月別アーカイブ: 2019年6月

問題は「通信料金」よりも「スマホ代」になりそうな予感

総務省が携帯大手3社を対象にさらなる追い込みを掛けています。今後は「2年縛り」を条件に安い料金で通信料金を設定するだけでなく、新品のスマホを割引価格で利用させることで帳尻を合わせ、さらに2年縛りの途中で解約を行なうと違約金として3社共通で9,500円がかかるようになっていることに着目したようです。

総務省が6月11日に開く総務省の有識者会議で協議し、この違約金を1,000円にするということと、携帯端末の割引額も2万円前後を目安に上限を設けること、さらに通信料金の2年縛りを条件にした割引については、長期契約を条件とした割引料金は全面禁止するという内容で、秋までに省令を改正するように動いているということが前週にニュースになったのです。

元々大手3大キャリアの横並びによる料金というものは批判する人も少なくありませんでしたが、今回の話は個人的に見てもかなり強引なのでは? とも思います。というのも、秋から規制をするというのも、2019年10月(つまり季節は「秋」という事です)に行なわれる予定の消費税引き上げのタイミングを狙って政府への批判をかわし、その費用を携帯大手3社に肩代わりしてもらおうという姑息な手段なのではないかと考えることもできてしまうからです。

この事でユーザーの毎月のスマホ関連の料金が下がればいいですが、通信料金は下がったとしても割引が効かなくなったスマホ代金が逆に上がるのではないかという懸念があります。なぜならこの規制が本当に行なわれるとしたら、ユーザーはスマホを安い価格で購入することができなくなる可能性が高くなります。最近はパソコンの方が安い価格で売っていますが、スマホでも高性能のものは売価にしては10万円を超えるものが普通になっていますので、通信料が安くなったとしても割引上限が2万円までということなら、10万円のスマホの場合、単純計算で8万円はユーザーの負担になってしまいます。端末購入時にローン(つまり割賦販売ということ)を組まされ、さらにそのローンの回数を多くしないと月々の料金を安くできませんので、解約金を安くしたとしても、割賦販売期間が終了するまでは加入した契約からなかなか抜け出せないのは2年縛りと同じで、最近ではそれ以上の3年契約なんてケースもありますので、今以上に一つの通信会社に縛られるのではないかと思います。また、購入するスマホの機種によってはトータルで毎月の「スマホ関連料金(単純に「通信料」でないことに注意)」については、逆に上がるケースも出てくるのではないでしょうか。

今回の恩恵を最も受ける人は、中古端末を購入したり、一括で端末料金を支払うなどして大手キャリアとスマホを購入割賦販売の契約をしていない人でしょう。こうした人は毎月のスマホ代の支払い分が0円なので、いつでも好きな通信会社と契約することが可能です。しかし、その際使っているスマホが新しい通信会社で提供しているSIMカードが使えないということになると、改めてのスマホの購入が必要になってしまいます。その時にどうするかという事が今後考えなければならない課題となるでしょう。

結局、いくら通信料金が安くなったとしても、今後も5Gの採用などで新たなスマホが必要になった場合、高額になりがちな新品のスマホを購入せざるを得ない状況が出てきてしまう事を見越して大手キャリアは新たな経営戦略を練ってくるのではないかと予想します。今まではそれでも、そこそこの性能を持っていて2万前後の価格で人気だったHuaweiのスマホに変えるという手があったのですが、もはやこれだけ米中の関係がこじれた状態では無理筋でしょう。何とかメーカーには努力してもらって、国産スマホで定価が2万前後のものが出てくれればいいですが、いわゆる「スタンダードタイプ」のスマホで納得できないケースもあるのが厄介です。

例えば、お子さんが多いご家庭で、お子さんに常に最新のiPhoneをせがまれて泣かれた場合(^^;)、以上のような「大人の事情」をお子さんに理解させることは難しいでしょう。となると「泣く子と地頭には勝てぬ」の通り無理をしてお子さんに高額なスマホを用意し、今まで以上の家計に響く出費を覚悟しなければならないご家庭も増えてくるかも知れません。もちろんここまでの話は私の勝手な考えの元での妄想に過ぎないかも知れず、今回の総務省の指示で本当に端末料金を含めた通信料金が安くなればいいのですが、個人的にはスマホ以外にもお金を掛けたい事もありますので、これからは何とかして自分の使い方に合ったスマホを安く手に入れる手段を考えてみたいと思います。


朝からファミレスで飲んだ結果(^^)

週末は朝からバスに乗って駅まで行き、そこでおちあった友人とちょっとしたお話をしてきました。会合場所は土曜朝のガストで、ここならコーヒーショップよりも安くモーニングをいただけると思って入ったのですが、まさかここでブログネタになるような事に遭遇できるとは思えませんでした。

ガストは土曜日曜もモーニングサービスを行なっていて、「本日のスープ」と「ドリンクバー」がセットになったモーニングが各種揃っています。私達はせこいと言われるかも知れませんが、モーニングメニューの中で一番安い「J トースト&ゆで卵セット」(税抜299円)を注文しました。ちなみに、モーニングの時間のセットドリンクバーの価格は219円(税抜)ですが、ドリンクバーを単体で注文するとその価格は何と299円(税抜)になるので、もし席に付いた時点で何も食べられないのでなければ、「J トースト&ゆで卵セット」を頼んだ方が大変お得になります(^^;)。

