ソフトバンクモバイル回線を使ったMVNOはまだ万人向けではなさそう

2017年3月22日にからSIMカードのパッケージがまず第一弾として発売されたのが、日本通信が仕掛けたことで実現したソフトバンクモバイルの回線を使った格安データ通信専用SIM「b-mobile S」です。本家日本通信の他、U-mobileとヤマダ電機で売られるヤマダファミリーモバイルで取り扱うソフトバンク回線のMVNOは同じ内容になっています。

具体的には音声通話もSMSオプションも付かないデータSIM専用のサービスで月ごとの高速クーポンの量の違いで月額料金も変わります。なお、以下の価格については全て税抜き価格です。

・1GB/880円
・3GB/1580円
・7GB/2980円
・30GB/4980円

この金額を高いか低いかととらえるのは微妙なところです。ドコモやau回線で比べる場合は多くの業者間で比較できるので、具体的に高いとか安いと言えるのかも知れませんが、ドコモの3GB/月のプランが千円以下で使えるのに、ソフトバンクの回線を1GB/月のプランを同じくらいの価格で使うメリットがあるか? ということになるでしょう。

そもそも、ソフトバンク回線を利用できるハード自体に縛りがあり、ソフトバンクから購入したiPhone5以降のiPhoneを使っている方や、iPadを持っている人でないと使えません。SIMカードの大きさはmicroSIMとnanoSIMがありますが、これはiPhone,iPad用に作られたものなので、このSIMをソフトバンクのガラケーや、iPhone以外のスマホ(AndroidやWindows Mobileなど)に入れても使えません。また、iPhone用のSIMカードをiPadに入れて使うことやその逆もできないそうなので、iPhoneとiPadの両方持ってSIMを差し換えようともくろんでいる方はそれぞれのハードごとの契約が必要になりますのでご注意下さい。

今後の状況によってはAndroidスマホに入れて使えるものも出てくるかも知れませんが、そうなったら逆にそのSIMはiPhoneに入れて使うことはできなくなることが予想されます。

つまり、日本通信、U-mobile、ヤマダ電機が狙っているターゲットというのは、ソフトバンクからドコモかauのガラケーやガラホに変えたものの、手元にiPhoneやiPadが残っているし、二台持ちでデータ専用機として使いたいというニーズにピッタリと合います。

レンタル回線の仕様でテザリングが使えないのは残念ですが、何よりも今までは解約したら全く役に立たないと思っていたiPhoneを持ち出して今までと同じソフトバンクエリアで使えるというのは、わざわざお金を出して新たなスマホを購入しなくても済むということで、安く2台持ちに使いたいという人はデータSIMの料金だけで済みますのでその点ではありがたいのではないでしょうか。

さらに、とにかくiPhoneを使ってみたいというユーザーにとって、大手キャリアの中でも安く白ロムが購入できるという傾向にあるソフトバンクのSIMロックがかかったiPhoneやiPadを購入してスマホと合わせての通信コストを安くしたいということで購入される方もいるかも知れません。ただその場合は、購入した機種がそもそも対応しない場合もありますし、対応する場合でも、持っている機種に合ったSIMカードを選ばないと使えない可能性もありますので、まずはウェブページをじっくり読んだり、店頭で話を十分に聞いてから白ロム購入の算段をした方がいいと個人的には思います。

あと、導入前に知っておいた方がいい事として、速度制限はどうなっているかという点も気になります。日本通信のホームページによると3日間で300万パケット(360MB相当)を使ってしまうとそこから最大200kbpsに規制されるということです。あともちろん、高速クーポンを使い切ってしまえば同じく最大200kbpsの制限が月末までということになります。

さらに、他社では当月中に使い切れなかった高速クーポンを翌月に繰り越す機能があるところがありますが、ソフトバンク回線プランでは繰越も不可ということです。このように書いていくと、ドコモやauの回線を使ったMVNOと比べると多くの面で見劣りする点が多いように思います。ただこれは、本来Y!mobileをソフトバンク回線を使った格安SIMの代名詞として位置付けたいソフトバンク側に何とかしてMVNOとしての回線借受を実現させようとした日本通信の苦労の跡がしのばれるところでもあるのです。また、ソフトバンクの要求のため、これらのプランを解約する場合にSIM返却がドコモSIMと同じように必要であることも心得ておきましょう。

ただ、すでにソフトバンクのiPhoneやiPadの白ロムをどうすることもできずにWi-Fi専用機にしてしまっている方には新たな活用法としていいのではないかと思います。データ通信専用ということで、大手キャリアにある2年ないし3年の契約についての縛りもありませんし、月1GBのプランを880円で維持した方がいい方もいると思います。個人的にはエリアの問題で、将来どうしてもソフトバンクしかつながらないような場所へ行くことが多くなった際に選ぶ格安SIMとしての選択肢ができたのは嬉しいと正直思うところです。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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