モバイルバッテリーでも使用できるラジオ TECSUN PL-380

前回このカテゴリーで紹介した東芝のTY-JKR5という防災ラジオは、いざという時に備えておくべきラジオとしては必要十分の性能を持っていて、これから新たに災害対応のラジオを購入する場合にはおすすめなのは言うまでもありませんが、違うアプローチから電池切れの問題を解決できるラジオというものを今回は紹介します。

PL-380 その1

このラジオは旧サイトでも紹介したことがあるのですが、日本のメーカーのラジオではありません。最近は爆買いによる観光客の到来とともにあえて日本の人は買おうとは思わない中国のメーカーによる中国製のラジオ、TECSUN PL-380という型番のものです。

初めてこのページにご訪問いただいた方にはラジオと言えば日本メーカーの方がいいという先入観があるかも知れませんが、最近はスマホと同じで必ずしも日本のメーカーの方が全てにおいて優れているとは言い切れないところがあります。

というのも、広大な国土を持つ中国では、有線による通信網を全国に張り巡らすことは物理的に不可能であり、電話でも無線による携帯電話網が整ったように、放送においても日本のようにAMやFMのように狭いエリアをカバーする放送だけでなく、広大なエリアに情報を伝えられる短波放送も多く利用されていて、ラジオというメディアが今でも重要になっていることから性能のいいAM・FM・短波まで聞けるオールバンドラジオが多くのメーカーから出てきています。性能も競争によってかなり向上しているのです。

さらに、技術の進歩によって高性能のラジオを簡単に組み立てられるようになったという事情もあります。今回紹介するPL-380というラジオは、DSPラジオというデジタルラジオで、従来のアナログ部品を使わずに専用のICを中心に組み立てるだけで高性能の受信機能を持つラジオになっています。

DSPラジオの普及に伴って、日本のエレクトロニクス企業の優位性であった手先の器用な労働者が細かいハンダ付けをしたり、部品の細かい調整をするなどのシビアな工程がいらなくなる所があります。そしてラジオ自体の小型化もはかれます。それほど技術がなくても高性能な製品が作れてしまうのですから日本でもDSPラジオを作り、基本性能以外の部分で日本らしい工夫をしてくれればいいのにと思うのですが、そういった事はないようです。結果、今日本であまりいい感想を持たれない「中国製」のラジオを日本のラジオマニアがわざわざ購入して使うという、ここまでの事情を知らない人からしたら考えられない事が現実に起きているのです。

さらに、今回紹介したいPL-380の特徴の一つとしてあるのが、独自でない汎用の電源回りの仕様があります。

PL-380 その2

写真を見てもらえばわかるかと思うのですが、これはパソコンのmini-B USB端子そのものですが、「DC IN 5V」と書いてあることからおわかりの通り、ACアダプターをミニUSB端子の形にして搭載しています。これはメーカーのアイデアなのかも知れませんが、単純にこの形のコネクタが安価に入手できることから使われているに過ぎないのかも知れません。しかし、この形のコネクタが付いていることで、中国国内だけではなく全世界で使える仕様になりました。

当然メーカー純正のACアダプターを買わなくても、どこでも売っている汎用品のUSBコード(充電用)とUSB出力のあるACアダプターをセットで使えばいいわけです。さらに言うと、スマホを充電するために多くの人が使っているモバイルバッテリーを使っても利用することができるという事にもなります。

別にこのラジオは防災用にと考えられて作ったわけではないでしょうが、このようにスマホとACアダプターやモバイルバッテリーを共用できるようなものの方がいざという時には強いのです。過去に私はこのラジオからバッテリーを抜いて、日差しの強い日に小さめの太陽電池パネルに直結してみたところ、太陽電池のみでスピーカーからラジオを聴くことができました。使える電源の種類が増えた事で、防災ラジオとしてもこの仕様による魅力が生まれたということになります。

たまたま先日、テレビの政治討論番組を見ていたところ、今の日本の大手メーカーが過去のように世界を席巻するような活力を取り戻すためにはどうしたらいいかという話になっていました。政治家の方々が政策がらみで討論していたので、具体的な製品の話というよりも法人税を上げた方がいいのか下げた方がいいのかという話が主になっていましたが、全てが法人税の取り方で決まるということもないでしょう。

少なくとも私が日本のメーカーに求めるのは、強烈に欲しいと思える魅力的な商品の力です。ラジオについて言うと、多少価格が高くても高品質で長く使えるいいものを作って欲しいということに尽きます。電池が専用のリチウムイオン電池で、さらにACアダプタもその製品だけにしか使えない特殊な形の専用品なんてケースが今までの日本メーカーでは多かったような気がするのは私だけでしょうか。いくら画期的な製品だったとしても電源回りがそんな事では本体が壊れる前に付属品が入手できなくなった時点で使えなくなるかも知れません。それが新製品が出た時点からわかってしまうような製品を使おうという気には私にはなれません。

ラジオについて、個人的にもう一つ思い出したことがあります。まだ日本の大手メーカーでラジオ放送をフラッシュメモリーやメモリーカードにタイマー録音できる製品がなかった頃、すでに中国のメーカーは早くからSDカードにMP3型式でラジオ録音できるような製品を出していたように記憶しています。当時は日本のメーカーは音声の圧縮技術がメーカーによってまちまちで、自由にコピーして様々なメディアで使い回すことは難しく、ラジカセ代替の製品をにわかには選ぶことができない雰囲気がありました。

これからは今の日本の技術力で汎用な製品を出す中でメーカーに競ってもらえれば、日本だけでなく世界中から引き合いが来るような製品を今後出して行けるのではないかと思うのですが。本当にラジオ好きの身としては、今回紹介した中国産のラジオを凌ぐような商品の力を持ったオールバンドラジオをぜひ出してもらいたいです。いくら企業として利益を上げていても魅力的な商品が将来にわたって出てこないなら、日本のメーカーの衰退は自然と起こってきてしまうのではないでしょうか。できる限りそんなことにはなって欲しくないのですが(^^;)。


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モバイルバッテリーでも使用できるラジオ TECSUN PL-380」への2件のフィードバック

  1. 笑む3

    日本のメーカもラジオだけは普通の電池が使えるものが多いですね、単4使用はちょっといただけないですが。専用バッテリーを使っていたらスルーで誰も買わないでしょう。

  2. てら 投稿作成者

    笑む3 さん コメントありがとうございました。

    日本で売られているラジオについて言うと、ハンドルの付いた防災ラジオのなかにはユーザーが自分で交換できない専用電池内蔵のものがあるのですが、そうしたラジオの場合乾電池駆動にも対応しているのが普通です。ただ東日本大震災直後の時に被災者の方に送るためにその種のラジオを探していた時に見つけたおしゃれ雑貨を扱うお店で見つけた防災ラジオは、乾電池が使えない充電池オンリーのラジオでした。

    そのラジオは当時購入して被災者の方に送ったのですが、購入時のように使えているのかどうか。そういう風に考えると、今後はどの形の乾電池でも入れて使えるようなラジオの再登場を期待したいものです。

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