あえてお店では料理の写真を撮ることはなかったので、どんな感じのモーニングなのかを知りたい方は公式ホームページのメニューで確認していただきたいのですが、トーストは焼いてあってモチモチで、バターとジャムを付けて大変おいしくいただけました。ゆで卵は普通の卵だと思いますが、コーヒーショップでコーヒーを一杯頼むくらいの価格でいただけるモーニングメニューとしては十分なのですが、そんな事を思いながら食事をしていてあることに気付いてしまったのです。

現代のファミリーレストランは単なる食事をする場所ということだけでなく、安く手軽にお酒が飲める場所としても知られつつあります。私が安く通常メニューで飲めるお店として認識していたのは、一杯100円という信じられない価格でワインを出してくれるイタリアンファミレスの「サイゼリア」だったのですが、何とガストでもグラスワインとデカンタワイン(500ml)を午前10時半から提供していまして、その価格がサイゼリアを意識したのかグラスが一杯99円(税抜)、デカンタワインでも399円(税抜)だったのです。

モーニングを食べながらその事が気になっていたのですが、ふと時計を見るとすでにモーニングの時間が終了していたので、お店の方に追加でワインを注文することはできるのかと聞いたところ問題ないということで、グラスワインの赤と白を一杯ずつ注文して味を確かめてみることにしました。

グラスワインはしっかりと冷えていて、赤だと少し時間を置きながら飲みたいと思うものの、白は冷えているうちに飲めばけっこう飲めてしまう感じで、外で飲むワインとしては破格という感じでした。同じくモーニング終了後のグランドメニューでは199円・299円のおつまみも充実していますので、ワイン限定なら二人でデカンタワインを注文しておつまみを少し頼む程度だったら、予算一人500円でもそれなりに飲めてしまうというすごいことになっています。

ちなみに今回はあくまでお試し(^^;)ということでグラスワイン一杯でお店を出ましたが、その前に食べたモーニングとスープ、ソフトドリンク(ドリンクバー)を組み合わせていても二人でお会計は860円と、まさにコーヒーショップでのモーニング価格でワインのおまけが付いたということになります(レシートには「運転」と「年令」の確認がされていますが、今回入店したお店は駅前で駐車場のない店舗なので、ごく簡単な受け応えだけで注文が完了し、そこまでしつこくは聞かれませんでした)。

たまたま今回はバスで出掛けたのでこんなことができましたが、列車での旅をする中で駅周辺にガストを発見したら、食事に追加してワインを気楽に楽しめるというのはなかなか面白いですし、そもそも朝から本格的に飲もうと思っても居酒屋さんは朝からはやっていないので、こうした全国チェーンのファミリーレストランがその代わりになっているという風に考えてもいいでしょう。

しかし、気を付けていただきたいのは、私達が入ったお店でも時間の経過とともに家族連れのお客さんがどんどん入ってくる中で、本格的に飲みに入るというのは周りのお客さんから顰蹙を買うかも知れませんし(^^;)、食事のお供にほろ酔い程度に飲む楽しいお酒ぐらいに留めておく方がいいかも知れません。


5GのスマホとSIMカードはどうなるか

アメリカと中国の冷戦並みのつばぜり合いによって、日本での5Gの動向はどうなっていくのかというところが興味のある新しい携帯通信端末での次世代通信ですが、個人的には2020年の東京オリンピック後あたりになれば端末も色々なものが出てきそうな気がします。昨日ネットニュースを見ていたら、富士通の人が5G対応のスマホをどんな形で出すのかについてのインタビューに答えている記事を見て、そろそろ次のスマホをどうするかということも考えないとなと思いました。

ただ、今現在の様々な産業を見ると、先日紹介したデジカメなどもそうですが、もはや行き付くところまで行ってしまっていて、最新の製品と旧製品の劇的な差が少なくなってきているような感じがしています。私自身の生活について考えても、パソコンはとりあえずWindows10が快適に動くなら古いパソコンでも十分実用になると思っていますし、過去にはその性能の進化とともに色々なものを買った腕時計なども、もはやスマホを持てば必要ないという人もいますが(^^;)、時間が正確で見やすいものということならもはや定番の品がその用途によってきちんと存在し、あえて最先端の機能が付いたものを買おうとは思わなくなっています。

そんな中、常に最先端の機能を追いたいハードとして、スマホ・タブレットがあります。現在はそれほどでもないものの、今後の5Gの登場によって、対応するスマホでないと5Gの恩恵も受けられないことになるため、最新の製品を今後も追っていかないといけないかなと思っています。

個人的に期待したいのは、いわゆる格安通信で毎月の料金が安くてもそこそこ使えるようになって欲しいと思うのですが、実際のところ5Gではどこまで回線の品質とスピードが上がるのかが気がかりです。そこで改めてこれまでの携帯電話の通信の歴史というものをひもといてみたいと思います。

