EUがスマートフォンに対する新たな規制内容として、「バッテリーを簡単に交換できるようにすること」という条件を出したことにより、今後のスマホはどうなっていくのかという事が話題になっています。先日ネット上のコラムの中で、バッテリー交換が可能なスマホに変わるのは必ずしも良いことばかりではないというような内容を読み、それについてはしごくまっとうな話だと思いました。
どういうことかと言うと、現在私たちが使っているスマホは、内蔵バッテリーのものを使っているので、ほぼ100%純正のバッテリーが使われていて、スマホの高性能な電源管理を行なうための対応がされています。内蔵電池にすることで、より薄いスマホとして発売できていたものが、外付バッテリー必須ということになると、設計を再度見直す中で、今までのものより大きく重くなってしまう可能性が出てくるということなのです。また、自由に電池パックを取り換えられるということになると、別の問題も発生します。
以前ガラケー用で電池パックが別売で購入できていたころ、純正でない互換バッテリーが安く売っていました。ガラケーの場合、そこまでシビアに電池の管理を行なっていたわけでもなさそうでしたが、それでも互換電池の品質は一定ではなく、外れを引いてしまった場合には充電中に電池パックが膨らんで爆発するような最悪の結果も考えられます。
その当時と比べると遥かにスマホ内部は高性能になっているので、安いからと言って粗悪な互換電池を使用することで、爆発はしなくても、データが飛んでしまうとか、メーカー保証のない電池パックを使ったことによる故障について、メーカーの保証が受けられなくなるのではないか? というような、ユーザーにとっても不具合が出てくるのではないかというような指摘がありました。
これはもちろんその通りで、今後大手ネット通販上でわけのわからないiPhoneの交換用バッテリーパック(今後交換可能な電池パックを使う形のスマホが出てきたらという前提での話になります)を使って何かあっても自己責任になる可能性があります。個人的に思うことは、互換の安い電池パックを使う場合には今後メーカー保証が受けられなくなることを理解した人が使うようにした方が良いと思います。
ただ、インクジェットプリンタに安いインクカートリッジが利用され、工作機械の世界における標準仕様とも言って良い、マキタの工具や掃除機用のバッテリーにも互換バッテリーが存在していることを考えると、こうした流れを止めることはできず、使っている人は自己責任ということを十分理解した上で、互換バッテリーの中でも比較的安心して使えるもの(多少純正より性能は落ちても普通に使える互換バッテリーでないと、商売として成り立たないので互換でも使い方によっては全て駄目ということもないと私は思います)がそれでも出てくるだろうと思います。そうしたバッテリーを中古のスマホ(基本的にメーカー保証を求めない)で使うというのなら有りのような気もするのです。
とにかく、今のスマホというのは頻繁に回線を大手キャリアをまたいで変更しないと安く買えなくなっています。それなりに高性能で、動画編集もできるノートパソコンより高いスマホなどいくらもあります。しかしスマホの寿命というのは物によってはパソコンより短く、しばらく事故なく使っていても買い換えを余儀なくされます。今後も同じように一定期間で高額なスマホを買い換えて行けるのかということを考えると、安くスマホを使うための手段として、互換バッテリーの別買いというのも選択肢の中にあっても良いのではないでしょうか。
今後、もし今売られているスマホのバッテリーが内蔵ではなく交換式に変わっていくのならば、発売から日が経っているもののまだ十分使えるようなスマホがあった場合、安く本体が買えれば、互換バッテリーとセットにして使うこともあるかも知れません。
スマホの電源管理の中には、電池の寿命を伸ばすためにあえて満充電させず最大85%になったところで充電をストップする機能が付いているものもありますが、これだとずっとACアダプターにスマホをつなぎっ放しにしていても、電池が膨らんでしまう恐れは少なくなると思います。純正バッテリーでもずっとアダプターにつないでいたら電池が膨らんできてしまって使えなくなった事も経験していますので、交換可能なバッテリーが普通になることで、多くのスマホにそうした機能が当り前に付き、安全に使えるような流れになってくれれば嬉しいのですが。