家電量販店に行くと、ノートパソコンのコーナーにひときわ小型のノートパソコンのような感じで展示されていることの多いNECのLifeTouch NOTE ですが、この端末はMacOSやWindows7が入っているわけではなく、スマートフォンのOSであるAndroid2.2を搭載しているノートパソコンとは別物の端末ですので購入時には注意が必要です。価格設定も販売当初は4万円から5万円と廉価版のモバイルノートと同等の価格だったので、なおさら勘違いしやすかったのではないかと思います。スマートフォンの機能を持ったものに外付けのキーボードを付けて長文入力をしたいと思われる方は、これ一台でそういうことができてしまうというのが売りのマシンです。ここのところ在庫放出のためか安く価格が付け直されたりしていますので、これならと食指を伸ばそうと思っている方もおられるかも知れません。私自身もどうしようかと思っていたので、ここで冷静にLifeTouch NOTE の実力をスペックの面から評価してみようと思います。
LifeTouch NOTE はグレードによって3つに分かれており、搭載メモリと付属SDメモリカードがそれぞれ2GBで合計4GBの廉価タイプ(NA70W/1A)、メモリがそれぞれ8GBずつに増えているお買い得タイプ(NA75W/1A)、メモリの量は同じで、前タイプに装備されているWi-Fiの他にFOMAカードスロットがあり単体でのネット接続に対応したタイプ(NA75F/1A)があります。お買い得感で言えばNA75W/1Aがバランスが良いですが、安く出ていればNA70W/1Aでも十分でしょう。スマートフォンそのものを持っていない方が、b-mobileやイオンの安いSIMカードを使いたいと思われる方ならば、NA75F/1Aでも携帯電話会社と2年縛りの条件でスマートフォンを買われるよりも十分安くネット端末を維持できるのでおすすめです。
基本的な性能はスマートフォンそのものですが、解像度は7型ワイドの液晶に800×480ドットとGalaxy tabよりも見られる領域は狭くなっています。この小ささが気になる方がおられるかも知れませんが、それならもう少し出してモバイルタイプのノートパソコンを買った方がいいでしょう。スイッチを入れたらすぐに起動し、それなりの快適さで文字入力ができるキーボードを持ち、日本語変換ソフトが評価の高いATOKや専用の文字入力のためのエディタが標準装備されているということで、私のようなブログ更新を頻繁にやりたい方には魅力的です。また、標準搭載のソフトによってカーナビゲーションの代わりとしても使えないことはないので、車にカーナビがない方がいざという時に使ってもいいでしょう。スマートフォンやタブレット端末のようにタッチパネルからの入力も可能ですが、その場合はキーボードが邪魔になりますがそれは仕方ないでしょう。
キーボードとモバイル機器との関係を考える時、スマートフォンやタブレット端末で直接入力する方が多いかと思いますが、パソコンでキーボードを使っての入力に慣れている方にとってはきちんとしたキーボードで入力した方が多くの文章をストレスなく入力することができます。今回紹介するようなキーボード付き端末の他にも、外付けのキーボードを導入する方法もあるのですが、アンドロイド端末というのはあまりキーボードでの入力に適したセッティングがされていないようで、私の持っているBluethoothのキーボードではハード会社の提供する日本語入力ソフトしか使えないなどストレスがたまります。また、キーボードを有効にするために設定を変える手間もかかります。車の中で使う場合、折りたたみのキーボードだと膝の上に乗せて安定して使うことは難しいということもあります。そういう意味でもNECは良くキーボード付きの端末を出してくれたと思いますし、瞬時に起動してちょっとキーボードからメモができるような車での旅の場合は、有効な場面も多いのではないかと思います。
ただ、一つ私にとって残念な点があります。上で挙げたキーボード付き端末のメリットというのは起動の遅ささえ我慢すればモバイル用のミニノートを一つ用意すればほとんどそちらの方でも同じ事ができるのですね。NECはバッテリー駆動9時間をうたっていますが、モバイルパソコンの中にも7時間ぐらいの使用時間を誇るものは多くあります。価格的にも3~4万円程度でWindows7搭載のものが入手できる中、どうしてもこちらにする意味があるのかというところが鍵になってきます。GPSや加速度センサーを搭載し、そのままでカーナビになるというメリットは確かにありますが、電源周りがアンドロイド搭載といいながら、他のスマートフォンのように外付バッテリーからの充電ができないノートパソコンのACアダプタを使っているというのが導入に関して一番躊躇するところなのです。
はっきり言って私の場合Galaxy tabを持っているので、カーナビ云々の機能は必要ありません。インバーターを使えば走行中の充電はできますが、それならノートパソコンを持っていくのと同じなので、あえてそうした端末を増やすメリットを感じないのですね。NECに電源周りを改良した新機種を出す気があるのかどうかわかりませんが、東北大震災のような地震がどこでも起こり得ることを実感してしまうと、USB端子経由で充電可能なものでないと、いざという時には全く使えないので、今回は見送るというのが私の結論になります。逆にUSB経由で充電できるなら、単三4本で出力できる外部電源を使え、その単三電池は太陽電池で時間はかかりますが充電できます。その昔、NECには単三電池2本で動く白黒のキーボード付き端末モバイルギアMC330がありました。実はこの端末はヒンジの部分がすぐに壊れる宿命があるのですが、いざという時のためにほとんど使っていないものを保存しています。できれば日々の使用に耐えうるものでモバイルギアの代替となる端末あればいいなと思っているのですが、なかなかそういうものが出てこないのが残念です。