まず最初「携帯電話」というものが発売されたのはまだ契約者が少なかったため、アナログ式の「1G(第一世代)」の通信でした。基本的には通話と本体でのメールくらいにしか使えなかったような感じだと記憶しています。その後、携帯電話がデジタル化し、ドコモではmovaという愛称で発売されました。これが「2G(第二世代)」で、当時はスマホはありませんでしたので、別売のデータ通信カードを使うと当時はまだスマホはなかったので電子手帳(^^;)やパソコンに接続して通信ができたのですが、データ通信料金は青天井で増え、スピードは9.6kbps(9600bps)という今の低速制限の数値と比べても格段に遅いということと、比較的モバイル通信で高速なPHSのウィルコム(当時はDDIポケット)のαDATAというサービスで32kbpsというスピードが出ていたのでそちらでモバイル通信を使っていました。ウィルコムではモバイル通信では初めてデータ通い放題のプランを出しましたが、その場合の月額は3,380円で、別にプロバイダ料金がかかっていました。それでも当時としては携帯電話会社のデータ通信料金は時間かパケット通信量による青天井式にかかっていたので、この価格でも相当安いという感じがありました。

今のようなスマホを使って何でもできるようになったのは、動画もモバイル利用で見られるようになった「3G(第三世代)」のドコモで言うところのFOMAが出てきたからです。3Gになってようやく、MVNOと呼ばれる主にドコモから回線を借りてSIMカードのみを売る業者も出てきました。個人的には本気でPHSのデータ通信から移行しようと思ったのは、2011年6月からサービスが開始された月額980円で最大100kbpsという日本通信とAEONが共同で出した(当時はまだAEON mobileはありませんでした)b-mobile SIMで、とにかく毎月1,000円という低価格で、プロバイダ料金も必要なくスピードは固定されていても100kbpsというスピードが出るというのは本当に画期的でした。スマホでできる事が増え、当時も決して最大100kbpsというスピードでは全ての事はできなかったものの、メールやスマホ専用サイトの利用なら何とか可能でした。

その後、通信は現在使われている「4G(第四世代)」になりましたが、MVNO各社の中でも高速クーポン消費後の低速制限のスピードは大手三キャリアよりも速いという逆転現象が起きていて、一番速いと言われる「OCNモバイルONE」では実測では200kbps以上が出るということで、最低画質でならYou TubeやAbemaTVなどの視聴も十分に可能な状況がすでに生まれています。「OCNモバイルONE」のデータ専用SIMの最安料金は、一日110MBまでの高速通信ができるプランでは税抜価格で月額900円と、3Gから4Gへの移行によりこれだけ「安くても色んなことがスマホでできる」という環境に近づいてきたという感じになっています。

もちろん、5Gになったら光回線並みの高速で常に通信ができる環境が来ればいいと思いますが、現在は無制限で高速通信ができると期待した光回線ですらヘビーユーザーには通信量を制限する方向になってしまっているので、5Gになったからと言って今後も高速クーポンを使い果たした後にどうするかという事を考えるようになることは変わらないのではないかと思います。

ただ、ここまで長々と説明してきたように、新世代通信のレベルが上がることによって通信回線の底上げがされ、いわゆる低速通信の最大速度が上がり、料金自体もそこまで上がらずにむしろ下がる傾向にあるように思えます。しかし問題は、こうした状況をふまえても、現在低速制限時に128kbpsという個人的に言わせてもらえば2011年当時の月額980円SIMとそんなに変わらないサービスしか提供していない大手三キャリアがこの低速回線のスピードをもう少し速くしてくれるかどうかということになります。

もっとも、MVNOの方で先に最低速度の底上げが行なわれてしまったとしたら、下手をしたら月額500円レベルでも何とか動画や音楽を楽しめてしまう格安プランが生まれる可能性もあります。現状でもUQモバイルの一部のプランでは低速制限で最大300kbpsですからこの程度でも十分と言えば十分です。希望的には月額1,000円で最大500kbpsとか、月額2,000円なら最大1Mbpsとか、そんなプランが出てきたら、個人的には最高速がどうかということについては全く気にせずにスマホのモバイル利用の定番にすると思いますが、さてどうなるでしょうか。


AIによる字幕放送は実用になるのか?

一昨日、夜からインターネット放送のAbemaTVで、お笑い芸人の南海キャンディーズ、山里亮太さんと女優の蒼井優さんがツーショットで結婚会見を行なったものをノーカットで全て放送したものを見ました。なぜか会見は生中継されなかったものの、事前にAbemaTVが生中継をするつもりで用意していたと思われる会見での発言を全てAIが即時的に文字に起こす試みというものをやっていたので(サービス自体は2018年12月10日からニュース番組のリアルタイム字幕「AIポン」として開始)、今回は結婚会見とは全く関係なく(^^;)、そのAIによる字幕システムについて感想を書いてみたいと思います。

今回の会見について、会見が終了して主役のお二人が会見場から姿を消すまでは映像の中継はおろか、その内容を漏らすことすらも禁止するというお達しが告げられたのだそうで、AbemaTVでは「会見の生中継」を行なうことを基本路線にしていて、さらにもし映像が使えないのだったらその会見を見ているスタッフがその内容をアナウンサーに伝えて即時的な中継を行なうはずだったのがどちらもできなくなり、本当に残念なことだと思わざるを得ません。AIによる字幕というのは、生中継が行なわれる可能性が残っているうちは、少ないコストで多面的な放送を目指したものだということで、通常のNewsチャンネルで使われていることから、その後中継録画をノーカットで流した時にもそのまま放送されたのだろうと思います。

