AEON MOBILE の本気度とは?

 格安SIMのMVNOを使っている人にとっては、インターネット通販以外で早くから店頭販売を積極的に行なっていたAEONグループの携帯電話コーナーの存在は無視することは決してできないでしょう。

 何を隠そう私が以前使っていたNECのMR03LNのクレードルセットを購入したのもAEONの携帯電話コーナーでした。もう少し時間をさかのぼると、まだMVNO業者が限られ、200kbps前後のスピードしか出ない通信カードが月二千円以上していた時に、スピードこそ100kbps以下となっていたものの最初に月間980円という価格で日本通信(b-mobile)のSIMカードを限定販売したのもAEONグループの携帯電話コーナーでした。

 その後、BIGLOBEなど数々の事業者のSIMおよびSIMフリースマホ・モバイルルーターを代理店形式で販売することで、日本における携帯大手三社だけではないMVNOを広く一般にも普及させるのに大きな役割を果たしてきたのがAEONグループであると言えます。

 大手携帯電話会社にはどこへ行っても大きな看板を掲げたお店があり、わからない事があったり端末の不具合が起こったりした場合に気軽にお店に出向いて対応してもらえる安心感があるからこそ、多少高いと思ってもなかなかMVNOに移行する人が増えない現状があります。しかし、もし格安SIMにもそうしたお店が近所にあって、様々な対応をしてもらえるなら初心者でも格安SIMに乗り換えやすくなるでしょう。そうした可能性を考える時、全国に大型のショッピングセンターを展開していて、すでに相当の販売実績があるAEONが大々的に格安スマホおよび格安SIMの販売に乗り出せば、かなりの人が移っていくのではないかと思っていたところ、2016年2月26日からいよいよAEONが本腰を入れて自力でMVNOの事業に乗り出すようです。それが、表題の新しくなった「AEON MOBILE」です。

 新たにMVNO事業者にAEONがなったということで、今までのようにすでにあるMVNO業者のプランを併売しながらお客さんのニーズに合わせるような売り方ではなく、今後は店頭でのお客さんの声を反映したプランを独自設計することもできるようになります。今回出てきたプランは実に細分化されていて、価格も安いものからびっくりするくらい高いものまで様々ですが、これも、ライトユーザーから超ヘビーユーザーまで全て取り込もうとするAEONの戦略が透けて見えます。

 ニュースリリースによると、「AEON MOBILE」のカウンターは全国213店舗に設置され、スマホの故障修理・プラン変更・解約手続きなどをカウンターで直接できるようにし、修理の間には代替機も出せる体制を整えるそうです。そうなってくると、家族で買い物に行っている間にMNPを含む新規契約、機種変更の手続きも買い物をしているうちにやってもらえるわけで、一部の人にはむしろ携帯電話大手のお店へ行って延々と待つよりも快適に手続きを行なうことができ、しかも毎月の料金が安いということになれば、全くMVNOの事を知らない人にも安心しておすすめできる存在になってくるかも知れません。

 さらに、これから店頭で新規契約をして新しい端末を渡す際に、APN設定をした上、わ操作がわからない人にはある程度の操作方法を教えた上で渡すそうです。携帯電話大手のように必ずしも万人に不必要な有料オプションを付けることもなく、後日ユーザーが自分でそのオプションを外すストレスもありません。そして今回の発表で個人的に一番びっくりしたのが、通信契約の中で090をはじめとした電話番号の付いたものでも2年縛りはおろか、他のMVNOでよくある12ヶ月までの解約手数料の請求もないということです。ただMNP転出手数料が180日以内が8000円、それ以降なら3000円という違いはあります。それにしても、単なる解約なら手数料はいらないわけで、入るのも出るのもいつでもできる自由な契約ができるというのはある意味当り前な契約だと思うのですが、それが画期的だと思えてしまうことに、今までの携帯電話契約のおかしさを改めて考えるきっかけになるのではないかと思うのです。

 プラン自体が多くて一つ一つはとても解説することは難しいですが、個人的に多くの家庭で検討に値するのが一契約でSIMカード3枚を使える「シェアプラン」の高速クーポン30GB以上のプランだったりします。基本料金は音声通話SIM1枚にデータ通信専用SIM2枚となっていますが、ここでは全てのSIMカードに音声追加オプションを2枚分付けた場合の料金を紹介します(価格は全て税抜き、音声追加オプションは1枚ごと月700円)。

・シェア音声30GBプラン 8,280+700+700=9,680円(1人あたり10GBで3,227円)

・シェア音声40GBプラン 11,100+700+700=12,500円(1人あたり13.3GBで4,167円)

・シェア音声50GBプラン 15,100+700+700=16,500円(1人あたり16.6Gで5,500円)

 さらに高速クーポンは翌月繰越ができるので実際は毎月利用可能な高速クーポンの量は増えるでしょうし、明らかに子供が使いすぎだと思ったら、高速と低速はユーザー側の操作で切り替えすることができますので、親の裁量で任意に、その都度最大200kbpsの制裁速度にすることも可能です。大手三社のうち3名でシェアする事ができるドコモの場合、月額4,500円くらいまで安くはなりますが、これだけの大量のデータ通信量はシェアできません。通話定額がないというディメリットはありますが、このシェアプランを中学生や高校生のお子さんが持つのなら、LINE電話でも支障は少ないかも知れませんし、仕事などでどうしても通話定額が必要なケースであれば、あえて音声追加オプションを付けないデータ通信専用のSIMを持つ代わりに、別にガラケー専用の月額2,200円の通話定額プランでガラケーをスマホと一緒に持つ2台持ちにするという方法も取れます。

 この4月からドコモでファミリーシェアプランを3名でシェアし、一人あたり月4,500円で使うしかないと思われていたケースなら、上で紹介したシェアプランに入り、キャンペーンで安く購入できる富士通ARROWS M01でも買っておけば、シェア音声30GBプランあたりで手を打てば、通信代の差額は4,500-3,227=1,273円/1台分となり、これが3台分だと毎月のドコモシェアプランとの差額は3,819円となります。AEON MOBILEのキャンペーンでスマホ代もお一人様一台限りとあるのが気がかりですが、もし税抜14,800円でARROWS M01が3台買えれば、およそ1年ちょっとで端末代の元が取れてしまいます(^^)。これこそ、端末料金の実質無料といえるかも知れません。ただ、キャンペーンの条件にある「一人一台限り」という事を厳密にとらえると、2台目から通常価格として売られる可能性もあるので、購入の際には店頭でしっかり確認し、納得の上で契約して下さい。

 ただ、お子さんにスマホを持たせる場合には、この金額にプラスして3台すべてに落下や故障の際に役立つ「イオンモバイル安心保証」は付けておいた方がいいと思います。電話での細かいサポートが必要な場合は、必要に応じて電話サポートも付ける方がいいと思いますが、こちらの方は3回線全てに付ける必要がないというのもシェアプランのメリットになるでしょう。

 あえてこのプランの問題点を挙げるとすれば、最初から大量の高速クーポンを使えることが当り前だと思ってしまう子供を量産してしまいはしないだろうかという心配があるのですが、この点については家族内で十分スマホの使い方について話し合い、その家庭独自のスマホ利用に関するルールを決めるしかありませんね(^^;)。


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