モバイルハウスと車中泊の旅

 先日のテレビプログラムで、作家の石田衣良氏と「モバイルハウス」という新しい住宅の概念を紹介している坂口恭平氏との対談がありました。ホームレスの人たちが河川敷に作っている住居を参考にし、家自体に車輪を付けることにより移動可能で、法律的には軽車両となるモバイルハウスというのを初めて見ました。

 これは、車中泊というよりも車上生活ということになってしまうのですが、ワンボックスの車の中に住むよりも特にこれからの暑い季節には快適でしょう。番組を見ていて台風で飛ばされてしまわないか心配になるくらいの安普請でしたが、住居自身を移動できるということがポイントになっていて、台風が来る際には安全なところに移動できればいいわけです。さらに、今話題のソーラーバッテリーを屋根に装着し、車のバッテリーをつないで蓄電すれば、ワンセグのテレビを見たり携帯電話を充電したり程度なら十分で、人にもよると思いますが電力会社との契約はしなくても十分かも知れませんし、個人的には水回りの問題さえ何とかなれば十分モバイルハウスで生活できるのではないかと思われます。

 もちろん、実際に車上生活をしたり、こうしたモバイルハウスを駐車場のスペースに設置して生活の舞台とすることは、今の世の中では世間の人たちの見る目は厳しいでしょう。特に住居となると調理をするために火を使うこと自体が危ないと思われる人も多く、こうした住居が一般化するには土地を提供する人および、周辺の人々の理解がないととても無理ですね。ただ、現状でも貧困ビジネスという言葉があり、不当に生活保護費をピンハネするアパート経営者が多くいるようだと、あえて生活保護を申請せずに、こうしたほとんどお金のかからないモバイルハウスで生活をすることを選択する人も増えてくるのかも知れません。逆に言うと、こういったライフスタイルを選択する人が増えてくると、政府はモバイルハウスで生活する人たちから税金を取りようがなくなってしまうので、今しゃかりきになって消費税の税率アップを狙っているのではないかなんて思ってしまいます。

 私の行なっている車中泊の旅も、ある意味こうした車上生活と紙一重なのかも知れません(^^;)。生活のために車の中で過ごすような事まではしないまでも、旅行の際の宿代を払わず、自分の出掛ける場所をどこでも自分の別荘にするような感覚で宿泊場所を探したりしますので、私の車自体も一種のモバイルハウスと言えなくもありません。私の場合は状況に応じて利用できるようにドーム型のテントも積んでいますので、下手をすると自分の家がなくなっても車を生活の中心にしてしまいそうで怖いですね(^^;)。

 ただ、モバイルハウスで生活するような事を本気で考えた場合、問題となるのが今自分で持っている膨大な「モノ」であるとも言えます。坂口氏が手本にしたホームレスの方々はそうしたモノを持たないで着の身着のままでいるからこそ最低限の住居で生活できるわけで、家やアパートに生活の基盤を置く人がこうした生活を目指すということになると、まずは今あるモノを大量に処分し、モバイルハウスの中に収納できるくらいに持ち物を絞り込む必要が出てきます。こうしたことはとても私には無理なので、あくまで仮の宿としての車中泊の旅をしながら楽しむぐらいがいいのではないかと思います。

 それでも、結構こうしたモバイルハウスというものには興味があります。坂口氏はホームセンターで売っている材料を使って10万円以下で作ることができるとのことですが、いつでも組み立てたり解体できるモバイルハウスキットなんてものがあれば、自分専用の災害用シェルターにもなるわけで、車中泊とは違った楽しみ方も出てくるのかも知れません。


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