基本的には会見場から流れてくる音声を「音声認識ソフト」を使って文字起こしをし、間違って認識した部分について人間が直すというのが字幕の正確さを求めるためには一般的なのですが、どんな言葉がどのタイミングで出てくるかわからない会見の文字起こしというのは、人間を入れるにしてもその人に相当のスキルがないと難しいのではないかと思います。少なくともお二人の今までの芸能活動の事を知らないと正しく文字起こしできないような部分もありますし、わからないところで悩んでいたら、話はどんどん先に進んでいってしまいます。

そこでAbemaTVが採用したのが、他のニュースでも使っていて一部ではそのダメっぷりが話題になっているAIによって漢字変換を行なう字幕システムだったのですが、はっきり言ってしまうと人間でも難しい会見の文字起こしをプログラムに行なわせることは自動運転以上に難しいということが見ていてわかりました。なぜ難しいかというと、用意された原稿を読むというよりは質疑応答が主で、主役のお二人が話している時に取材陣から急にその言葉を遮るように合いの手が入ったりするので、人間なら合いの手を無視したり、しばらく間が空いたような場合はじっくり待って入力を行なうと思うのですが、AbemaTVの用意した字幕用AIは、のべつまくなしに入ってくる言葉を全て出力し漢字・カナへの変換を試みようとしていたようで、音声を消して字幕だけを見ていたとしたら何を言っているのか全くわからないような変な言葉が出まくるという、別の意味で面白会見になってしまったのではないかと思われます。

ただ、会見が終わった後の別番組で見たアナウンサーがニュース原稿を読む時にこのリアルタイム字幕画面が出ていたのを目で追ってみたところ、細かい違いはあるものの、それなりに読める字幕になっていたように思います。決まったニュース原稿の文章について使えば、長く使っていけばいくほどAIは専門用語を学習し、精度も上がりAbemaTVの魅力の一つに化ける可能性はあると思いますね。

ただし、何が起きるかわからないフリートークの場面では、さすがいくにこのレベルでは、インターネット放送のAbemaTVでは良くても、地上波・BSというテレビ放送で使うのはみっともないので止めた方がいいのではないかと思います。地上波のテレビでは会見の内容について要約したものをまとめたり、正確にお二人の発言を文字起こししたものを伝えていましたが、そのためにはやはりきちんと発言内容を確認する必要があります。そうした作業を全てプログラムが一瞬で行なえるようになれば、これはもうキーボードでの入力は必要なくなる時代が来ると思いますが、当分は人間がキーボードで入力をする方が早いでしょうし(現在の文字放送は特殊なキーボードを熟練のタイピストが入力して行なっています)、そこまでの費用を掛けられない場合には、要約筆記の形にするか、音声入力した結果をすばやく手動で直すことでさらに早く正確な文字出力を目指すのがいいところでしょう。どちらにしても耳から入ってきたものを頭の中で整理して、必要なところだけを出力する人間の知識と経験はAIにはなかなか置き換わらないことだけは確かなようです。


無人運転車でも乗務員を置く必要性はあるか?

「逆走」というのは自動車だけの話だと思っていたら、何と案内軌条式による新交通システム (AGT) である「横浜シーサイドライン」という自動運転の公共交通機関の端にある「新杉田駅」で逆走事故が起こってしまいました。

この路線は全路線において運転手が乗車しない「自動運転」の車両でした。道路上を走る自動車でなく、軌道上を走る車両なら、普通に考えると事故など起こるはずもなく、事故がないということが日本が世界に誇る事として今まで声高に語られてきたことです。しかし、不幸にも事故は起こってしまったのです。

事故の顛末は、新杉田駅から金沢八景駅方面に発車しようとした車両が、進行方向とは逆である車止めのある方に急に動き出し、その際のスピードは時速20km/hを超えていたという話が出てきています。このスピードはそれほど出ていないと思われるかも知れませんが、報道では事故時乗っていた乗客50人以上はいたということですが、その中の14人がけがをし、そのうち6人が骨折などの重傷という、命にかかわる乗客はなかったもののかなりのダメージを受けた人がいることがわかります。

同じ速度でぶつかったとしても自動車が普通に走っている中で衝突するような場合は、乗っている人は車外の状況がわかればぶつかる前に身がまえるだけの時間の余裕があればそこまで大きな怪我にはならないと思います。ただ今回の場合は、いきなり逆方向に車両が動き出し、何が何だかわからないうちにあっという間に衝突ということですから身がまえる時間がなく、大きな力がかかったためにこんな事故になったということも言えるでしょう。今回は自動車ではなく新交通システムということで違いはありますが、まさか自動制御された運転が間違うとは乗客は思っていなかったはずで、こうした事は自動車の自動運転車で起こった場合も、自分で運転していれば大きな怪我にはならなかったケースでも、自動運転だからと安心しきったために大きな怪我をする可能性があるということを考えざるを得なくなりました。ですから、今後完全な自動運転のシステムが乗った車が市販された場合、ぶつかった時の衝撃を和らげる仕組みが今以上に必要になるような気がします。

