テントでなく仕切りの付いた「仮眠場所」を日常的に作る試みについて

ネットニュースで神戸大学の保田ゼミの方々が開発した組み立て式の仮眠利用を想定した簡易個室「きゃみん」が、大学や企業など様々な場所に設置して、どのくらい利用されるかという実験が行なわれ、それなりのニーズがあるという話を読みました。同じ個室ということで言えば、JR東日本が駅構内に時間貸しで利用できるミニオフィス「ステーションブース」がすでに運用をスタートさせていますが、ここは普通にデスクと椅子が設置された仕事部屋で、ファミレスやカフェにWi-Fiとコンセントが設置されているのとは違い、他の人の動きを気にすることなくちょっとした隙間の時間を作って利用できるようになっています。

ただこちらの「きゃみん」の方は、単に仮眠施設としての利用でなく、勉強や作業のために使ったりもできるようになっているそうです。試験的に神姫バス明石営業所の仮眠室に設置された「きゃみん」は木製で、カプセルホテルのユニットと比べれば設置費用も抑えられていて、単なる段ボールベッドと仕切りのあるようなものではないので、バスの運転手が仮眠に便利に使えるのだそうで、やはり個室の効果というものはあるように感じます。

今後、どのような形でこうした「個室」を売りにしたビジネスが発展していくのかはわかりませんが、最近のニュースではどの建物にもある個室である「トイレ」を長い時間選挙して食事をするという「便所飯」の問題を解決するためにも、仮眠も取れれば食事もでき、パソコンを使った作業もできるような個室スペースをまとめて設置することは大変重要になってくるのではないかと思います。

そして、これはあくまで私の個人的な考えではありますが、そうした「個室的なスペース」を作るということについては、日常的なニーズがあるなら、いざという時にはそうした設備を災害時にも活用できるようにすべきです。つまり、ここで言う「きゃみん」の一つの形態の中でも移動が大変なものではなく、「組立て・ばらしが簡単」「パーティションで分けるのではなく上からも見られない完全個室である」「同じ面積でも多くの個数を設置可能」「大量生産により一個あたりの価格を下げる」ことができるなら、今現在でも多くの人が大変な思いをしている避難所での生活について、すぐさま設置及び避難してきた人への対応が可能になります。

現在売られているものの中では、部屋に明かりが付いていても気にならず、外からの冷気を防ぐこともできると考えると、室内に設置する室内用テントが最適ではあるのですが、個室を作るという観点からもう少し使い勝手のよいものが作れるのではないかと思ったりもします。

さらに車中泊目的というところも追加することができるのならば、普通車や軽自動車のワンボックスカーの後部座席をたたんだ時の荷台部分くらいのスペースにでも設置できる個室スペースができるなら、もはやキャンピングカーを購入しなくても車の中でしっかりとした就寝スペースを作ることができるようになります。車中泊用に安い車を流用することもできますし、普段は車中泊の難しい車に乗っていたり、そもそも車を使わないような方であってもレンタカーで軽ワンボックスカーを借りれば、それで車の中が簡単に宿泊施設になります。レンタカー会社も「車中泊セット」としてセットで貸し出すこともでき、ビジネスチャンスが広がるのではないでしょうか。

今回の内容を書くために、室内用のテントや段ボールベッド、防災用のパーティションの商品を色々と調べてみましたが、段ボールベッドでも一個当たりの価格は1万円以上するケースも有り、なかなか個人が気軽に購入することは難しいと感じざるを得ませんでした。また、室内用のテントは床がないものが普通で(マットレスやベッドの上に設置するものとして考えられているようです)、就寝専用としては有りかも知れませんが、元々冬の寒さ対策に作られたものらしいので、夏に使うと相当テントの中は暑いようなので、購入するなら注意が必要でしょう。できれば夏用の替えメッシュが用意されたセットなら、車中泊用としてオールシーズンで利用できるのですが。

とにかく、今回の台風の影響で避難をしてくる人に対する環境が未だ昔のままの、公民館や体育館に毛布が配られるだけというような感じであることはすぐにでも是正されるべきだと思います。まずは日常的にニーズがあると思われる個室に対し、多くの人々の理解が進む中で、災害時には容易に流用が可能な仮眠スペースの設置が広がることを期待します。


カテゴリー: 防災関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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