iPad壊れた詐欺から身を守るには?

 人からお金をだまし取る犯罪は跡を絶ちませんが、個人で詐欺師と相対することはなかなか難しいものです。よくある「振り込め詐欺」の場合、自分の子供や孫のためにお金を出してしまうケースが多いですが、もし本当に子供や孫にお金を弁済する理由があったとしても、交渉の土俵に乗らないという選択肢が使えます。連帯保証人になっていないなら本人の代わりにお金を出す義務はないわけなので、子や孫を装って電話が入った場合、とりあえず「自分で何とかしなさい」と言って電話を切り、改めて本人に確認するなり警察に相談するという方法も取れます。

 しかし、紛争当時者が自分自身になった場合にどうするかということも考えておいた方がいいように思います。先日、東京・秋葉原の路上で通行中の女性に故意にぶつかり、バッグの中に入れていたiPadが壊れたと主張して現金をだまし取ろうとした男が詐欺未遂の疑いで逮捕されたというニュースがありました。ニュースになるくらいなので詐欺なのでしょうが、出会い頭にぶつかって相手の持っていたiPadを壊したという事実をつきつけられると、相手の追求を振りきって逃げるわけにもいきません。相手との交渉の土俵に上がらざるを得ない中、一体どうすればいいのかと不安に思う方も多いでしょう。

 ちなみに、今回の容疑者はガラスの割れたiPadを出してきて現金を請求したそうですが、肝心の修理代はガラスの交換のみで安いところだと1万円弱という場合もあるようです。ただ、内部の回路が壊れているようだとさらなる修理費が請求されるでしょうが、相手の言うがままの修理費を出してしまっていた事例があったとするなら、相手を見た上で手持ちの現金で収まるような金額あたりを請求されているのかも知れませんね。

 今後、もし自分がこのような立場になってしまった時のことを考えると、お金で解決するよりも、第三者の力を借りる方がいいように思います。最近は自転車に乗っていて人をはねてしまって高額の賠償金を請求される事例が出てきたことで、個人用の賠償に関する保険が出てきました。昔からもこうした保険はありましたが、今までと違うのは、保険そのものに示談交渉のサービスが付いているものがあることです。

 私が入っているのは自動車保険に特約として付いている個人の賠償に関する保険です。カバーする内容は結構広く、個人が人のものを壊したり怪我をさせた場合全般で保険会社の人が相手との示談交渉を受けもってくれます。自動車保険に付いているものの他、怪我の保険や自転車の保険、さらに一部のクレジットカードに付帯する保険の中にも示談交渉付きのものはあるようです。詳しい内容については「個人賠償責任保険 示談交渉付」というキーワードでネット検索をかけてみて下さい。すでに入っている保険にわずかな金額で付けられるようなら、そちらから加入するのがおすすめです。

 もし私が相手から修理費を要求されたとしたら、まずは保険会社の事故受付センターに電話をかけ、その電話を相手に変わってもらって連絡先を伝えてもらい、保険会社との交渉を依頼する形で対応してもらうでしょう。本当に自分が悪いなら相手への補償は保険からしてもらえますし、いったん保険から弁済金が出たとしても、保険金詐欺だと後でわかれば、そのお金は保険会社が返してもらうように動くでしょう。保険会社に電話しようとしたら急に弁償はいいと言う人も出てくるかも知れません。保険は想定外の事故に備えるものではあるものの、未然に詐欺被害を防ぐ役割もこれからは出てくるでしょう。詐欺師のベクトルが微妙に変化する中、自分自身に降りかかる災難にまきこまれないためにも、まさに転ばぬ先の杖と言えるのではないでしょうか。


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