ただ、今後の事を考えると心配なのは、今回の事故の原因がこの文章を書いている事故から2日後も良くわかっておらず、しばらくは代行バスによる輸送を続けたもののバスに乗れない人が続出したことで、まさかの有人運転による再開を決めたのだそうで、この辺も時代に逆行しているのか、日本の社会自体に不安要素が出てきたのかが気になります。こうしたニュースとは関係なく、他の公共交通機関や自動車の自動運転の研究は進んでいて、事故のために研究が中止されることもないとは思いますが、まずは今回の事故原因の究明を行なっていただき、同じように暴走する恐れがないかきちんと検証していただきたいものです。

その原因について語られる中で、ちょっと気になったのは一部の報道の中で、担当者の言葉として「電車を止める方法はあるが、逆走するという概念がそもそもなく、この事象は初めてなので止めるのは難しかった」と話していたということです。人間ならありえない逆走でも緊急ブレーキを踏んで車止めにぶつかる寸前に止めることもできたのかも知れませんが、そもそも逆走という概念がシーサイドラインの自動運転のシステムでは考えられていなかったということなら、運転手は無理でも誰か乗務員を置いて非常時の対応を考えることも必要だったのではないかとも考えられます。さらに、乗務員が乗っていない車内で関東大震災級の大きな地震が起こった場合、緊急停止した後で誰がドアを開けて避難誘導は誰がするのかという根本的なところも気になります。

緊急時には列車の運行を監視している別のところから遠隔操作およびスピーカーからの指示を出し、駅に待機している職員が駆けつけるようなことが決まっていたとしても、肝心の電気が切れてしまっていたらそれまでです。新交通システムを含めた鉄道に乗る時、船や飛行機のようにあらかじめ非常口の確認やもしもの時についてのレクチャーはないまま乗客は車内に乗り込むわけですから、公共交通機関であくまで無人運転をする場合、他の乗務員を置くか置かないかということもきちんと検証していただきたいと思います。


歩行者でも「重過失致死容疑」になるかもしれない「信号無視」

これは私の住む静岡県での話ですが、全国的にも同じような危険があるということで紹介させていただこうと思って書きます。2019年の1月16日、午後11時45分ごろ、静岡市の繁華街にある国道手前の交差点において歩行者とバイクが衝突する事故があったのですが、その状況はどうやら歩行者の方に信号無視の疑いがあったようなのです(事後のニュースで複数の目撃者がいたとの報告があります)。

この事故で歩行者の方も首の骨を折る重傷を負ったとのことですが、相手のバイクに乗っていた人が死亡してしまっているということで、警察はこの歩行者を「重過失致死容疑」で書類送検し、これがニュースになったということです(バイクの運転者も「自動車運転処罰法違反(過失傷害)」の疑いで容疑者死亡のまま書類送検される見込みだということです)。

夜の12時前ということで、場所も静岡市内の繁華街に近い場所であるということなので、法律に触れることではあるものの、このような行動は少なからぬ人が経験したり、同じような事をやっている人を見たりしているのではないかと思います。今回の事故で歩行者の人がお酒を飲んでいたのかということはわかりませんが、お酒を飲んでいなくても全く車が通らない道なら信号無視をしてしまいがちだという方は、今回のニュースをもっと深刻に考える必要があるかも知れません。

今回の事故ではバイクの側から見ると、青信号で普通に走っていたら急に歩行者が出てきて、もし歩行者の信号無視がなければ何もなかったのではないかという事にもなるわけで、歩行者の行動がかなり厳しく見られるのも仕方ないのではないかという気もします。ニュースでの事故状況の説明では、歩行者側が赤信号を無視して交差点を渡ってきたので、青信号で普通に走って来たバイクは、急に前方に人が現われたことに驚き、バランスを失って転倒し命まで失くしてしまったということになるので、夜中の信号無視だからと軽く考えることもできないでしょう。

最近は自転車にも保険を付けて自転車運転時の過失について厳しい処分も考えられる時代になってきましたが、自転車を降りて道路を歩くだけで交通事故の責任を問われる時代になってきたということは、頭の片隅にでも入れておかないと、被害者だと思ったらそうでなくなる事例というのもこれからは出てくるのではないかと思います。

というのも、現在は多くの車にドライブレコーダーが搭載され、自動車保険を売る損害保険会社でも加入者にドライブレコーダーを貸して事故の際のデータをしっかりと取ることで今まであまり確認もせずに払っていた保険金を少しでも減らそうと努力しています。レコーダーには信号の色やお互いのスピードも記録されていますから、もし歩行者が横断することを禁止されている広い道路を急に横切ってきて車にぶつかったり、今回のように明らかな信号無視で交差点に入ってきたような場合は、重過失で書類送検されるだけでなく、具体的な事故の過失割合についても自動車側からの補償金が引かれての支払いになる可能性も、もはや現実的なものになってきました。明らかに歩行者側から当たりに来たような感じになっていたら、大きな怪我をしても十分な補償が受けられなくなる可能性すらあるのではないかと思います。

ここのところ日の出が早くなり、こちらでも午前5時くらいには十分明るくなってきています。早朝から出掛けると言うよりも終電を逃して朝まで飲んでなんて時の方がこれからは危険ではないかと思います。くれぐれも自分から事故を引き込むような無茶な歩き方をしたり、お酒で判断力が鈍っている中でスピードを出して走ってくる車に気付かずに交差点に飛び出したり信号無視をするような事はぜひ自分の理性で抑え、自分自身を守る術についてきちんと考えておくことも大切なのではないでしょうか。


