1-4 auの独自性とSIMカード

 携帯電話というのは電話そのもので通話やデータ通信ができるわけでなく、さまざまな端末の中に小さなSIMカードと呼ばれるカードを挿入することによって電話としての機能が使えるようになっています。SIMカードの形状は普通サイズとマイクロサイズがありますが、それぞれの電話事業者のSIMカードは同じ会社の端末でないと使えないというのがいわゆる「SIMロック」と呼ばれている仕組みです。

 今の日本ではそれぞれの携帯電話会社で携帯電話やスマートフォンを販売しているため、当たり前のように携帯電話会社のロゴが入った電話を使っているわけですが、こうした制限をなくしていこうという動きもあります。ただ、日本の携帯電話サービスは独自のメールやウェブ接続のサービスがあり、現状ではドコモとソフトバンクの携帯電話やスマートフォンならSIMロックを外せば通話はできるようになるものの、普通の携帯電話特有のメールやウェブ接続は使えないという落とし穴もあります。

 auはドコモやソフトバンクのように、気軽に別の端末とSIMカードを入れかえて使うことができないようになっています。会社をまたいで別のカードを入れて使えないようになっているだけでなく、例えば中古ショップでSIMカードのない本体のみという、いわゆる白ロムを買ってきて、自分の電話に入っているカードを入れ替えたとしても、そのままでは電話として使えません。使いたい場合はauのショップへ出向き、使いたい端末を持ち込んで有料で登録してもらう必要があるのです。

 普通に考えると、お金を出して中古としてでも買ったものについてでさえ、有料で登録が必要というのは納得のいかない点もあるでしょう。しかしながら話はそう単純ではありません。その昔、携帯電話ショップを狙った窃盗団が横行したことがあります。まだ登録していない携帯電話をごっそり盗み、それを売りさばくことで金を稼ごうとしていた人が多くいたのです。最新の携帯電話やスマートフォンは、本体の価格が6万とか7万とか、かなり高い値段でユーザーが月賦で購入しており、出たばかりの端末の白ロムということでは、やはりそれくらい出しても欲しい人がいるため、安く最新機種を仕入れることができさえすれば、おもしろいくらいに儲かるでしょう。

 ただ、現在では携帯電話会社はそうした素性のわからない携帯電話本体についての対策を行なっています。別の可能性として、料金の支払いが滞った契約の端末を、ネットオークションで売ることで手っとり早くお金を得る方法というのも以前は横行していました。ドコモやソフトバンクの場合、識別番号が盗難品として登録されたものや、まだ割賦契約の料金が支払い済みでないまま放置されているような端末は、正規のSIMカードを入れても全ての機能が使えないようにロックがかけられる「赤ロム」という処理がされるようになり、これはオークションに出ているものだけでなく、お店に置かれているものでも同じような可能性は残っているのです。今後中古の携帯電話やスマートフォンを購入する場合、ドコモやソフトバンクのものの場合はこうしたリスクを購入時には負わなければならないという事も覚えておいた方がいいでしょう。

 その点auは電話として使うためには必ずショップの手続きを通す必要があるため、中古の白ロムであってもショップで手続きさえ通ってしまえば、使っている中で突然赤ロムになって使えなくなるような心配をする必要がありません(ただし盗品や料金未納の端末の場合は手続き自体ができないので、手続ができない場合の保証のあるショップで購入するのが無難です)。ただ、ドコモやソフトバンクのように、今使っている携帯電話が壊れた時にSIMカードを入れかえて使える端末の範囲が狭いので、修理補償のサービスにはちゃんと入っておいた方がいいでしょう。

 こういった事情をわかって使うというのが基本になりますが、私が契約しているのはスマートフォンではない普通の携帯電話で、メールのやりとりが定額の「プランEシンプル」にメールやウェブを使う前提となる「EZ WIN」をまず組み合わせます。スマートフォンで読むことのできるGmailのほとんどをauのアドレスに転送させていますので、メール定額でないとそれだけで3千~5千円もパケット料金がかかってしまうのでこれは外せません。スマートフォンを持っていれば携帯メールはいらないだろうということもあるのかも知れませんが、いざという場合にはスマートフォンよりも携帯電話の方が充電も少ない電力でできますし、メールだけでもブログの更新やTwitterもできますので、他の回線をスマートフォンにしたとしてもauは携帯電話のまま行くと思います。さらに、auしか格安でのサービスを展開していない携帯電話によるWi-Fi通信サービス「WiFi WIN」のオプションサービスを契約しています。このサービスが画期的なのは、一切携帯電話のパケット通信を使わず、携帯電話によるウェブ接続が可能になることです。auの携帯電話がネットに接続する場合、設定をしておけばwebに繋がる前に暗証番号の入力が必要なように設定できます。先に携帯電話を無線LANに接続しておけば、ネット経由で動画を見ようがおサイフケータイやアプリを使おうが全て無線LAN経由となりパケット料金の請求がされないのです。さまざまなメールサービスを受けるためにはいったん携帯ブラウザによるネット接続が必要な場合がありますが、そうしたことは自宅や公衆無線接続の可能の場所の他、テザリングのできるスマートフォンやイーモバイル・Wimaxなどの無線ルータがあれば外でも問題なくできるのです。

 唯一の難点は、このWiFi WINが使える機種が限られていることですが、私はこのサービスのおかげで、携帯補償サービスを付けても月2千円弱でメール及び携帯サイトへの接続(おサイフケータイ含む)に困ることはありません。WiFi WINサービスの今後が心配ではありますが、最低限のネット接続をスマートフォン以外で安く使いたいと思われる場合はこのサービスに無線ルーターを使ったインターネットを使った方が、多少はめんどくさくなるものの、全てを一台でまとめるよりも利便性は高くなるでしょう。私はこうした文章を書くためでもないのですが、一通り携帯電話会社と契約をしてしまっているのですが(^^;)、とりあえず一台携帯電話を契約したいという場合は、WiFi WINが使える携帯電話がまだ手に入るうちはおすすめすると思います。

 その場合、メールは即時受信の携帯メールを使わずにウェブメールで済ますのなら、基本プランを無料通話ありのプランや、同社間の通話定額プランにするのも面白いでしょう。なお、WiFi WINを使う場合は必ずEZ WINにも加入しなければウェブ接続ができませんので契約の際にはご注意ください。

(追記 2012.2.14)

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 以上のように述べた携帯電話の使い勝手を貫くため、防水防塵耐衝撃性を兼ね備えた上でWiFi WINも使えるというG’zOne TYPE-Xに機種変更しました。詳しくは別のカテゴリーで紹介しますが、今回この携帯電話にしたことで、当分は今のパターンの契約を続けようと思っています。キャリアを選ぶ際には回線の安定感やサービスを考慮する向きも多いかと思いますが、他のキャリアにはこんなに頑丈な端末はないわけで、端末でキャリアを選ぶのも十分あり得ると思います。


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