冗談では済まないネット発信への対策 その1 ネット発信の危険性を知らないという問題

 このエントリーを書いている時点で、動画サイトに自分のやった犯罪的行為を動画サイトに投稿し、逃げるように移動していた少年が逮捕されたことがニュースになっています。ここ連日のテレビ・新聞などでは大々的に報道され、多くの人から注目されていることに動画投稿主本人が陶酔している感じもしますが、この文章を例えば半年後に読み返した場合、果たしてどれくらいの人がこの事件について記憶しているかは怪しいものです。それくらい世の中の流れは早く、一時は注目されてもその後は誰からも相手にされないようになりかねないという冷酷な現実があることをわかってほしいと思います。そうはいっても、誰でもスマートフォンでSNSや動画サイトにアクセスして投稿も自由にできるようになってこの種の事件がなくなる方向に行かないのは、今のネット社会の危うさについてきちんと教えてくれる人がいないというところにそもそもの問題があるように思います。家庭環境にもよりますが、テレビコマーシャルではランドセルとセットにして、格安スマホを小学校に上がったばかりの子供に持たせることへのニーズを喚起するものまで出てきています。こうした現実を踏まえ、早いうちからの対策を講じる必要があると思えます。

 家庭でも学校でも、何をやってはダメかという形での教育は今も昔も普通に行なわれていると思います。恐らく子供の側もある程度の善悪の判断は付いていると思うのですが、今の世の中は子供だけではなく、大人であっても自分が行なった犯罪行為の一部始終をツイッターや動画サイトにアップして自分で墓穴を掘る場合があります。なぜそうなるのかは一概には言えないと思いますが、ひとつにはスマートフォンによるネットの仕組みをわかった気になって使っているところにまずは問題があるのではないかと思います。

 というのも、昔からガラケーでインターネットを楽しんでいた人がスマートフォンに乗り換えることによって、キャリアメールおよび携帯電話会社が提供する公式サイトでの利用を中心にウェブサイトを楽しんでいたユーザーが、スマートフォン特有のネット利用についての脆弱性について考えないまま使っている可能性が考えられます。キャリアメールのやり取りは個人間同士の情報のやり取りなので、例えば今問題になっているような行為の動画および写真を同報メールで友人に送り共有したとしても、外部へのそのままの形での流出はあり有ず、かなりひどいことをやったとしても、それ自体の容疑で警察に捕まれば別ですが、多くの場合はだれがやったかわからずにやり過ごすこともできていたでしょう。携帯電話のウェブサイトにおいても、掲示板に何のパスワードも付けずに犯罪行為の写真をアップしたような場合にはこの写真がマスコミに流れて問題になったこともありましたが、多くの場合は掲示板の閲覧にパスワードが設定され、だれもがアクセスできない仲間内だけの掲示板という形で管理されていた場合が結構あったと思います。この場合は携帯電話自体の設定は必要なく、ウェブサイト上でのパスワードを共有しておけばいいわけです。さらに当時はまだネット自体の利用料金も割高で、誰もがネットを使っていたわけではなかったので注目される度合いも少なかったということもあるのかも知れません。しかし時代が変わり、画面が狭くてスピードの遅いガラケーの画面ではなく、今では5インチくらいの大きさで、ネットも閉じられた世界ではないパソコンでのネットと同様なレベルで使えるようになり、さらに以前から比べるとはるかに多い人の目によってネット自体が監視されているようなことになっていることの影響も大きいでしょう。

 ツイッターやフェイスブック、Lineというのは、ネット上のコミュニティとはそこそこ距離を置いている私でも使っているほど(^^;)、多くのスマートフォンユーザーに使われていますが、そこで仲間内だけに発信するつもりでも、きちんと最初に設定を行なわないとその情報は世界中に広がってしまうかも知れません。さらにアカウントの設定を公開にしていると簡単に個人が特定され、もし自分で発信したことが炎上するほどの注目を集めてしまったら、学生だったら学校に、社会人だったら勤め先に連絡が行き、最悪の場合退学や解雇ということにもなりかねません。

 では、学校や家庭では何を教えればいいかということですが、広く誰でも読んだり見たりできる場に、自分のプロフィールおよび、見たことや考えたことをそのまま公開するというのはどういう危険性があるのかということをしっかりと叩き込んた上で、改めて自分のSNSのアカウントを誰でも見られるように公開するのか、友人程度まで共有にとどめるのかを考えさせ、実際にその設定方法までを自分でできるようにするところまで教えるのがまずは大事だと思います。


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