メーリングリストは終わったコンテンツなのか

現在ではGMOがサービスを提供しているメーリングリストの「freeml」が新たな登録を7月で終了し、サービス自体も12月2日の12時で終了するという急な発表がありました。無料サービスの行く末のはかなさを感じるとともに、世の中がスマホ中心に回っていることも改めてではありますが感じざるを得ません。

私自身は現在、そこまでこのメーリングリストを使っていたわけではないのですが、世の中ではこのサービスがあればこそ、のびのびとネット上で交流を持ったり意見の交換をしている人もまだまだ多いと思います。このサービスを使ったことがなかったり知らない人にとってはどうせ終ったコンテンツなのにと思う方もいるでしょうが、大手のサービスが無くなることで不自由な状況が生まれてもおかしくないと思われます。

改めてメーリングリストとはどんなサービスなのかというと、メールアドレスを登録した人たちの間で、特定のアドレスにメールを送るとそのメールがサービスに登録した人全員に一斉配信されるというものです。参加者同士でのコミュニケーションがメールアドレスだけでできるので、パソコン・スマホ・ガラケーというような機種を問わずに利用できるということと、もう一つの大きなポイントがあります。

というのも、メーリングリストに登録されたメールというのは単に参加者のアドレスに配信されるだけなので、こうしたブログのように投稿した瞬間に世界のどこからでも見られて拡散するような事はありません。サービスに登録している人が口の固い人であればどんな暴言を含んだ投稿もそのメンバーの中でのここだけの事で済みますので(^^;)、闊達な議論をネットで行ないたいという場合には、ネット掲示板より安心して行なうことができるという特性があります。

SNSによるトラブルが続発する現在のネット事情ですが、私自身はこのようなネットに直接に開かれないで自分の意見を書き込める、メーリングリストをうまく活用させてもらい、ネットを使っている先達の方々に未熟な意見の書き込みをたしなめられるなどしながら自分自身のネットとの付き合い方を教わってきたという風に感じているので、今回のfreemlの終了は大変に残念ですね。

ただ、まだこうしたメーリングリストのサービスを続けている所はあるので、もし今後ネットを通じて仲良くなり、オフレコも含んだ話をじっくりしたい場合は代替サービスの利用を検討すべきでしょう。特に直接LINEのIDのような個人情報を教えてもらったりこちらから教えることに抵抗がある場合、無料で作れるメールアドレスを登録するだけでよかったメーリングリストのメリットは今でも十分にあると思いますので、そんなサービスの中から「らくらく連絡網」を紹介しておきます。仲間うちでの連絡だけならLINEやFacebookでも代替にはなりますが、設定などしなくてもクローズドな環境を作ることができる、メーリングリストという選択も考えてもいいのではないかと思います。

・らくらく連絡帳
https://ra9.jp/


免許返納運動とネットショッピング

ここのところの高齢者が運転する車による事故の報道は、実際に今まで問題なく車を運転していた高齢者達に運転の不安を生じさせ、実際に免許を返納している方もいるようです。自分の車をボコボコにするだけで済むくらいの事故なら笑い話で済みますが、もし重大な人身事故を自分が加齢による判断ミスで起こしてしまったらと考えた場合、やはり自分は運転しない方がいいのかと考える方もあるでしょう。

しかし、住んでいるところが公共交通機関が発達している地域ならバスや電車、場合によってはタクシーの利用も視野に入りますが、路線バスも廃止になる検討がされていたり、もはや路線バスはなく、細々とコミュニティバスのみが走るだけだったり、さらには本当に誰かに車で迎えに来てもらえなければ買い物にも行けないという場所に住んでいる場合は、同じように運転をする事に対する不安はあるものの、車をやめてしまったら生活が成り立たないと思っている方も少なからずいることも確かです。

先日このブログでは、そうした買物弱者を救う軽トラの移動販売について書いてみましたが、実際に自分の住んでいる地域に来てくれなければそれまでです。車を持っていても、近くにガソリンスタンドが無かったり、毎日営業していないような所もあるといいますので、車を使わなくても自宅に居ながらにして買い物ができる「ネットショッピング」を利用することで車で出られないハンディを克服できる可能性があります。

くしくも先日、ネット通販大手の「Amazon」と、スーパーマーケットチェーン大手の「ライフ」が提携することが発表されました。まあ、この提携で行なわれる当日配送のシステムは東京の一部地域のみのサービスということで路線バスが通らないような地域で生鮮食料品も選べるネットスーパーのようなサービスはまだまだ実現しないのかも知れませんが、Amazonはプライム会員の制度があるので、送料を気にしないで日々の買い物をネットショッピング化することも将来には可能になるかも知れません。地域によってはAmazonでなくても、今後もし生鮮食料品も含むネット通販サービス網が整備されるなら、無理をして車を所有せず、今後出てくるであろう無人運転の自動運転タクシーで病院通いなどはカバーし、買い物は自宅まで届けてくれるネットショッピングを利用するというパターンも一つのモデルケースとして考えられるのではないでしょうか。

