手ぶらで逃げられるためにもクラウドを活用しよう

 現在のパソコンやスマートフォンを使っている人の中で、全くクラウドを使っていない方というのはあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。IDとパスワードによってさまざまな情報を管理するため、第三者からクラウドに入れた情報を見られたり盗まれたりする危険性は常につきまとうのですが、本当に人に知られたら困る情報については別に考えるとして、ここでは災害時にないと困る情報の管理について考えてみることにします。

 大きな災害により避難生活が長期に及ぶことになったら、水や食料、トイレの問題は外からの支援物資で何とかなりますが、必要なものが個人の状況で違ってくる場合、やみくもに頂いても困る場合があります。持病や高血圧で定期的な薬の摂取が欠かせない場合、いつもかかりつけの薬局からいただいている薬の種類は何で、その分量はどれくらいかという情報はいざという時にはないと困るものの一つです。

 薬の情報というのは薬局でもらえる「おくすり手帳」に書いてあったり、薬をもらう時に添付されている書類に記載されていたりします。常におくすり手帳を持っている人ならいいのですが、着の身着のままで逃げてきたものの、服用している薬そのものやおくすり手帳を取りに帰って被害に遭ってしまう可能性もあります。そうならないために、たまたま先日聞いたラジオの防災コーナーの中では、家族のおくすり手帳の当該ページをガラケーやスマホのカメラで撮影して保管しておくといいという話が紹介されていましたが、個人的にはそれだけでは不十分だと思います。

 常に持っているものでもガラケーやスマホが水没や破損で中のデータを見られなくなってしまう可能性は残ります。端末本体に残すこと自体はいいことですが、同時に、何らかのクラウドサービスにそのデータをアップしておけば、仮に全ての端末を失ったとしても、極端な話ですが人の端末を借りてクラウド上の情報を入手することが可能になります。

 こうしたことの応用として、家族の中では大切な情報でも他人には全く価値のない情報であるなら、クラウド上に安心して保管しておけるでしょう。写真立てにおさまっている家族の写真も、改めてデジカメで撮影したデータをクラウドに保管しておけば、全てが失われても、クラウド上にあるデータから再び印刷することによって蘇ります。同様に子供さんの書いた作文や絵もデジカメで撮影したデータで保存できますし、家族の様子を撮影した動画なども、機会があればクラウド上に置いておけば、いざという時の家族の思い出は守られます。公的なデータはあえて用意しなくても普段の生活が送れるくらいの復旧は行なわれるのではないかと思いますが、プライベートなもので大切にしておきたいが、常に持ってはいられないものについて、改めて何が大事かをリストアップして自分でクラウド上に保存しておくことは、その後の生活にも必要なことではないかと思います。すでにデジカメやスマホで家族の写真を撮りためている方は、Flickrのようなサービスを使って自動的にアーカイブを作っておけば改めてアップし直す手間も軽減されます。非常用の持ち出し袋の中味を吟味するのも大事ですが、クラウド上に置いておけばいいものについてはあえて持って逃げようとしないよう家族で意思を統一し、できるだけ身軽に逃げられる状態を作っておくことも大事かも知れません。


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