4年に1度の地域格差

 すでに済んでしまったことをくどくどと書くのもどうかと思うのですが、恐らくまた4年後に同じことで憤慨する人が出てくるだろうと思いますので、ちょっと書かせていただこうかと思います。

 日本国内で生活する人というのは、名目上どこにいても同じサービスを受けることができるはずですが、やはりそううまくはいかないものです。交通の便がよく、必要なものを得るためにそれほど労力を要しない首都圏在住の方と、自分で車を運転して出掛けないと買い物にも行けない地方の人との差はあります。ただそれは、物理的に仕方のないところであり、全てを都会と同じようにすることができないということはわかるでしょう。

 しかし、ハード的な施設そのものと違い、電波を使ってのサービスなら山の中で電波の届かない所ならまだしも、電波の受信ができれば同じようにサービスは受けられるはずです。インターネットについていえば、全国くまなく車で旅をするような場合、ドコモの契約やMVNOでのデータ通信契約を利用すれば、高速通信を無制限にはならないものの、3G通信で必要な時に高速通信を使うことができます。その点では完全に地域格差は解消されないものの、全国どこへ行っても同じようにインターネットが利用出来る環境ができていると言えるでしょう(FOMAプラスエリアも通じない地域をのぞく)。

 それと同じように本来なら全国どこでも見られるはずの、テレビ番組について今この国には純然たる地域格差が存在します。基本的にはNHKの他の民放には日本テレビ系・テレビ朝日系・TBS系・フジテレビ系・テレビ東京系がありますが、地方によってはこれら民放のテレビ局が少ないため、一部の系列の放送を見られないことが起こります。それを恨めしく感じるのが実はNHKと民放が放送権を分け合うような大きなスポーツイベントの時だったりするのです。

 具体的に言うと、今回のサッカーワールドカップの試合は、NHKと民放の中で放送権が割り振られたのですが、私の住んでいる静岡県中部ではテレビ東京系列が放送権を持つ試合を生中継で見ることができなくなりました。中継録画では見ることはできるのですが、すでに試合結果がわかっている中、見なければならないというのは私は虚しいと思うので、できるだけ生で見たいと思っているのですが、こればかりはどうしようもありません。

 実は、東京で見ることのできる地上波の放送というのは、BSチャンネルで同時放送されています。しかし、その放送は難視聴地域に住む人の申請によってスクランブルを解除されるようにはなっているものの、実際に見られるようにするのは大変なのです。詳しくはBS17問題としてかなり前に書いていますので、興味のある方は以下のエントリーもご覧下さい。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/bs-896e.html

 この仕組みのおかげで、テレビ東京のエリアでない地方に住んでいる場合、いくらお金を出すと言っても同時送信されているBSからテレビ東京の番組を見ることはできません。はっきり言うと見るためには衛星放送局のお知らせで使用を厳しく戒められている不正な処理のされたB-CASカードを使うしかなく、当然ながら使ったことがわかれば逮捕される可能性は大と言えましょう。しかし、例えば地域の放送局が中継してくれない試合のみをスクランブルを外してテレビ東京が見られるようにしてくれれば何の問題もないと思うのですが、そんな配慮を地方のテレビ視聴者にしてくれることはないようです。しかしそれでも、本来は日本国内にいる人なら全てのサッカーの試合を生中継で見られるはずが、住んでいる地域によって見られない試合が出る現状は、NHKの受信料をきちんと払い、さらに広告宣伝費の入った商品を買うことについては負担を平等にしている地方の人にとっては、ワールドカップの試合を見る権利を不当に奪われていることになるのではないかと私は思っています。少なくとも、次の機会には同じような理由で試合の生中継が見られない地域がなくなるように関係各位の努力を求めたいものです。


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4年に1度の地域格差」への3件のフィードバック

  1. 匿名 投稿作成者

    山谷が険しく都市部は高層が林立する日本で津々浦々地上波でテレビ放送すること自体コスト的に成立する訳ない。にもかかわらず放送利権を温存するために多数の中継局を設置してまでムリに地デジ優先で進めてる放送行政は気違い沙汰です。キー局放送は明日からでもBSで全国展開することは可能です。それができないのはローカル放送局保護の名目だけです。しかし今後web放送が主流となるので現在の放送機構は崩壊し地上局は意味なくなるのは時間の問題です。

  2. 匿名 投稿作成者

    地上波に期待されてるのは防災無線のようなローカルに限定された放送です。超小型無指向性アンテナでも受信できるモバイルワンセグのような端末機器で災害時に必要な情報を得る。通常は悪天候時、衛星放送で受信不可になった場合の代替放送などの役割でしょう。

  3. てら 投稿作成者

    早速のコメントありがとうございました。
    放送に関する利権というのは私が考えるよりもはるかに大きいものということなのかも知れません。インターネット配信についてはすでにradikoが行なっていますが、ようやく有料で全国の放送が聞けるようになったものの、全国配信のネットワークに加わっていない放送局もあり、聴取者に使い勝手のいい仕組みになっているのかどうかは不透明な部分もあります。この調子でテレビ配信をインターネットでやった場合、足を引っぱるようなところが出てくるのではないか心配です。
    ある程度の視聴者が見込める都市部以外、新たな設備投資をして地上波の送信施設を作るのは確かに無駄なような気がします。それだけの建設費および施設維持費を出せるなら、路線バスの路線を残すために使った方がよっぽど地方のためになるのではないかと思いますね。

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