ただ、そうした環境が整った上で問題になりそうな事があります。元々パソコンもスマホも使い慣れない人が急にネットショッピングで物を買う事自体が大変ですし、多少購入に慣れたとしてもネットショッピングに失敗して思ったものと違ったものが届いたり、明らかに騙されたと言うような体験をしてしまったら、かなりショックが大きくネットで買い物をする事自体いやになってしまうような事も起こってくるかも知れません。かく言う私自身もネットショッピングを利用し、ポチッと注文ボタンをクリックした後に後悔したり、思っていたものと違うものが届いたり、様々な体験をした上で何とか今は普通に使えるようになっていますが、いきなりネットショッピングを使いこなすのは大変だろうと思います。

さらに、ネットショッピングの支払いについても、電子マネーやクレジットカードでの支払いについて躊躇する人が少なくないのも事実です。そうなると、ネットショッピングをアシストしてくれるような人がいないと、さすがにネットショッピングを実店鋪のように使うのは難しいのかも知れません。しかしそれでも、車を出してお買い物をアシストするよりも敷居は低いのではないでしょうか。

例えば、大きめの画面のタブレットを持ったお役所の福祉担当のアシストの方がそれぞれのお宅を回り、「いくらで」「何を買う」というような形での「御用聞き」のように生鮮食料品を含む日常生活に必要な商品の注文を取り、注文代行を行なうようなシステムがあれば、実際に商品を購入する人はネットショッピングの難しさを感じることはありませんし、ネットならではのトラブルも起こりにくくなります。ただし、注文する際に十分に注文主の方に商品の内容について説明したり、不安があれば問い合わせの代行まで行なえるだけのネットショッピングのスキルのある方が集落を回ることができればという条件が付きますが。

商品の受け取りに不安がある場合には、アシスト担当の方を受け取り場所にして後日配送という手段も取れますが、生鮮食料品については自宅まで配送業者が運んでくれるならそれに越したことはありませんし、次第にネットでの注文に慣れてくれば、徐々にスキルも上がり決まった商品なら自分だけで注文することもできるようになってくればしめたものです。このような流れを受け入れられるかどうかで、日本の地方の未来もかなり変わってくるような気がするのですが。


スマホやパソコンは中古でもいいと思った新たな理由

先日デジカメを新品に交換しましたが、それが新品の電子機器を購入したものとしては久しぶりで(^^;)、今メインで使っているスマホもパソコンも中古で購入したものですが、新品を買わなくても私の使い方なら十分な作業をこなしてくれます。デジカメでも感じているのですが、すでに一通りできることが決まってきていて、そこまで大がかりな動画の編集も写真の編集もしないのなら、一定の性能のある中古品でも十分だと思うからということもあります。

しかし、これからは別の面からあえて新品のパソコンやスマホ・タブレットを使うことをためらう状況も出てきてしまうかも知れません。というのも、ハードとしてのパソコン・スマホ・タブレットに著作権料を上乗せした上で販売させようと主張している団体があるのだそうで、それが新聞のニュースになっていました。

これだけだと何を言っているのかわからない方もいると思いますがそれは当然でしょう。私自身もこのニュースを聞いて、本気でパソコンやスマホの出荷時に著作権料としてお金を取ろうとしている人がいるのかと半ばあきれたほどです。過去に「私的録音録画補償金」という制度があったことを覚えている方がいるかも知れません。音楽の媒体がレコードからCDになり、それまではレコードからアナログのカセットテープにダビングすると音が劣化していたのが、録音可能なCD-Rや、光ディスクのMDが出てきたことにより、ほぼCDと同じ劣化しない内容で保存および再生が可能になるので、音楽用CD-RやMDの価格に「私的録音録画補償金」を上乗せして販売していて、そのお金が著作権料として関連団体に入っていたということがありました。

その時代から人々が音楽やビデオ作品(映画やテレビ番組のソフト化作品など)を見る環境は徐々に変わり、もはやMDは過去の遺物になっています。CD-Rはまだ生き残っているものの、オリジナルの音源(ブルーレイ・DVD・CDなど)を借りてきて、劣化しないファイルを作った上でコピーして専用のプレーヤーで見たり聞くというよりも、最初からオリジナルソフトを買わずもちろん借りもせず、専用サービスから「聴き放題」「見放題」という形でその場限りの視聴や聴取を行なっている方がほとんどでしょう。中にはダウンロードして音楽や映像をスマホやパソコン内で楽しんでいる方もいるかも知れませんが、それはあくまで高速クーポンが無くなったら快適にストリーミングで音楽も動画も楽しめなくなるからで、これからモバイルインターネットの基準が5Gになっていけば、パソコンやスマホのメモリやメモリカードの中にわざわざ音楽やビデオを落とし込まなくても済む時代にもうすぐ入ろうとしています。

そんな時代の変わり目の時期に、新しく売られる全てのスマホ・タブレット・パソコンでオリジナルの音源やビデオをダウンロードして楽しまれる可能性があるので、過去に儲かった成功体験からなのか、ハード本体の代金に著作権料を上乗せすることで、過去の「私的録音録画補償金」復活させようとしているというのが、今回のニュース報道の内容だと思います。日本音楽著作権協会(JASRAC)など121国・地域の団体が加盟する著作権協会国際連合(CISAC)が日本での総会で日本政府に向けて決議したということですが、この決議を受けて日本政府は素直に導入に動くのかということが気がかりです。

