaweiのスマホにmicroSDカードに変わって採用された「NM Card」がどんな経緯で登場してきたのかということでした。国の体制の違いにより、グローバル企業ではなくあくまでも中国共産党の意を汲んでの活動を余儀なくされるかも知れないHuaweiは、近い将来に自国と米国とが貿易に関する問題で揉めた場合、OSを含めたあらゆる米国産の技術を使えなくなるという場合を想定していたのではないかということです。

先日紹介した非米国産の「Kirin OS」についてももはやすぐにでも搭載スマホを出してきそうな勢いですし、本体以外に様々なデータを収納できるメモリカードをSDカードを採用しないスマホを出し、かと言って全てクラウドおよび本体メモリに保存するような仕様のiPhoneとも違うということになると、自社で独自の仕様を持ったカードを作るしかないと決断したのでしょう。

アマゾンのNM Cardの価格を見るとまだかなり高いですが、中国国内での利用を考えると今後多くのメーカーが社外品のNM Cardを出してくるようになれば、当然価格は安くできます。さらに、SDカード端子に接続を可能にするアダプタを出すだけで、完全にサポートされることはできないものの、何とか今までのカードリーダーも使えるようになるので、新たなメモリカードの勢力競争が行なわれていくことが予想されます。

恐らく日本の方はあえてNM Cardの方に乗る方は現在ではいないと思いますが、もし動画撮影でももたつかないような高速対応が安いカードでもそれなりにできるような変化が起こった場合、一部の人はSDカードから乗り換えるような事も考えられます。過去に起きたこうした記録メディアの覇権を争う企業間競争は、あくまで民間の企業の中での争いでしたが、今回の争いは米国と中国の国家の威信を賭けた争いになるため、負けた方の記録メディアが駆逐されるかというとそうではなく、中国を含む同盟国でのシェアは今後NM Card一色になることは間違いありません。そうなると、SDカード陣営は中国とその同盟国内でのシェアを無くしただけではなく、常にNM Cardよりも高性能な規格をSDカード側が作っていかないと、米国を含む同盟国のユーザーからNM Cardに乗り換えられる常なる危険を自ら生んでしまったということになり、このメモリカードに限っては米国は先走ってしまったのではないかと現時点では思わざるを得ません。

今後の覇権争いの中では当然、日本でもNM Cardを使うと中のデータが壊れたり、知らない間に中国にデータが渡ってしまうというまことしやかな話が流れることになるでしょう。しかし、メモリカード自体はネットに接続されていませんから、ネット環境がないところでデータのやり取りに使うだけなら耐久性の心配はあるものの、カードの中味を盗み見られる危険というものはネット接続を避けるようにすればSDカードと同じように保護できるのではないかという気がします。

とにかくどんな結果になっても、一般論として言うならば、自分を含めたユーザーとしては安全な上で安くて使いやすいものでさえあればどの規格になっても文句を言うすじあいのものではなく、今まで使ってきた規格も簡単に変えてしまうことも厭いません。ただ、正しい選択をユーザーにさせるために、どちらの陣営も間違った情報でユーザーを撹乱させるような手法で覇権を奪いに行くべきではないでしょう。もちろん今までの経緯を見ると、そうした可能性も否定できないため、センセーショナルなニュースが出ることになっても決して慌てず、騒動が落ち着いてからハード及びソフトの買い替えを検討する慎重さというものが必要になってくるのではないでしょうか。


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2 thoughts on “ファーウェイはなぜ新しく「NM Card」なる規格を作ったのか

  1. ケータイオタク

    アメリカの今回の行為はむしろandroidの影響を低下させることにつながり、アメリカの技術の地位の低下を招くと思います。過去における同様な制裁は長期的には支配力の低下を招いている言えるでしょう。歴史から学ばない人たちのやり方です。
    個人的にはガラケーとhuaweiのルータが基本ラインなので影響は最小限で済んでいます。
    25日の日経に5G標準必須特許の保有件数が出ていましたが、huaweiの持つ特許はクアルコム、インテルの両社を合わせた件数にほぼ等しい。その他中国系の企業が大半の件数を占めている。
    しかもhuaweiは非公開会社で98.99%の株式を社員持ち株会が持っている。欧米の公開会社の株主が短期的利益の最大化を求める中で研究開発に投じられる資金が限定されるのに対して豊富に投じられる事を考えれば今後さらに差は拡大するのでは。
    今回の制裁はその資金源を断つのも目的の一つではないでしょうか。
    中国国内だけでも大きな市場を持つだけに量産効果が見込まれandroid陣営の端末が高騰する中で低価格でその陣営を奪えるのでは。巨大市場を抱えるインドもアメリカの支配力を抑える為に独自OSを開発する事も考えられる。
    そうなるとますますandroid陣営は量産効果が減じ、コストパフォーマンスは低下するのでは。
    しかし複数のOSが併存する事は望ましい。結果としてOS間の競争が生まれる事を期待したいですね。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    ドナルド・トランプ大統領は何やかんや言ってもビジネスマンなので、本当にこれから中国と全面対決していくのか? という展望もありますが、実際はそれ以上に次の選挙で勝って大統領を続けたいという意欲の方が勝っているのでしょうか。どちらにしても、これからのアメリカの事を考えた時、もしあの時にこんな選択をしなかったら? というようなターニングポイントになるような気もします。

    日本でも、2020年の東京オリンピックまでに「5G」を普及させるという目標のもとに動いていると思うのですが、今回の事で計画が影響を受けることはないのでしょうか。本来は、そうした事についてもきちんと報道して欲しいと思いますね。

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