今後の政局の動きは色々ありますが、もし身近なところで政治家の方と話ができるような人がいたり、候補者に質疑応答することができることがあったとしたら、今回の「私的録音録画補償金」復活は可能性があるのかどうか、その考えを聞かれた上で投票する候補者を決めるというのも、将来の日本を託す上で一つの政治的な判断になるのではないかと思います。

個人的には、借りてきた著作権のある音源や映像をわざわざダウンロードしてスマホやパソコンで聞くということはまずありません。さらに、ガラケーをスマホに変更したシニア層の中には、スマホで音楽や映像をダウンロードして改めて見るなんてことはとてもできないのではないかと思われます。そうした利用者からも著作権料が上乗せされた価格で新品の製品を買わなければならなくなったら、まさに公平な著作権料の負担ではなくなってしまいます。ですからそんな状況になった場合には、新品でハードは買わず、すでにその「私的録音録画補償金」を誰かが払ってしまっているであろう中古のハードを買うことで意志表示をしようかなと思っています。


「ふるさと納税」で考えてもらいたいこと

住民税を自分の住んでいる場所以外の地域に寄付することのできる「ふるさと納税」の制度ですが、返礼品は地場産品に限る事とし、返礼品の調達額は寄付額の3割以下という条件を満たさないと返礼品を出せないように6月1日から変わりました。さらに、ニュースでご存知の方も多いと思いますが、大阪府泉佐野市や静岡県小山町のような政府の方針から外れた返礼の品や仕組みを続けていた自治体についてはふるさと納税を扱うことができないペナルティを課すような騒動も起きています。今後もこの制度が続くためには、どのような変化が必要なのでしょうか。

まず、ふるさと納税を行なおうとする利用者の側から見ていくと、今まではいかに少ない金額で高価な商品をもらおうとして加熱したということもあると思います。ポータルサイトを見ると全国の自治体が出している返礼品が検索でき、例えば同じビールでも1万円で一番多く用意してくれている自治体に寄付するような事が当り前のように行なわれていました。地場産品とはまるで関係なくても、黙って地元の自治体に納めるならば、少しでも返礼品が返ってくる方が嬉しいという感じでやっている人が多かったということが言えます。

私の場合は全国を車で回っていたこともあって、県レベルでの特産品については詳しい方だと思いますが、多くの人はそれすらもわからず、さらに細かいところで素晴らしい特産品があったとしてもなかなか気付くことができません。結果、おいしいところは宣伝がうまかったりすでに有名な地場産品を持つところに寄付金を出すということになります。ただそれでは今までと変わらないように思います。そこで寄付を選ぶユーザー目線でぜひお願いしたいのが、全ての自治体に公平で儲けを度外視した新たな「ポータルサイト」の立ち上げおよび育成を政府機関に行なって欲しいということです。

現在、テレビで「ふるさと納税」を行なうための「ポータルサイト」がコマーシャルを流しているのをよく見ますが、このポータルサイトは民間の事業で、思いっ切り儲けを追求しているので、そこのサイトから寄付をした場合には相当の手数料を自治体はポータルサイト運営者に払わなければなりません。本来はこの分のお金は税金になるものなので、他の地域への寄付に変わったとしても、こうした費用をまるまる自治体の事業に利用できればいいのですが、そのためには手数料を出さなくても寄付ができる、各自治体がそれぞれ持っているホームページからの集客が必要になります。しかし無名の自治体サイトに人を集める事は難しく、民間のポータルサイトの方もできるだけ豪華で人々が欲しがるような返礼品を用意している自治体が「人気ランキング」の上位に来るような形で多くの人間が自分のサイトを利用してくれるよう促し、結果として本来税金として収められるはずのお金の中から「中抜き」することでポータルサイトが儲かっています。つまり今までは税金になるお金を民間が吸い上げているわけで、本来は泉佐野市や小山町を非難する前にこのポータルサイトにお金が流れる仕組みを何とかすべきだったのではないかと私は思います。

もし政府が「地場産品」「現地体験型の返礼」、さらには自治体側の「現在必要なお金のかかる事業」を自治体の区別なく検索できるようなポータルサイトを作り、手数料は民間と比べて少額に抑えるようなことができれば、納税者の意識も変わり、単なる返礼品の豪華さで寄付する自治体を選ぶのではなく、その自治体固有の地場産品の有無や、魅力的な体験ができそうな場所、さらには自治体が対峙する金銭的な問題などを総合的に見極めて寄付ができるようになるのではないでしょうか。

そして、テレビ局などにお願いし、積極的に「儲け度外視」の政府の作ったポータルサイトの意義を説明し、多くの人をそのサイトに集める努力をすることによって、改めて納税者は「ふるさと納税」制度の目的を知り、意気に感じて自分と関係あるなしに関わらず、助けたいと思った自治体に寄付をすることができ、その善意が自治体の再生にもつながっていくことになるのではないでしょうか。

とにかく、今回のふるさと納税に関する騒動は、特定の自治体が悪者になっているだけで、その間にある多くの問題点があまりにも語られていない気がします。このままでは存続し得なくなる自治体も出てきてしまうかも知れませんが、もしこのふるさと納税の制度で助かる自治体が出てくる可能性があるのなら、ぜひ政府が音頭を取って動いてもらいたいと思うのですが。